Opinion : よく働き、よく休め (2003/12/15)
 

すみません、多忙で疲れてしまったので、
今週の連載はお休みします

…なんて書くと本気にされてしまいそうだが、まじめな話、ここ半年以上、2 日続けて休んだ記憶がない。休日というもの自体、どれだけあったか定かでない。(実は記憶がないだけで、一回ぐらいは連休したこともあるかもしれないが)
物書きなんていう「創造力が命」の商売をしていると、ネタ枯れを起こすのが一番怖い。ヒマなときにはいろいろと遊んで実験して、それが次の仕事につながったりするものなのだが、たくさんお仕事を頂戴して多忙になると、却ってネタ枯れの危機を引き起こすというパラドックスを実感している。


もっとも、ずっと第一線で働き続けていると、どんなに優秀な人でも最後には参ってしまう。少ない人員で多くの仕事をこなさざるを得なくなっているビジネス現場でもそうだし、体を張って、命懸けの状況に置かれる戦場ではなおのことだ。それを考えると、先手を打って空母パイロットのローテーション計画を具申したスプルーアンスは大したものだと思う。

どういうことかというと、これはミッドウェイ海戦で初めて空母機動部隊の指揮をとったスプルーアンスのところに、パイロット達が「自分たちは将来に何の望みもない」と訴えたことに起因している。当時、米海軍のパイロットはいったん空母に配属されると、そのままずっと第一線に張りつけられていたため、いつかは消耗して戦死してしまうのではないかという考えが蔓延していたらしい。

そこでスプルーアンスがニミッツに意見具申して打ち出したのが、空母パイロットのローテーションというわけだ。一定の回数の出撃をこなすと後方に下がって休養し、控えていた別の搭乗員と交代する。こうすれば、パイロットは一定の出撃をこなすための動機づけができるし、常にフレッシュな搭乗員を前線に配属できる。しかも、結果として搭乗員の層が厚くなる利点もある。大戦末期における米海軍航空部隊のとんでもない強さの一因は、こんなところにもあったのではなかろうか。

これは海軍に限ったことではなくて、陸軍航空隊でも一定回数の出撃をこなすと後方に下がることができた。たとえば、ヨーロッパの第 8 航空軍麾下の爆撃隊では 25 回の出撃をこなすと休養できたが、これは映画「メンフィス・ベル」でも取り上げられていたから、御存知の方も多いだろう。(もっとも、大戦後期になると「ドイツ軍の危険が少なくなった」という名目で、ローテーションまでの規定出撃回数が、確か 35 回ぐらいに増やされてしまったそうだから痛し痒しだ)

もちろん、常に予備のパイロットを確保できたアメリカだからこそ、ローテーション配備も実現可能だった、といってしまえばそれまでだ。とはいえ、精鋭の搭乗員を定数だけ揃えて良しとしていた日本軍が、最後まで搭乗員を第一線でこき使って消耗させてしまったのと比べると、米海軍の方が優れていたのは間違いない。日本軍のエース・パイロットの多くが最後には戦死してしまったのも、彼等がほとんどずっと、第一線に張り付けられたままだったことと無関係ではなかろう。
最近でも、イラクやアフガニスタンに派遣されている部隊のローテーションが話題になっているが、根底にある考え方は同じはずだ。とはいえ、いくらなんでもイラク派遣部隊のローテーション期間が 1 年というのは長過ぎると思うが。


日本では往々にしてワークホリックが評価され、「ちゃんと休みを取ろう」なんていうと「あいつはサボっている」と後ろ指を指されかねない風潮があるように思える。四六時中、何もしないでボケッとしているのなら「サボり」といわれても仕方ないが、まったく休みを取らないので働き続けていたのでは、最後には人間が壊れてしまう。

こう書いている自分自身、最近、かなり疲れを感じているところなので、お世話になっている各方面の関係者に、機会があるごとに「少し休養と勉強とネタ出しをさせてください」とお願いして回っていたりする。それでパワーを復活させることができれば、後でもっといい仕事ができる (はずだ)。

なにしろ、最近になってとみに、一年が経過するのが早い。子供の頃は一年がとんでもなく長く感じられたものだが、最近ではあっという間に過ぎ去ってしまう。フリーになってからもうすぐ 5 年経つが、「え、そんなに経ってたっけ ?」というのが正直なところ。そんな状況下で全開で仕事を続けていれば、それは疲れもするだろう。
一人で仕事をしていると、ローテーション配備する身代わりがいないのだから、自分でなんとか英気を回復しなければ。例の事故でいったん人生をリセットしたと思ってはいるものの、税務訴訟で勝訴を勝ち取るまでは、死ぬわけにはいかないのだ (ぉ

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