Opinion : なくなるときだけ騒がれてもねぇ (2008/3/17)
 

フッと気がついたら、夜行列車大削減 (って、元がそもそも少なくなっていたけれど) のダイヤ改正日が過ぎていた。そういえば、「『銀河』が最終日だ !」って煽ってる IT 系ニュースサイトもあったような。

なんでも、最近では平均乗車率が 40% かそこらまで落ち込んでいたとかいう「銀河」も、最終日の分はあっという間に売り切れだったとか。そんなにみんなして「葬式鉄」したいのか。
おまけに最近は鉄道趣味を新聞・テレビまで一緒になって煽っているし、以前には見向きもしなかった IT 系ニュースサイトまで鉄道ネタを取り上げるもんだから、自分の巡回先のあちこちで「夜行列車が減っていく」とやっている。やれやれ。

そんなに、なくなるとなった途端に価値が出て人が集まるんだったら、いつぞやの近鉄ビスタカーみたいに、二度も三度もさよなら運転をやればいいと思う :-)


夜行列車が減るといえば、以前から北海道でそんな傾向があった。札幌から釧路・網走・稚内・青森・函館と 5 連発で夜行が出ていた時代はとうの昔に過ぎ去り、定期で走っているのは「はまなす」ぐらいのもの。DC 化して昼行列車と共用化するなんていう、他に例を見ない合理化をやってはみたものの、やはり維持しきれなかったということか。ちなみに自分の場合、「利尻」以外は全部乗ったことがある。

「銀河」でも「あかつき・なは」でも同じだけれど、要するに利用が少なくて維持できないから廃止になる。十分に利用があれば車輌の更新に費用を投じることもできるだろうけれど、利用がないから更新もままならない。それが結果としてさらに利用を減らす、という悪循環になってしまう。

現実問題として、車輌の問題、さらに会社間をまたぐことに起因する諸問題、ラッシュアワーにひっかかる時間帯に入れてもらえない問題など、夜行列車を取り巻く状況は厳しい。そんでもって新幹線の延長が進むのだから、なおのこと。だから、夜行列車の数が減っていくのは仕方ないと思うけれど、それだからなおのこと、なくなるときだけ騒ぐなといいたい。

特に新聞・テレビなんてのはいい加減なもので、普段は見向きもしないくせに、いざなくなるとなると急に騒ぐ。たいてい、お年を召した過去の利用者を引っ張り出してきて「若い頃には世話になった。なくなるのは残念だ。なんとか維持できなかったのか」なんて談話を載せるのが毎度恒例。

もっとも、昔はもっと酷い話があって、都市部の道路の渋滞が酷くなったときに「路面電車は交通を阻害するから廃止すべし」とやっていたのが、いざその通りになって廃止となると詠嘆調で別れを惜しんでみたりしたものらしい。どっちが本音じゃ。

夜行列車でも、地方のローカル線でも、はたまたシャッター街と化した駅前商店街でも同じだけれど、ヤバい、あるいはそれを通り越して消滅する、となると急に騒ぎ出すけれども、そうなるまでは知らんぷりって、ちょっと調子がよすぎると思う。交通機関でも商店でも何でも、それを支えているのは日常の利用なのであって、日常的に利用する人が減れば維持できなくなる。商売でやっているのだから当然のこと。

だから、日常的に利用していた人がなくなるのを惜しむのは分かるけれども、普段は見向きもしていなかった人が、いざなくなるとなった途端に大騒ぎするのって、個人的には抵抗がある。文句をいう資格があるのは、普段から支えていた人なんじゃないのかなあと。

いきなり話は変わるけれども、うちのクルマは 2 台続けて MT 車。いまや日本では MT 車そのものが極めて希少な存在になってしまったから、その希少な MT 車を比較的多く残してくれているスバル車になったのは、もう必然としかいいようがない。逆にいえば、MT 党だからこそスバルの MT 車を買い支えて維持に貢献する、ということ。

これだってロジックとしては同じことで、MT 車がなくなって欲しくないと思うからこそ、自分で先頭に立って MT 車を買っている。先に挙げた「なくなるとなった途端に騒がれる」もの達だって、同じことなんじゃなかろうか。

しかも不公平というか何というか、同じ「夜行廃止」でも、北海道と首都圏発ではもう、扱いの大きさが全然違うんだから。


「普段は利用していない人が、たまたま…」というと、平素は東海道線の各駅停車なんて利用していない人が、「青春 18 きっぷユーザーのために、東海道線の熱海から豊橋まで快速電車を」なんていいだすのも、似たようなところがある話かも知れない。

普段からそういう需要が恒常的にあるのなら、そういうスジを引いても不思議はない。でも、実際には横に長い静岡県を端から端まで行くなら、たいていの人はクルマで東名高速を走るか、さもなくば新幹線に乗ってしまう。つまり需要がない。JR 東海とて商売でやっているわけだから、日常的に需要がないものはやらない。

だいたい、あの手の企画切符っていうのは需要がないところに需要喚起するためのものなのだから、「青春 18 きっぷユーザーのために〜快速電車を」なんていいだすのは、ちとムシがよすぎるのでは。せめて、混雑が増す分だけ既存列車への増結を、ぐらいにしておけばいいと思うのだけれど。

他にも似たような話はいろいろあると思うけれど、話題にならなくても普段から黙々と利用して支えている人こそ、もっと大切にされるべきなんじゃなかろうか。モノを売る商売でもサービス業でも何でも。

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