Opinion : 結局、文句をつけるだけが目的 (2010/9/13)
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あの「タフブックの杉原氏」が、今度は準天頂衛星「みちびき」の打ち上げに反対する論陣を張って失笑を買っていた模様。しかも、反対の甲斐なく (笑) 「みちびき」は無事に打ち上げられた。おめでとう。
さらに、氏はいつのまにやら Twitter に登場。そして、こんな論陣を張っているのを発見した。
軍民両用技術の軍事利用に反対すると「あらゆる軍民両用技術に反対するのか?」と、いろんな技術を挙げてみせる「反論」がよく来る。それは安易なはぐらかしであり、反論として怠慢。「私たちがいずれを選ぶかで技術の二面性は克服される」とは、宇宙基本法に反対した池内了さん (宇宙物理学) の言葉。
http://twitter.com/kojiskojis/status/23149426858
うーん、なんというブーメラン。自分で自分の背中を撃っていることに、まるで気付いておられない様子である。そもそも、少なくとも私の場合、軍民両用製品のネタを持ち出したのは、反論するためではなくてお笑いにするためだというのに。そこのところをちゃんと理解しておられる方のツイートがこれ。
その騒動の時、http://bit.ly/9fHiN8とかhttp://bit.ly/bHBAs7でからかわれたのがよほど悔しかったのか、少し前のツイートに"いろんな技術を挙げてみせる「反論」がよく来る"と主張してますね。
(http://twitter.com/Advanced_MH/status/23223978564)
わはは。
からかったり、おちょくったりするだけでは何なので、今回は真面目に書いてみることにして。
たいていのテクノロジーには二面性があり、使い手次第で善用も悪用もできるし、民生用にも軍用にも使える、なんてことは、私が何年も前から書いてきた。それを逆手にとるつもりで、上の発言を引用 (というか転載というかコピペというか) したのかも知れない。しかし、それが実は命取り、盛大な自爆行為。
「私たちがいずれを選ぶかで技術の二面性は克服される」ということは、早い話が「善用も悪用も使い手次第」ということだと解釈できる。それなら、どんなテクノロジーであれプロダクトであれ、それを作ったり売ったりする側ではなく、使う側の問題という話になる。すると、物言いをつけるべき相手は製造・供給元ではなく使う側である。
たとえば、冒頭で引き合いに出した準天頂衛星。それが軍用に使われるのが怪しからんというならば、準天頂衛星そのものに罪はなく、それを軍用にしようとするのが問題、という話になる。となると、準天頂衛星の打ち上げそのものに反対するのは、「私たちが (以下略)」という発言を引用した行動とは矛盾する。
そもそも、準天頂衛星の軍事利用を云々している時点で「見えない敵」と戦っている印象が拭えない。限られた地域で、限られた数しか出そうにないレシーバーを武器誘導用に作ろうというヒマなメーカーが、いったいどれだけあることやら。
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冒頭で取り上げた、4 年半前の爆笑ネタ・タフブックの一件も同じ。使う側の問題というならば、タフブックそのものが問題なのではなく、それを軍用に使うことが問題ということ。であれば、タフブックを回収しろとメーカー、あるいは販売店に求めるのが、果たして筋の通ったやり方なのか。
せめて「タフブックを軍用に利用できないようなロック機構を付けるように求める」というなら、(それで世界が平和になることはないにしても) まだしも理解はできる。でも、メーカーに回収を求めるのでは物言いをつける先が違う。結局のところ、物言いをつけやすい相手に物言いをつけて、自己満足してるだけ、といわれても仕方ないのではないか。
「軍や警察に販売することが問題なのだから、メーカーに回収を求めるのは筋が通っている」と反論されそうだが、それこそ詭弁というもの。軍や警察に販売されたタフブックが、必ず "兵器" として使われると断言できるのだろうか。煎じ詰めれば、やはり「使い手の問題」という話になるのだから、話の持って行きどころが違う。
結局のところ、戦争に関係がありそうなものに手当たり次第に物言いを付けたり、戦争に関係があるとこじつけて手当たり次第に物言いを付けたりするだけの、「運動の自己目的化」という話。「どうすれば平和を実現できるのか」という確たる定見がないのだといわれそうだ。
そして、その場その場でとりあえず使えそうな話を拾ってきて、コピペして済ませるから、冒頭で指摘したような、筋が通らない矛盾が発生することもある。早い話が「いいことをしている気分」が欲しいだけで、「自分の言葉がない」ということなんじゃないだろうか。それで世界が平和になるもんだろうか。
氏は「軍産複合体」がお嫌いみたいだけれども、そうやって「分かりやすい悪役」を設定して「○○が滅びれば世界は平和♪」という単純思考でやっている限り、永遠に状況は変わらない。第一、そういう憎悪の心こそが根本的な紛争の原因になっている、ということにも気付いておられないのでは。
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