Opinion : その "大変だ !" は、本当に大変なの ? (2008/4/7)
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国会が、アホくさい民主党の突っ張りのせいでごたついてしまい、ガソリン税の暫定税率がトバッチリで失効。うちの近所のガススタだと、リッターあたり 20 円ほどの値下がりになっている様子。
うちのレガシィ 2.0i は過去 10 ヶ月の平均でリッター 13km ぐらい走っているから *1、月間走行距離を仮に 1,000km とすると、
(1,000÷13)×20 ≒ 1,540
ということで、約 1,500 円程度の得になるらしい。大騒ぎされている割には、その程度か。なんだ。
*1 : ただし、高速が占める比率が多い。昨日なんか、諏訪で給油してから自宅に帰ってくるまでの分で、燃費計は 16.5km/L といっている。渋滞にハマった割にはあり得ない数字だけれど、下り坂が多くて、案外とエンジンを使わなかったせいかも。
といったところで思い出したのが、1973 年の第一次石油ショック。スーパーの店頭から洗剤やトイレットペーパーが消えた騒ぎが有名だけれど、それ以外でも街のネオンサインを自粛する動きが出たり、従業員にマイカー通勤の自粛を呼びかける会社が出たりした。だから私の父親も、このときだけはバスで通勤していたのを覚えている。
そういえば、製紙会社から新聞社への紙の割り当てが減らされる、なんて事件もあったらしい。すると何が困るかといえば、広告を載せるスペースが減るのが困るらしい。
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ネオンサインやマイカー通勤の自粛はともかく。騒動の主役になった洗剤やトイレットペーパーは、本当に足りなくなっていたんだろうか。本当は不足していないのに、「足りなくなる」という噂が広まって皆が買い占めに走り、その結果として品不足になったのだとしたら笑えない。実際、Wikipedia では「実は生産量は変わっておらず、むしろ騒動になってから増産した」なんて書いてある (当該記事)。
そこからさらに連想するのが、1994 年の米不足騒動。1993 年の冷夏が原因で米の作柄が悪くなり、翌年にスーパーの店頭から米が消えて、代わりに「タイ米」だの「カリフォルニア米」だのが並び、特にタイ米については嫌われて捨てられる騒動まで発生した。このとき、私はやけくそでパスタばかり食べていて、たまにカリフォルニア米が出回ると買ってきた記憶がある (関連記事)。
どちらにも共通するのは、マスメディアを通じて「不足」が煽られて、というか増幅されたこと。そりゃ確かに、「○○が足りない」とか「○○を求める消費者の列」とかいう類の状況は画になるけれども、それが報じられたことが結果として不足感を煽り、それに便乗する買い占めの動機付けにもなるのは事実。するとまた、それに起因する品不足や行列が発生して、以下無限ループ。なんだかな。
「不足」と「値下げ」では対極だからか、ガソリン値下げについては案外と消費者も冷静な対応をしている、という見方もある様子。もっとも、「どこそこではガソリンが安い」とか、「こちらのスタンドでは値下げしましたが、こちらのスタンドではまだです」なんて調子で煽っている媒体もあるのは事実。
こうなるともうほとんど、「JJ」や「CanCam」がお洋服の流行について書くのと同じノリ。そもそも、税率が下がる前の在庫品を値下げして売るのは変だ。それなのに、失効初日から値下げしていないガススタを貶めるような報道は、いかがなものか。お洋服の流行を煽っても何も問題はないけれど、それとは話が違う。
それに、冒頭で計算したように、今回のガソリン値下げによる利得は、(クルマを利用する頻度や燃費の違いにもよるけど) 案外と大きくないように思える。仮に月間 1 万円の利得を発生させるとした場合、値下げ幅 20 円なら、ガソリンを 1 ヶ月に 500 リッター消費しないといけない。
クルマを使って商売しているところならともかく、個人でそれだけ使うのは相当なもの。リッター 10km とすると月間 5,000km に相当するのだから。となると。ゴネ得ついでのガソリン値下げで有権者の歓心を買おうとしている民主党、果たして思惑どおりに行きますかどうか。意地悪な言い方をすれば、国民の血税を使って有権者を買収しているようなものだし。
「物不足」や「ガソリン値下げ」でもこんな調子なのだから、これが「大災害」とか「テロ事件」とか「戦争」とかいうことになったら一体どうなるかと、ちょっと心配になった。実際、過去にも災害に伴う流言飛語の事例はあるし、最近だと例の冷凍餃子騒動のせいで冷凍食品全体の売上に影響が、なんて話もあるようだし。
個人レベルで流言飛語が飛び交うだけでも、十分に厄介。特に最近はネットの普及で個人がどんどん情報を発信できるから、これだって内容次第ではパニックの引き金になりかねない。「さまざまな情報を集めて冷静に判断を」といったところで、限度ってものがある。
現実問題としては、(すごくひねくれた対応かもしれないけれど) 各方面で「○○が (大変だ | 流行っている | 危険 | 無くなる)」などと騒がれるようになればなるほど、「待てよ」と立ち止まってみる、なんていう手段しか取れないかも知れない。自戒も込めて。
実際、煽られれば煽られるほど、却って流行っていないのがバレてしまっている「超重い富士通ハビタット」 「Second Life」なんて実例もある。共謀罪に関して反対派の間で使われて (いる | いた) 流言飛語にだって、似たようなところがある。そういう意味では、毎日・毎週のように夕刊紙や週刊誌を賑わせている各種の煽り記事だって、後でどれくらい的中したか検証してみた方がよいのでは。
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