Opinion : いわゆる電波さんに関する一考察 (2010/1/11)
 

個人でも組織でも、あるいは国家でも、「普通、そこまで突き抜けたことはいわないもんじゃないの ?」と思うようなことを、平気で公言してしまう場合がある。この場合の「突き抜けた」というのは当然ながら誉め言葉ではなくて、ネットスラングでいうところの「電波系」のこと。

右・左に関係なく、極端な主張をする人はいるものだけれど、それだけで「電波」というレッテルを貼られるのかというと、違うような気がする。それに、主張している内容はありきたりのものであっても、言動が原因で「電波」扱いされる場合もある。


よくあるのは、見えない敵と戦ってしまう人。アメリカ大統領を陰で操る闇の陰謀組織、なんてネタを真に受けてしまうのが典型例だけれど、その他諸々の陰謀論にひっかかって吹聴して回る人もチョイチョイ見かける。

似たような例で、「自分が○○のことを批判するエントリを blog に上げたら、その○○の Web サイトにアクセスできなくなった。○○が自分のことを監視しているからだ」と本気で信じ込んでしまう人も。
んー、それって大半は単なる自意識過剰でしかないような。リアルで抗議文を送りつけたとか、あるいは出張って行ってデモ活動をやったとかいうならともかく、blog のエントリひとつでいちいちアクセス規制していたら、相当な暇人だ。

俗に「電波」のレッテルを貼られて観測対象にされてしまうような人には、その自己顕示欲以外にも、こんな傾向があるように思える。

  • 「自分はこんなところで燻ってるタマじゃない、もっと評価されて然るべき」という一種の上昇志向 (その割には、ありきたりの陳腐な主張しかしていなかったりする)
  • それと裏返しのルサンチマン。自分が不遇なのは社会が悪いせいだ、という責任転嫁。その中でも特に、「小泉改革が悪い」という主張はポピュラー
  • 自分を大物に見せようとする、あるいは、持ち上げられていないと満足できない、といった虚栄心。既存の大物の尻馬に乗っかって、自分も成り上がろうとする場合もある
  • その手段として、世の中の主流派とか、ネット上であればネット有名人 (リアル著名人もあり) に噛みつく場合も。さらにエスカレートして、「(有名人などが) 自分のことが気になって仕方ないらしい」と妄想するケースもある。先のアクセス規制の話にも通じる話

「alternative な俺様は正しい、主流派のやることはいつも間違い」みたいな話に持っていくと、実はそこに矛盾があって、立場が入れ替わって自分が主流派になれば、alternative でも何でもなくなってしまう。批判するだけの立場にあれば気楽なもんだけれど、批判される立場、責任を負うべき立場になったら従来の主張をコロコロとひっくり返す事例、どこかで散見されるような。

だから、いわゆる「電波さん」は、実は決して主流派になれないし、ならない方が都合がいい。文句だけいっていればいい気楽な立場で、自分がいかに素晴らしくてグレートで偉大でトリメンダスで先が読めて予言が当たるのか、ということばかりを延々と繰り返していなければならない。

そして、そのことを他人に突っ込まれれば、それはそれで「敵に囲まれても雄々しく戦い続けるワタシ」という自己陶酔に浸れるし、blog が炎上すれば好都合此絶好機、という話になってしまう。

正直な話、いっている内容の良し悪しは別として、こういう態度の人をまともに相手にするのはどうか、と思ってしまう。


こういう類の話、何も個人に限らず、国家でも見受けられることがよくある。特に、周囲をみんな敵に回した独裁国家の類では。まわりに敵をいっぱい作って、それに対して雄々しく立ち向かう国家指導者、という構図を作っておく方が体制維持には都合がいいし、国民の不満を多少なりとも外に向けておくことができる。

そういう場面では、過激な発言、勇ましい発言が重要。ときどき実際の行動に移してパフォーマンスをやってみせれば、さらに裏付けが強まる。国だったら、ときどき近隣諸国と銃撃戦をやってみせるとか、なんとか。

そこでついでに「すべて自力で開発した国産新兵器」の発表を投下すれば、もう完璧。それが以前から存在するものを手直ししただけだろうが、実は性能的に大したものでも何でもなかろうが、そんなことは知ったことじゃあない。内輪向けのプロパガンダなのだから、それっぽい立派な見た目を備えていて、国民に真相がバレなければいいし、試験で失敗しても「成功した」と宣伝しておけば OK。外国で「失敗した」と報道されれば「我が国を陥れるための陰謀/プロパガンダ」といっておけばいい。

それと似たようなことを組織レベルでやろうとしてずっこけたのが、例のシーシェパードだったのかもしれない。だから、初戦であっさり沈没した例の例の抗議船は、速度性能もさることながら、見た目が重要だったのではないだろうか。「悪の捕鯨船と雄々しく戦う正義の味方」という対外イメージを維持するための。

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