Opinion : 闇の陰謀組織にされちゃった (2009/3/9)
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いきなり 2ch ネタというのも何だけれど、「親米・親ユダヤのプロパガンダを撒き散らす闇の陰謀組織」なるものの存在を本気で信じている人がいるみたいで、軍事板で「闇の陰謀組織」に関するスレッドを立てた挙げ句、このサイトを陰謀組織の一員にしちゃったのだそうな。
いくら私が胃下垂の気があるからって、そんな方法で私の腹筋を鍛えようとしなくてもいいのになあ。笑えて笑えて、もう。
常々書いているように、陰謀論というのは「現実逃避」と「優越感」がない交ぜになって発生するものだと思うから、私のことを「親米・親ユダヤのプロパガンダを撒き散らす闇の陰謀組織」と認定するのは、それだけ目の上のたんこぶなのか、はたまた真正面からだと対抗できないという意識があるのか。なんて、えらく前向きに (?) 考えてみたり。
そりゃ確かに、アメリカの会社の日本法人で働いていたことがあるし、その間にモノの考え方がずいぶんとアメリカナイズされたのは確かだと思う。といっても、アメリカのすることなら何でも正しい、アメリカに関するネガティブなニュースは全部ガセネタ、なんてことは思ってないし。
それは、いつもやっている陰謀論の否定とは別次元の話。別にアメリカ合衆国が清廉潔白だなんて思わないけれども、だからといって陰謀論者が主張するような話を真に受けるほどにはお目出度くない、というだけのこと。
なにしろ、「アイドルはう○こをしない」的な発想に染まるには、ちと私は年をとりすぎている。アメリカに限らず日本についても、あるいはその他の国についても同じで、「いいこともある、悪いこともある」と、スネークマン・ショーのコントみたいなことを考えているのが日常。
だから、たとえば韓国についていえば、前の大統領とか、あるいは「今週の軍事関連ニュース」を韓国語に訳して転載した挙げ句に「著作権は自分にある」と居直ったとかいう韓国人については「しょうがないなあ」と思っているけれども、だからといって焼肉やビビンバが嫌いになったわけではないし、妹に「キムチみたいな敵性食物は食うな」なんてことはいわない (苦笑)
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もっとも、世の中では往々にして、安直にアメリカやユダヤを悪者にしておけば OK、という風潮が垣間見られるので、多少は意図的なカウンターオピニオンをぶつけることもある。でも、あくまでそれは常識的に判断できるロジックの範囲内であって、陰謀論者が往々にして展開するような、無茶苦茶な論理展開はしていないつもり。
そうはいっても、今回の件も含めて陰謀論者っていうのはロジックでは動かないもの。最初に「こうに違いない」という結論 (というか思いこみ) が発生して、あとはその結論に合いそうな話を拾い集めてきてつなぎ合わせて、足りないところはスクラッチすれば陰謀論の一丁上がり。というのが往々にしてありがちなパターンでは。
となると、真面目に相手をして「なぜ自分が親米・親ユダヤのプロパガンダと無縁か」と否定しにかかるのは、時間とエネルギーの無駄遣いのような気がする。むしろ、よく使う手ではあるけれど、ネタ化してお笑い路線にする方が、却って先方の無茶苦茶ぶりを強調できるのではなかろうか、と。
もっとも、ネタ化して遊べるのは自分が個人のレベルだからで、当の合衆国大統領あたりにしてみれば、いくら「アメリカが悪の帝国で闇の勢力に支配されていて云々」といわれても、ネタ化して返すわけにはいかないだろうから大変そう。
なにしろ、「はい、その通りです」と肯定するのはジョークとしても論外。かといって、否定したところで、陰謀論者は「真実は隠されている」というお得意の台詞を持ちだしてくるだろうから。ほんと、陰謀論者はお気楽な商売だと思う。
真正面から陰謀論を否定しにかかるにせよ、陰謀論をお笑いのネタにしてしまうにせよ、行き着くところは「陰謀論者が滑稽な存在に見える状況作り」なのかも知れない。あまり今まで、そういうことを意識していなかったけれど。
あれって一種の宗教みたいなもんだから、否定されるほど、却って「迫害されるのは自分が正しいからだ」と信じ込んで暴走するのはありがちな話。それなら、そういう傾向を逆手にとって存分に突っ走らせて、行くところまで行っちゃってくれれば、大半の人は陰謀論者のいうことなんて相手にしなくなる (かもしれない)。そんな形に持って行くのが、陰謀論潰しには効果的なのかも。なんだか「毒をもって毒を制す」みたいな感じではあるけれど。
そういう意味では、初っ端から党の幹部が「国策捜査だ、陰謀だ」と口に出してしまった西松建設の一件と民主党、実はトンでもない地雷を踏んだのかも知れない。支持者、あるいは下っ端の若手がいうならともかく、幹部がいきなりあれじゃねえ…
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