Opinion : 海軍と親善行事 (2007/12/10)
 

リメンバー パールハーバー (挨拶)

…そうじゃなくて。
意図的なのかなんなのか、8 日の土曜日に米海軍横須賀基地の一般公開があったので、軍艦好きの仲間と一緒に行ってきた。そして、米海軍と中国人民解放軍海軍 (長いぞ) のあまりの対比に愕然とした。


「週刊オブイェクト」によると、中国人民解放軍海軍 (長いぞ) の駆逐艦「深セン」が晴海埠頭にやってきたときに、朝日新聞が「中国軍艦寄港 - 新たな歴史の第一歩に」なんていう殊勝なタイトルの社説を書いていたそうだ (参考)。
米海軍の軍艦がどこに入港しても「基地機能の強化につながるとして反対運動が」なんて記事しか書かないくせに、なんて分かりやすい。

それはそれとして、件の記事にいわく。

もう一つ望むのは、防衛交流を軍事関係者だけにとどめず、一般にも開いていくことだ。例えば、日本の研究者やメディアが中国軍を見学したり、取材したりする機会を増やす。国民レベルで少しでも理解が進めば、それだけ的はずれな推測は減ってくる。

だったら一般公開ぐらいしろやゴルァァァァァァァ !!!!

おっと、つい頭に血が上ってしまった。馴染みの薄い国の軍艦が来ると見に行きたくなる、軍艦好きの血が騒いでしまったもので。

ただ、真面目な話、本気で友好を図りたい、親善のために寄港したいというのであれば、一般公開してもバチは当たらないはず。いやむしろ一般公開するべきだ。まさか、「大砲に洗濯物を干してあるから、そんな様子を見られたくない」ってわけでもあるまい。(それは、いつぞやの清国海軍の話だったっけ ?)

晴海にやってきた米海軍以外の軍艦というと、英海軍の HMS Illustrious や仏海軍の FS Jeanne d'Arc におじゃました記憶があるが、フレンドリーに一般公開してくれた。それなのに、中国人民解放軍海軍 (長いぞ) ときたら、まったくもう…


それに比べて、極めて対照的だったのが 12 月 8 日の米海軍。久方ぶりに正面ゲートを開放してくれたのがサービスだったのかどうかは知らないけれど、歴史的建造物である 1 号ドックの横を通してくれて、艦の公開についても空母にイージス艦にと大盤振る舞い。ゲートに陣取っていた警備担当者ですら和やかムード。

しかも、USS Kitty Hawk の飛行甲板に上がってみたら、袖に金筋 4 本の大佐 (つまり、艦長の可能性が高い) が自ら、来観者相手にサイン会ときた (参考)。米海軍の一般公開は何度も訪れているけれど、こんなの初めて見た。

しかも、艦の入口で出迎えていた乗組員は「コンニチハー」と日本語で挨拶するし、警備犬を連れている警備担当者ですら、極めてフレンドリー。しまいには、警備犬に「お手」やら「お代わり」やらをやらせている状況で、見ているこちらもホノボノしてしまった。いや、警備犬に襲われるようなことをすれば、ホノボノどころじゃないだろうけど。

そりゃまあ、頭数が多ければ、中には不祥事をしでかす奴もいるけれど、これだけフレンドリーな応対ぶりを見せてくれるあたり、米海軍はいろいろと気を使ってるんだなあというのが正直な印象。

そういえば、今では望み薄だけれど、過去には一般公開でイージス艦の CIC まで見せてしまったことがあるし、F/A-18 のコックピットに座らせてくれたこともある。これが米海軍だ。太っ腹すぎる。

海外に軍を駐留させておくのは、単に政府と話をつけるとか場所を確保するとかいうだけの話ではない。ホスト国の国民感情的に受け入れてもらえなければ、結局はアメリカの世界戦略もヘッタクレもなくなってしまう。それに、米軍の場合には嫌われやすいというか、叩かれ慣れている分だけ (?) 腰が低くなる傾向はあるのかも。

だからこそ、一般公開も取材対応も積極的にやるのだと思われる。前に blog に書いた、司令官の大佐が自ら取材対応していた海兵隊キャンプ富士の話もそうだけれど、大したもんだと思った (参考)。そして、米艦入港の際にデモをする人の数よりも一般公開に押しかける人の方がずっと多いのだから、この方針は当たっているといえる。

そう考えると、一般公開を 8 日にぶつけたのも意図的で、日米開戦の日だからこそ友好の起点に、という狙いがあった可能性が高そう。


以前から何度も書いているように、国家同士の緊張を緩和する方法のひとつとして、偉い人だけじゃなくて普通の人のレベルまで、生身の人間同士が直接会って話をして、バカのひとつもやるのは効果的だと思う。その考えは今も同じ。

いつぞや話題になったインド海軍やパキスタン海軍を筆頭に、外国の軍艦が日本に来ると秋葉原に海軍軍人の集団が出現するのはお約束みたいになってきたけれど、それだって結構なことじゃないの、と思う。今の秋葉原の姿だけ見て、日本の街がみんなあんななんだと思われると問題だけれど (苦笑)。

そういう見地からすると、一般公開をしないで、しかもソソクサと立ち去ってしまった中国人民解放軍海軍 (長いぞ) は、軍艦を使った親善という見地からすると、まだまだ駄目だなと思った次第。そもそも海軍軍人というのは外交官を兼ねているようなものだというのに、中国人民解放軍海軍 (長いぞ) が、そのことをどこまで理解しているのやら…

次に来たときは、ちゃんと一般公開ぐらいすること。それすらできないで、親善も何もあるもんかと。せっかく、朝日新聞だって「一般レベルでも交流を」と書いて援護射撃してくれてるんだから :-)

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