Opinion : いったん手に入れたものを奪うのは難しい (2010/7/12)
 

しまった。タイトルだけで用が足りてしまった。と、それだけではあんまりなので。

物理的な「モノ」だけでなく、「環境」とか「境遇」とかいった類も含む話になるのだけれど、いったん、何かを手に入れた後でそれを奪おうとすれば、激しい摩擦を覚悟しないといけないことが多い。

たまたま自分は「バブル世代」に分類される世代。だからといって、そんなにバブリーな生活をしてきたわけではないつもりだけれども、実際、自分が大学を出て就職した頃は、今にしてみれば冗談としか思えないようなことがいろいろと起きていた。具体的な事例を書き始めると、いまどきの学生さんなんかが怒髪天を突きそうだから、書かないけれど (気になるようだったら、検索エンジンか何かに訊いてみてね)。

ともあれ、そういう時代を体験してしまうと、その後で景気が悪くなって「緊縮型」に転じた際に、適応できなくて苦労する人もいるだろうな、とは思う。これも、「いったん手に入れたものを奪うのは難しい」の一例。

そこまで極端でなくても、たとえば給料が下がるとか、お小遣いが減るとか、広い家から狭い家に引っ越すとか、メシの量が減るとか、メシの質が悪くなるとか、該当しそうな話はたくさんありそう。

消費税の税率を上げるという話が政治家にとっての地雷になっているのも、根っこは同じことなのでは。しかも一方では、耳当たりの良さにこだわって「増税反対」と「国がなんでも面倒をみろ」を並べて主張する無責任政党がいることでもあるし。


ともあれ、現時点で手にしているモノとか状況とかいったものを、何かの事情で手放さないといけない、あるいは手放さないといけないかもしれない、となったときに。そこで、なんとか折り合いを付けて適応していける人と、最盛期のことが忘れられなくて現実に適応できず、ますますグダグダになってしまう人がいる。

たまたま最近、ある案件に関連して、まさにこのパターンに該当しそうな事例を目にした。昔のことを知っていれば、現時点で手にしているものが必ずしも当初からのものではなく、むしろ周囲の状況に恵まれたが故の部分もあった、というのは分かる。でも、現状しか知らずに育った世代であれば、それが既定値であって、その状況を奪われるのは我慢ならんのだろうな、と。

でも、そこで現実から目を背けてゴネて駄々をこねて、それで状況が改善するかどうかは別の問題。実のところ、ますます状況を悪くしてしまう可能性の方が高いと思う。つまり、現時点で「100」あるものが「70」に減るかもしれないという状況で駄々をこねていたら、結果として「30」とか「0」になってしまった、なんて悪夢的事態になりはしないかと。

つまりは、過去に何回も書いている「all or nothing 思考の罠」に該当する話で、すべてを守ろうとして大半を、あるいはすべてを失う危険に陥りはしませんか、という類の話。

もしも、現時点で手にしているものを手放さなければならないのであれば、なすべきことは、被害をできるだけ少なく抑えつつ、現実に適応すること。それでとりあえず後退の傾向を食い止めたら、またそこから盛り返すことを考えればいい。現状に対して「死守命令」ばかり濫発していると、むしろその方が、傷口を拡大することの方が多いと思う。

たまたま「死守命令」を出したらうまくいってしまった場合でも、どうしてそれが成功したのかを冷徹に判断・理解しておかないと、「死守命令さえ出せばうまく行く」という勘違いになりがち (誰のこととはいわないけれど)。その「死守命令」もタチが悪いけれど、「問題の先送りによる現実逃避」もタチが悪い。これも、早めに手を打った場合よりも事態を悪化させる可能性が高いのでは。


小難しいことをいわなくても、これは要するに「歯医者」みたいなものだといえば分かりやすいかも。歯医者に行くのが好きな人はあまりいないと思うけれど (全国の歯医者の皆さん、ゴメン)、だからといって歯の痛みなどを放置しておくと、もっと悲惨なことになる。

こう書いている当の本人からして、何年も歯医者に行くのを放置していたら、しっかりツケを払わされた。10 年ばかり前の話だけれど、親知らずを立て続けに 4 本、抜いたり破壊したりする羽目になった経験がある (爆)
今年の歯医者通いではそこまで悲惨ではなかったけれど、歯石がかなり堆積していて (なにせ 10 年分である)、それを取り除くために手間がかかり、口の中がスプラッター状態になった (屍)

「で、抽象的な話ばかりだけれど、アンタはいったい何について書きたかったのか」と訊かれそうだけれど、それは御想像にお任せします :-)

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