Opinion : 「顔」が見える、ということ (2002/5/20)
 

今週は、いつもと気分を変えて、ちょっと軽めのネタでいってみよう。


会社や学校、あるいは会社の中でも部署によって、長年の歴史の積み重ね (?) により、それぞれ独自の気風が培われるということはよくある。すると、目ざとい奴がいて、それをネタにして綽名を付けるという話も、また多いようだ。

事情を知らない人が、いきなりこの手の話を聞かされても、「ふーん」で終わってしまう。だが、多少なりとも内部事情に通じていたり、内部事情に関する解説付きで聞くと、なんとなく納得してしまうのだから妙なものだ。

たとえば、海上自衛隊には 4 個ある護衛隊群を肴にして「広報の 1 群」「訓練の 2 群」「文書の 3 群」「修理の 4 群 (休養の 4 群、ともいうらしい)」という言葉があるのは有名。
また、陸海空自にはそれぞれ「用意周到・一歩後退」「伝統墨守・唯我独尊」「勇猛果敢・支離滅裂」という言葉が奉られているとも聞く。

多分、似たような話はあちこちの業界にありそうだ。
たとえば自動車メーカー。出てくる製品を見ていると、なんとなくメーカーごとの個性が垣間見え、「こういうクルマは他所のメーカーじゃ出さないよなー」的な話になりがちだから、自動車メーカーにもそれぞれ独自の気風というものがありそうだ。実は、私のホームグラウンドである IT 業界にも、同じようなことがあるのかもしれない。

もっとも、マイクロソフトの社内についていうと、綽名が付くというほどのことはなかったと思う。理由は簡単で、あの会社は年中行事のように組織変更をやっているから、綽名が定着するほど、同じ形の組織が長続きしないのだ。

それでも、営業やマーケティングと開発とでは、なんとなく空気が違ったし、同じ開発でも OS とアプリケーション、エンターテインメント系では、それぞれ空気が違っていた。オフィスの中に漂っている雰囲気が、なんとなく違うのだ。

あと、昔は部署によってサーバの名前の付け方にも個性があったから、これもなかなか面白かった。ちょっと具体例を挙げるのは差し控えるが、(おそらくは各部署の管理者の趣味で) 独自の命名ルールがあるらしいのが面白かった。
拙宅の家庭内 LAN で、御存知のようにギリシア神話ネタの命名ルールを使っているのも、そうした空気の名残といえなくもなさそうだ。

今は、仕事でいろいろな出版社に出入りしているが、会社によって、これまた気風がいろいろ違っていて興味深い。ちゃんと背広を着て仕事をしている会社もあれば、ソフトウェア業界並みにラフなところもある。オフィスがきれいに整えられている会社もあれば、中には (どことはいわないが) ゴミ溜めのように乱雑になっている会社もある。

大手の会社ほどオフィスがキレイなのかというと、そうでもないところが面白い。むしろ、名の通った大手の方がオフィスがゴチャゴチャ、ということもある。

また、仕事の進め方ひとつとっても、会社によって、結構違いがある。相手によってやり方を変えないといけないのはちょっと大変だが、同じ業界でも会社によってやり方が違うということを知るのは、なかなか楽しい。


念のためにお断りしておくと、こうした独自の気風があることが悪いというのではない。むしろ、そういった部署ごと、会社ごと、組織ごとの気風の違いがある方が、人によってそれぞれ居心地のいい場所を選ぶ自由度が増えるから、良いことだと思う。どこに行ってもムードは同じ、というのではつまらない。

さまざまな個性を受け入れることができる組織、あるいは社会の方が、全員を強引に同じ鋳型にはめ込もうとするよりも、イザというときに強さを発揮するのではないかと思う。
それに、そこまでいかなくても、綽名をつけられるくらいの個性がある方が楽しいじゃないか。どこを切っても同じ顔をしている「金太郎飴」よりも、いろいろな個性がある方が「顔」が見えて面白い。そうは思わないだろうか ?

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