Opinion : リミッター導入大賛成 (2003/3/17)
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…といっても、乗用車ではなくて、大型トラックの話だ。
別に、自分がトラックに命を奪われそうになったからいうわけではないが、この件に関しては例外的に、国土交通省の肩を持ちたいと思う。
なんでも、自民党あたりでは「業者にとっては致命的」だとか「生鮮食料品の輸送に問題が云々」といって、トラックに対するリミッター装着を潰す動きがあるらしい。だが、これは根本のところで間違った考えだと思う。
そもそも、リミッターがどうとかいう以前に、長距離の物流がトラックに依存し過ぎていることが、日本の運輸業界における大問題だと思う。以前からいっているように、もっとモーダルシフトを進めるべきで、個人的にはいっそのこと「長距離トラック禁止法」でも作ってしまえと思っているぐらいだ。
それが無理なら、高速道路の料金体系を改めて、大型車は長距離になるほど急速に料金が跳ね上がるようにすればよいと思う。なに、国土交通省が御執心の ETC を使えば、簡単に実現できるハズだ :-)
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だいたい、図体が大きく、重量も重く、ガタイが大きく重心が高い分だけ横風の影響を受けやすいトラックが、乗用車と同じスピードで走っていること自体、間違っている。同じ 140km/h でも、アルテッツァの 140km/h とトラックの 140km/h を同じ次元では論じられない。それに、トラックの方が事故ったときの被害が大きいのは事実だし、実際、高速道路を走っていると、事故を起こしたトラックを頻繁に目にする。
それも、路肩に突っ込んで自爆するぐらいならともかく、もっとも激しい例では、路肩で炎上していたトラックに遭遇したこともあるぐらいだ。(例の、アテにならない) ハイウェイラジオが「トラックが燃えているという第一報が入りました」というから半信半疑で走っていたら、本当に反対側の本線でトラックがボーボー燃えていたのにはたまげた。
おまけに、97 年の道交法改正で左端の車線しか走れなくなったはずのトレーラーが、相変わらず追越車線を走っているケースもしばしば目にする。日本語が読めない人が運転しているんだろうか。
トレーラーが車線を制限されたのは、車線変換時に牽引車とトレーラーが異なる挙動を起こして事故を起こすケースが多発したから、だったと思うが、「親の心子知らず」とはこのことだ。もっとも、トレーラーでなくても、重心が高いトラックが急速な車線変換をやると、結構派手にふらつく。それを後ろから見ているのは、なかなか怖い。
ついでに付け加えれば、長距離運転だけでなく、過積載や過重労働が常態化しているとされるトラック業界の体質にも問題があると思う。実際、「居眠り運転のトラックが起こした事故」のニュースは多いし、昨年、東名阪道で発生したトラック事故では、運転手は 56 時間の連続稼動で疲労困憊していたと聞く。この件、運転手に懲役 5 年の実刑判決が出たというのだが、その過重労働の原因が会社側になかったといえるのか。少なくとも道義的な面では、運転手個人だけでなく、会社の責任も問われるべきではないだろうか ?
ATS や ATC のような保安装置がある鉄道や、管制システムができあがっている航空と違い、道路交通の安全性は、かなりの部分を個々のドライバーに依存している。つまり、道路を走っているドライバーが危険な行動に出た場合、周囲の人が巻き込まれる可能性が高い上に、自分の回りを走っているクルマのドライバーが危険かどうかは、パッと見には判断できない。
実際に「アブナイ運転」をしてくれれば、こちらとしても回避のしようがあるが、たとえば居眠り運転をしているかどうか、相手が過重労働かどうか、何時間の睡眠を取って運転しているのか、はたまた酔っ払い運転か、なんてことは、外から見ただけでは分からない。これは、道路交通特有の問題点だ。
もっとも、それはトラックに限ったことではなくて、乗用車の場合も同じだ。ただ、乗用車の場合は外見で判断できるケース (笑) や、車種である程度判断できるケースも少なくない。
「いかにも」という感じの暴走族はいうまでもないが、経験的データを元に車種を名指しして書けば、個人ユーザーではエルグランド、ステップワゴン、デリカ・スペースギア、会社の営業車ではカローラやサニーのバンに各種ワンボックス、といったあたりが「要注意車種」だ。
したがって、高速道路でこの手のクルマと遭遇した場合は、できるだけお近づきにならないように運転している。むしろ、いわゆる走り屋好みの車の方が、「分かっている」だけに怖くないし、下手なミニバンやトラックよりも大人しい運転をしていることも少なくないように思える。もちろん、すべてがそうだとはいわないが。
はっきりいってしまえば、トラック業界が自分たちの責任で無茶をやって、勝手に自爆するのは自由だ。だが、自動車事故は、それが自爆であっても、結果として周囲の無関係の人やクルマを巻き込む可能性が高い。そういう事態を回避するのに役立つのであれば、リミッターのような強制力で制限をかけるのは当然の話だ。
多分、リミッターが義務付けられると、こっそり「リミッター外し」を行うトラックが出てくると思うが、そういう輩は厳罰に処し、二度とトラックを運転できないようにしてもらいたいものだと思う。
そもそも、速度違反や過重労働をしないと「日本の物流」が成り立たないのなら、それは物流産業のあり方を根本的に改めるべきだろう。すべてをトラックでやろうとするから話がおかしくなるので、鉄道・航空・海運を組み合わせた「ハブ & スポーク」を構成して、その端末輸送としてトラックを使う方が、事故や混雑の防止という面でも、環境への影響という面でも、確実にプラスなのだから。
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