Opinion : 理想のホットスポット・サービスを考える (2002/2/18)
 

時にはネタに困ることもあるのだが、今週は珍しく二本立てで。

去年辺りから、IEEE802.11b 無線 LAN を使ったホットスポット・サービスが増えてきた。最初は他社の様子を模様眺めしていて、「商売になる」と思うと後から参入してくるのが常の NTT グループも、例によって参入、あるいは試験開始の事例が相次いでいる。

ただ、MIS にしろ NTT コムにしろ、月々いくらの利用料を支払った上でホットスポットを利用するという形態をとっている。これ、少し実情から遊離していないだろうか。


携帯電話や PHS なら場所をかまわず使えるから、そういう「ユーザー単位」の課金体系でも問題はない。だが、決まった場所でしか利用できないホットスポット・サービスの場合、自分が契約した事業者のサービスが受けられる場所が全国津々浦々に大量に存在する、という状況で、かつ毎日のように長時間の外出をしている人でもないと、「ユーザー単位」で課金するサービスにはバリューが見出せないと思う。

街頭ではなく、店舗などを単位にしてホットスポット化するとなると、ホットスポットの場所が限られる場合、「○○社のサービスが受けられるホットスポットは…」という探し方をしなければならない。よほど選択肢が多ければ別だが、そうでなければ、使いたくても使えないサービスになってしまう。

MIS の場合は街頭にアクセス・ポイントを設置する分だけ状況は恵まれているが、3G 携帯ほどではないにしても設備投資が膨大なものになるから、資本体力が続くだろうかと、ちょっと心配だ。回り回って利用料金を引き上げることになれば、それもユーザー離れにつながってしまう。

アメリカで、「スターバックスコーヒー」の店舗などを使ってサービスを展開していた Mobilestar 社の経営が行き詰まった理由に、ユーザーが Mobilestar 社と契約し、同社のサービスが提供されている拠点をいちいち探さなければならない点にあったのではないかという気がするのだが、どうなのだろう。
店舗数の多いスターバックスで、それもかなり大規模にサービスを展開していた Mobilestar が行き詰まったのだから、日本で同様の事業を立ち上げるとなると、さらに苦しいことになるのは目に見えている。


むしろ、通信事業者が直接ユーザーと契約するのではなく、ホットスポット・サービスを提供したい飲食店などの施設と契約して、月々いくらで高速回線とアクセス・ポイントを提供する形態の方が、利用しやすいサービスが提供できるのではないかと思う。
それに、個別のユーザーではなくて店舗単位でサービス契約を結ぶ方が、事業者としても何かと楽ではないかと思うのだが、その辺、どうなのだろう。

その場合、ホットスポットを設置する側にとっては、高速インターネット・アクセスの手段を設置することで店のバリューを上げることができる。それによって利用者が増えれば、月々 1 万円程度の料金をかけても元が取れる場合も少なくないだろう。
この考え方は、「喫茶 東洋」の「ブロードバンドカレー」を仕掛けた日本 IBM の考え方を下敷きにしたものだが、こちらの方が利用者の実態を分かっているのではないかと思えてならない。

もっとも、店舗をホットスポット化すると、特に飲食店ではお客の回転率が悪くなって困るかもしれない。その場合は、意図的に回転を促す手段として「電源の提供はなし」ということにしてもよい。そうすれば、バッテリがあがった時点で強制的に回転させられる。

私のようにバッテリ寿命の長いマシンを持っている人にとっては、これでは効果がないが…
なにしろ、ThinkPad s30 に Full Day バッテリなんぞ搭載した日には、無線LANを使い続けても 7-8 時間は粘れるだろうから (笑)

あと、無線の困ったところは、店の外まで電波が届いてしまうことだ。すると、ホットスポットを利用していない人が、近所で「ただ乗り」をしてしまう。
窓に電波シールドをかけるわけにはいかないから、週変わりの暗号化キーを決めて、来店した人にその情報を渡す、ということにでもなるだろうか。「喫茶 東洋」のように店舗が地下にあれば、こういう悩みはないのだが。

あるいは、固定客の多い店舗なら、独自に「会員制」ということにして MAC アドレス登録をしてしまうという方法もある。場所によっては、こういう方法だって成立する可能性がある。

ともあれ、通信事業者が個別のユーザーと契約するという形態では、よほどサービス提供場所が増えない限りは、気軽に利用できるホットスポット・サービスにはなり難いと思う。皆さんは、どうお考えになるだろうか。

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