Opinion : 右と左の旦那様 (2009/6/15)
 

先週、プッツンしそうになった (古) ネタについて、もうちょっと頭を冷やして書いてみようかと。

例の「武器輸出三原則解禁」の話が出た途端に、中身をよく読まずに字面にだけ反応して「海外に兵器を輸出して儲ける国になるなんて怪しからん」と主張する人がいて、吹いた。現実問題、そんなことをやろうと思っても実現は困難だし、共同開発+αの域にとどめるのが現実的、というのは以前に書いた通り。

でも、よくよく読んでみると、「日本は平和的国家であるべきで云々」とか、お約束の「九条云々」とかいう話は出てきても、「武器輸出三原則で世界平和を云々」とは書いていなかった (本気でそんなことを考えてたら、またアレだけど)。そういえば「私が納めた税金が軍事のために使われるなんて許せない」なんて書いている人もいたような。

たまたま自分が見た数件の blog だけで全体像がこうだ、と決めつけるのは無理があるけれど、自分が見た範囲でいえば、「ああ、この人達って要するに、"平和国家日本" あるいは "平和を愛するワタシ" というイメージを維持したいだけなのね。とにかく "自分の手は汚れていない" という点にこだわってるのね」というところに思い至った。

そう考えると、例の「パソコン兵器騒動」の根底にあるものも同じなのかなあ、ということで納得できる。つまり、「平和的国家」の「平和的企業」だと思っていた会社の製品が軍用に使われていたのを知って、自分が勝手に抱いていたイメージが破壊されたもんだからキレちゃったのだろうなと。

でも、そういうのって「軍民両用の製品、あるいはテクノロジーがたくさんある」という現実から目を背けて、昔と同じように「軍用品と民生品はまったく別物である」というところで思考が止まってるだけ。グレーゾーンの存在を認められず、何でも白黒、善悪をバッサリ分けないと納得できない人。


さらにツッコミを入れると、いっていることは真逆に見えるけれども、こういう人達の根っこにあるメンタリティは、案外と「国士様」と同じなのかもしれない。拠っているネタが「日本は最高、日本の歴史に過ちなし」なのか「平和的国家の日本は最高、世界に誇るべき憲法九条」なのかという違いがあるだけで。

つまり、どちらをとっても「日本がいちばん偉い」というところに行き着くのは同じ。そうでなければ、「日本が世界に誇るべき憲法九条、それを他国に輸出しろ、世界遺産にしろ」なんて傲慢な発言は出てこないはず。それって、他国の憲法はクソだといってるに等しいということに思いが至らないのだから。

「極右も極左も背中合わせ、互いに反対の方向からグルッと回ってきて同じ場所にたどり着いた」なんていった人がいたような気がするけれども、まさにそれ。

なんて書いていたら、「防勢論争の座標軸/右翼、左翼って言葉使うの止めませんか (Flying Spaghetti Monster)」に、こんな話があったのを思い出した。(まるごと引用すると長くなりすぎるので、全文はリンク先で読んでいただければと)

  • A : 政治的リアリスト
  • B : 軍事的リアリスト
  • C : 日本型ゴーリスト
  • D : 非武装中立論
(中略)

C のゴーリストに対して最も警戒しており、目的のレベルで一致している C と D が手を組むのが最悪の事態として (以下略)

この話、まったく同感。実際、「己の理想とする姿に過度にこだわる、モノの考え方や行動」「耳当たりの良い言葉をふれて回るのが大好き」「批判的な意見に対して "誹謗中傷" とか "自虐" とかいうレッテル貼りをして噛みつき、精神的遮断機を作動させる」といった具合に、なにかと似通った部分があるのは事実。なんて書くと、当事者は真っ赤になって否定しそうだけれど。

悪知恵が働く人がいて、「国士様」と「国士的平和主義者」をくっつけたら、えらいことになる。たまたま両者に共通する敵がいれば、「国共合作」ではないけれども、「敵の敵は味方」ということでくっついてしまう可能性、なしとはいえない。実際、日本においては「反米」という共通項があるわけだし。


その点、手段に違いがあるにしても、妥協ができるリアリスト同士であれば、まだしも歩み寄れる余地があるというもの。極論に走っても、何もいいことはない。

だいぶ前に似たようなことを書いたような気がするけれど、特に、景気が悪いとか戦争の影がちらつくとかいう不安感・閉塞感が漂う状況では、耳当たりのいい声、威勢のいい声が支持されやすいもの。ことに北朝鮮問題なんかが絡んでくると、どうも冷静さを失う人が少なくないように思えるのだけれど。

でも、それを悪用しようと考える輩は必ずいるものだから、威勢のいい極論、耳当たりのいい極論にひっかからないように留意したいところ。

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