Opinion : 一番を目指すくらいでちょうど良し (2010/9/6)
 

先に、私の友人が mixi 日記で紹介していて、その後に電車に乗ったら現物に遭遇、苦笑してしまった広告がこれ。

どう見ても「事業仕分け人」に対する嫌味です。本当にありがとうございました。


私はどちらかというとアメリカ的 (?) なモノの考え方をするのか、「競争なくして進歩なし」だと思っている。それに、特にビジネスの世界では、当事者が独占したいと思っていても、美味しい市場だと思えば次々に新しいプレーヤーが参入してくるものだから、望むと望まざるとに関わらず、競争になってしまうもの。

書籍の世界なんか典型例で、誰かが何か「当てる」と、たちまち後追い企画がゾロゾロ出てくることが頻繁にある。もっとも、「後追い」といっても単にコンセプトをパクっただけだったり、さらに新しい仕掛けを追加したりと、いろいろ細分化できるのだけれど。

ともあれ、プレーヤーが増えて競争になれば、当然ながら誰かが「1 番」になり、その他が「2 番以降」になる。ただ、そこで注意しないといけないのは、「1 番」「2 番」の決め方に 2 種類あること。

ひとつは、すでに客観的・絶対的な指標が決まっていて、それに対する達成度を競う場合。その場合、複数のプレーヤーが同じ達成度を実現すれば、複数の「1 番」が現れる可能性がある。もっとも現実問題としては、このケースに該当する事例はあまり多くないのではないかと考えられる。なぜかといえば、客観的・絶対的な指標が確立していることが多くないから。

それゆえ、主流になっているのは相対的な順位を競うもの。何か共通する判断基準があって、その中でもっとも良い結果を出したプレーヤーが「1 番」になり、以下、結果の良し悪しに応じて順番が決まる。この場合、「1 番」は一人だけということになる。たとえば自動車レースであれば、もっとも速く (正確には最短時間で、か) ゴールすると 1 番、つまり優勝である。

後者の場合、ひとつしかない「1 番」の椅子を多くのプレーヤーが競い、奪い合うわけだから、ちょっとでもライバルに先んじなければ「1 番」の奪取は覚束ない。最初から「2 番でいい」とか「参加することに意義がある」なんていっていたら、1 番を獲るどころか、競争について行くことすら危うくなるかも知れない。いつも周回遅れになっている、テールエンダーの F1 チームみたいなものである (失礼)

つまり、結果的に「1 番」を獲れるかどうかはともかく、少なくとも意識の上では「1 番」を獲るつもりで居続けないと、「2 番でいい」ですら実現できないし、それどころか脱落者になるのがオチ、ということ。
(ちなみに、うちの blog は PV トップを目指そうとかランキングでトップを目指そうとかいうことをまるで考えていないので、まさに「1 番」を目指していない典型例。そもそも、blog は応接間、mixi 日記は茶の間、という CONOPS だからいいんだけど)

そして、よしんば 1 番をゲットしたとしても、今度は「追われるものの辛さ」がやってくる。そこで「1 番になったのだから」といって気を抜くと、たちまちドンデン返しが待っている。

もしも、当事者同士がカルテルというか協定を結んで「競争するのは止める」なんていいだせば、進歩が止まってしまう。分野によっては、社会的な不利益につながる可能性もある。どういうわけか、「競争することは悪である」という考え方がしぶとく存在するものだけれども、現実問題、競争するから進歩があったのは紛れもない事実。

そこで「自分は世界でひとつだけの花、オンリーワンで OK」なんていうのは、ハッキリいってしまえば現実からの逃避に過ぎないのではないかと。どうしても競争するのが嫌なら、競争から降りる代わりに、それに付随して手に入るかも知れない進歩も捨て去る。あるいは、ライバル不在のブルーオーシャンを捜す。それしかないんじゃないかと思う。

もっとも、昨今の牛丼屋の値下げ競争みたいなのは、進歩を目指すための競争というよりも、単なる消耗戦と位置付けられるのではないかと思うが。一見したところでは競争しているように見えるけれども、競っているのは商品の内容というより企業体力。
値下げ競争につきものの体力勝負に負けて、そこから脱落するプレーヤーが続発すれば、最後まで生き残ったプレーヤーによる独占的状態が現出する、なんてことにもなりかねない。


そんなわけで、「1 番でなければいけないのか、2 番でもいいではないか」なんていうのは、競争というものを知らないか、あるいは競争から逃避するための戯言じゃないのか、と。

だいたい、そういう発言をしている仕分け人だって、自分の党の比例代表名簿で順位を競うことになれば、当選できる確率が高い名簿 1 位を狙いたいと思うのでは ? 多くの候補者が名簿の 1 位を狙うだろうけれど、その中で 1 位になれるのは一人だけ。他所の業界だって同じなのである。

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