Opinion : 何事も CONOPS あってのもの (2010/9/20)
 

何か新しいネットサービスが出てくると、たいてい、以下のような流れを辿ると思う。(以下、「○○」にはネットサービス名が入る)

「○○のサービスがスタート」「早期に○○に手を出す人が現れる」「何かの事件・イベントなどで○○が活用される」「それで一気に○○が注目されてユーザーが増える」「○○で商売に成功しました、○○でマーケティングしてます、とかいう人が現れる」「○○が世界を変える、などと主張する人が現れる」「企業などがこぞって、公式○○をスタートさせる」「それと前後してユーザー数がワッと増えて、書籍や雑誌の記事も氾濫する」「しばらくすると飽きられて、○○の限界、みたいな記事がチラホラ出てくる」「新しいサービスが出てきて、みんなでそっちに大移動」「使われなくなったアカウントが死屍累々」

現時点で "熱い" サービスといえば Twitter なわけで、自分も一応、アカウントは持っている。でも非公開ツイートだし、有意なことはほとんど何も投稿していない。一応は持っておこうか、という程度の存在。おまけに、専用クライアントのフィルタ設定でリツイートを全部遮断しているので、フォロー先の人が投稿したものを見るだけ。

というのも、個人的にはうまくハマらないと感じたから。すでに本館があって blog があって、主として仲間内のコミュニケーションに mixi を使っていて、それだけでもう手一杯。これ以上、情報発信のチャネルを増やしても使いようがないし、時間やリソースに余裕があれば本業に使うのが筋というもの。

それに、気合を入れて情報発信するには、140 文字という制限はちょっと厳しいものがある。また、脊髄反射で要らぬことを口走りそうだから自主規制している、というのもある。blog だったら Windows Live Writer で下書きしてから投稿できるので、まだしもそういうリスクは少ない (と思う。それでもときどき、誤字脱字や誤変換などの失敗をやっちゃうけれど)。

それに、即時性にものをいわせて "実況" する必要性をほとんど感じていない。実況するとしても仲間内だけにしたいのであって、不特定多数に対して、自分がどこで何をしているかをいちいち触れて回るなんて真っ平ごめん。


ネットサービスに限ったことでもないだろうけれど、肝心なのは「運用コンセプト (CONOPS)」なのかもしれない、なんてことをフッと考えた。それに、誰しも手持ちのリソースは有限だから、それを何にどう配分するかを、置かれている立場や状況に合わせて考えないといけない。

自分は職業物書きだから、「おカネをいただく原稿で使うネタ」と「おカネをいただく原稿にはなりにくいネタ」「現時点ではおカネにならないけれども、何か将来につながるかも知れないネタ」などを、仕事用の原稿・本館の記事・blog の記事などに適当に配分して使い分けるように意識している。

これも運用コンセプトのひとつ。商売用の原稿に使いそうなネタなら、他のチャネルには回さない。そういう意味では、本館 Opinion は「思考実験」みたいなところがあるし、「今週の軍事関連ニュース」は仕事用の素材をついでに公開しているという位置付け 。blog は「仕事の裏話・自分の日常・ニュース速報・コミュニケーション」といった位置付け。仲間内で馴れ合いたければ mixi を使う。

つまり「オフィシャルな本館」「blog は応接間」「mixi は茶の間」という運用コンセプトを掲げているので、そこには Twitter が入り込む余地がないという話。かくして、Twitter は連携機能を活用する「mixi ボイス投稿機能」に成り果てた。もちろん、ここまで書いてきたことは自分の個人的な好みや事情の話だから、万人に適用できる訳ではないけれど。


現実問題、流行に乗っかって Twitter を使い始めてみたものの、「え ?」と思わされる事例もある。たとえば、Web 媒体の公式 Twitter アカウントで何をつぶやいているかと思ったら、新着記事の短縮 URL がズラズラと貼り付けてあったりする。それだったら RSS フィードでもいいような気がするけど。

この RSS フィードというやつも、ワッと盛り上げられて、さっと話題の第一線から捨てられたものの一例 (定着はしているし、自分もメーカーなどの更新情報チェックに活用してるけれど)。誰とはいわないけれど、RSS フィードで革命が起きるぞ、みたいなことを吹聴していた人もいたと思うんだけれどねえ…

少し前だと、企業などで「公式 blog」を開設するのが流行ったけれども、これも上手に使っているところと、単に情報発信のチャネルを増やして公式発表の二重投稿にしてしまっただけのところがある。個人的には、安比高原の公式 blog はうまいこと、公式サイトのオフィシャル情報との棲み分けができている部類だと思う。これも、当初の CONOPS がしっかりしていたから、ではなかろうか。

早い話が、流行ってるからといって次々に新しいネットサービスに手を出すことを繰り返してもナンなので、自分の性格とかポジションとかリソースと照らし合わせて運用コンセプトを考えてみて、使えそうなら使うというスタンスでいいんじゃね ? という話。そりゃ確かに、流行っているネットサービスを使って何かすると "ナウく見える" 傾向はあるにしても。

過去の事例からいって、Twitter だっていずれは沈静化して、その頃にはみんなで新しいサービスに雪崩を打って飛びついている可能性は低くないだろうと思われる。いや、なにもネットサービスに限らないか。ハードウェア、たとえば Netbook なんかだってそうだ。いろいろ理屈をつけても、煎じ詰めれば「機能・性能をへつって安くした PC」でしかない Netbook が大流行を経て失速したのは、無理もない話じゃないかと。

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