Opinion : どこへ行く、のぞみ号 (2005/3/7)
 

先日購入した「鉄道ジャーナル」の最新号を見ていたら、<のぞみ> の停車駅を増やす事例が増えるらしい。具体的に名前が挙がっていたのが、品川、姫路、福山、新山口。
当初、<のぞみ> の停車駅は「東京-名古屋-京都-新大阪-岡山-広島-小倉」ときれいに揃っていたし、列車によっては名古屋を通過して話題を振りまいたりもしていた。ところが、新横浜や新神戸に停車し始めた頃から怪しくなりだしたようだ。

もちろん、「点ではなく、線で稼ぐ」という鉄道輸送の特徴を考えると、大都市の中心駅だけでなく、その周辺からこまめに乗客を拾うという戦術は正しい。現実問題として、<のぞみ> に乗っていると、新横浜における乗降はむやみに多い。これなら停めたくなるのもわかる。品川にしても、東京西郊からの乗客を拾うには、東京駅より具合がいい。

が、しかし。この停車駅の増え方って、かつて <ひかり> が通ってきたのと同じ道じゃないか。


<ひかり> も、当初は「東京-名古屋-京都-新大阪-岡山-広島-小倉」ぐらいしか停車しなかったわけで、それが 1980 年 10 月のダイヤ改正あたりから、ゾロゾロと停車駅が増え始めて、<ひだま> だと揶揄された経緯がある。今度は <のぞみ> が同じ道をたどっているわけだ。

厄介なのは、<のぞみ> が営業を開始した当初と違い、最高速度は 270km/h で揃ってしまっているし、<のぞみ> にも自由席が設けられて、<のぞみ> と<ひかり> の区別が曖昧になってきていること。車輌が両者で完全に分けられているわけではないし、分けたところで 300 系と 700 系では、その差はあって無きがごとし。ヘタをすると、<ひかり> の方がゴージャスだったりする (レールスターのこと)。

これが、かつての <ひかり> と <こだま> なら、編成内容に歴然とした違いがあった。といっても、<ひかり> は食堂車がついているという程度の差ではあるが、とにかく差があったのは確か。こうした差別化の関係が、<のぞみ> と <ひかり> の間では希薄なのは間違いない。

<のぞみ> に自由席を設けたのは、<ひかり> と料金水準を揃えて、割高感を是正しようとした狙いがあるのではないかと推測される。だが、<ひかり> にだって自由席はあるわけで、<のぞみ> が割高という事実は変わらない。しかし、<のぞみ> の停車駅が増えて <ひかり> に近付いてきているのを見ると、なんか、無理が生じているように思えてならない。

そもそも、<のぞみ> が "特別な列車" だからこそ、追加料金を支払う名目が立つので、それが <ひかり> と同じになってしまったら、追加料金の意味がなくなる。現状では <ひかり> より <のぞみ> の本数が多いし、そっちを選択する乗客が多いのも事実だが、<のぞみ> の停車駅が増えて所要時間が延びる傾向にある昨今、追加料金はただの値上げといわれても仕方ない。
ぶっちゃけ、停車駅がどんどん増える傾向にある今の <のぞみ> は、まるで <のかり> だといわれかねない状況にあると思う。


乗客から見た場合、この追加料金の問題が大きいと思うが、いったんタガを外してしまった以上、今は通過している駅の地元から「うちにも <のぞみ> を停めろ」という声が上がるのは時間の問題だと思う。特に、<のぞみ> が素通りするといって "通行税構想" なんてアホをいい出した県知事がいる静岡あたり、その最右翼ではなかろうか。

これが「県庁所在地に限る」という制約があるわけではないのは、福山や徳山に停車していることでも明白。だから、それ以外の駅から「うちにも停めろ」といわれたら、JR としても断りにくいのではないか。かくして、ますます <のぞみ> の <ひかり> 化が進むことになりかねない。

在来線では、「特急・急行・各停」と分かれていたのが、急行の特急格上げが相次いで「特急・各停」に二極分化した経緯がある。同じことが、東海道・山陽新幹線でも起きている。そのうち、<のぞみ> と <ひかり> の違いは名前と方向幕の背景色だけ、ということになって、ゆくゆくは、中途半端になった <ひかり> が消えてしまうかも ?

かといって、<のぞみ> を名乗っていいのは「東京-名古屋-京都-新大阪-岡山-広島-小倉」に停まる列車だけ、というわけにもいくまい。地元の自治体にとっては <のぞみ> が停まる、ということがメンツの面から見て重要なので、車輌も所要時間も変わらないのだとしても、それが <ひかり> を名乗っているのでは文句が出るだろうから。

こうなると、もう一度停車駅をリセットして「東京-名古屋-京都-新大阪-岡山-広島-小倉」に限定した、最上位版の列車 (<スーパーのぞみ> とか !?) を設定し直す時期が来るのではないかと思う。やるとしたら、N700 系が営業を開始する 2007 年の春だろうか。
しかし、そこでまたぞろ「特別な列車だから追加料金を」なんていい出すと、いずれは <のぞみ> と同じ歴史をたどり、以下無限ループ。

東北・上越・長野新幹線なら、乗客の流れは首都圏志向が強いから、「近距離向けの列車」と「遠距離向けの速達列車」に分けるというやり方で問題ないのだが、そういう明確な流れがない東海道・山陽新幹線では、目的地別に停車駅を振り分けるのは難しい。だからといって、<のぞみ> と <ひかり> の格差がどんどん縮まってきているのに、追加料金だけはそのまま、という状況を放置するのもどうかと思う。

とりあえず、<のぞみ> にだけ追加料金を課したり、企画切符の利用を制限したりするのは、そろそろ無理があると思うから、止めた方がよくありませんか。

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