Opinion : 高速 1,000 円と鉄道会社と (2009/9/21)
 

最初は「信念と信仰の違い」について書こうかと思ったのだけれど、いつものようにあれこれとセルフディベートを始めたら話がまとまらなくなってしまったので、それは先送りしてヒマネタをひとつ。世間は連休だし。


例の「高速 1,000 円」がスタートしてからこちら、個人的にはクルマで遠出をする機会が減った。少なくとも、週末に遠出をする気は起こらない。だって、わざわざ渋滞にはまりに行く気はしないもの。しかも MT 車で。

スキーシーズンだと、仕方ないからクルマを出すこともある。でも、スキーの場合には「早起きして早めの撤収」という手を使うことが多いから、比較的、渋滞を回避しやすい。渋滞が本格化する時間帯には目的地に着いていたいのが、スキーというものだから。でも、一般的な行楽だとそういうわけにもいかない。

そんなわけで、ここのところ週末になると JR 東日本の「ツーデーパス」を買って出歩いていた。北は郡山・六日町、西は下諏訪・別所温泉までカバーしているから、工夫すれば、かなり広い範囲を移動できる。しかも「青春 18 きっぷ」と違って、特急券を買えば在来線の特急や新幹線にも乗れるし。

ただ、これをホイホイ使えるのは気軽な独り者で、しかも「乗り鉄」がメインだからという一面もある。エリアを指定して乗り放題というタイプの切符は、乗り鉄にとっては実にありがたい存在で、5,000JPY の「ツーデーパス」で 2-3 倍分も利用してしまう。(実は、単に遊び歩いているわけではなくて、仕事用のネタ拾いという側面もあるのだけれど)

でも、普通の人にとってはどうだろう。
高速道路は車輌単位の課金だけれど、鉄道は人間単位の課金。だから、家族でどこかに行楽に行こうというときには、人数が多いほど料金面でクルマの方が有利で、鉄道の方が不利になってしまう。これをどうにか解決できないか、せめていくらかでも差を埋めることができないかと思った。

鉄道の場合、利用者がいてもいなくても列車を走らせなければならないから、需要が落ち込むときに底上げするには、乗り放題タイプの切符はお得感があって有用。エリア内に限れば、遠方まで往復するだけで元が取れる金額設定になっていることも多いし。ただ、上で書いた人数単位の課金という問題は残る。

ひとつ思ったのは、家族割引みたいなことができないもんだろうか、ということ。団体割引はあるけれども、最低人数 8 名では家族単位の利用って難しそうだし、そもそも割引のレートも良くない。最低人数を 4 人ぐらいに引き下げる代わりに割引率を良くする、ただし乗変などの制限をきつくする (パッケージツアーの切符によくある取扱) とかなんとか。

料金面での割高感をいくらか緩和できて、さらに渋滞にハマらない確実性をアピールできれば、いくらか乗客を奪えないだろうかと思ってみた次第。安さだけで奪還しようとすると無理があるけれど、他のメリットとの相乗効果を発揮できれば、と。

もっとも、新幹線みたいに利用が多いところはどっちみち混むわけで、むしろ混雑する幹線以外のところで需要喚起したいという考え方も成り立ちそう。そうなると、違ったアプローチが必要になるのではないか、とも思える。

といっても、そこで環境原理主義者みたいになって「あなたは CO2 排出削減に協力しますか ? それとも人間やめますか ?」なんて宣伝するわけにはいかんけれど。
いっそのこと「酒をかっくらっていても移動できるぞ」と宣伝するとか… (殴)

それに、鉄道には「駅から先の足が要る」という根本的な泣き所があって、これは door to door で動けるクルマには到底かなわない。特に人や荷物が多い家族での移動となると、列車で移動するのは大変だなあ、と思われても無理はない。クルマだったら、とりあえずトランク/荷室に放り込んでしまえば出発できるけれど。

結局のところ、鉄道が単独ですべての需要をカバーするのは難しくて、「幹」の部分は鉄道、フィーダーの部分は徒歩・自転車・レンタカー・バスなど、といった感じで連携するしかないのが辛いところ。スキー業界なんか典型例で、駅から徒歩で行けるスキー場なんて知れている。もっとも、駅前スキー場ならみんな繁盛しているわけではないから、駅からの距離の問題だけではないけれど。

こんな調子でいろいろ考えていると、「もっと鉄道会社は危機感を持つべきで、何か対処しないと」とは思うが、なかなか決定的な対案というのは出てこないもの。難しい。もっとも、ガソリンの値段が馬鹿みたいに跳ね上がるとか、とてつもない渋滞が多発して皆が嫌になる、とかいう事態になれば、また状況は変わってくるかも知れないけれど。


現実問題としては、「高速 1,000 円」とか「高速無料化」によるダメージが大きいのは、鉄道業界以上に高速バス業界とトラック業界の方かも知れない。ちなみに、これを書いている 21 日朝の時点で、東北道では 60km、東名では 25km、中央道では 50km、関越道では 40km の渋滞が発生している。

もともと、バスというのは時間がアテにならない傾向が強いけれども、これだけ週末ごとに派手に渋滞が発生するとなると、時刻を決めて運行するとかいうレベルではなくて、時刻表に「いつかきっと着く」とでも書かなければならないかも ? 乗客もさることながら、運転士が大変だ。

関連 :
高速 1000 円にもっと鉄道会社は危機感を持つべきだ (東雲の独語)

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