Opinion : 旅客機の利用と電子機器の利用 (2011/5/16)
 

今回はあまり肩に力を入れないで、ふと思ったことをつらつらと書いてみたい。え、いつもそうじゃないかって ? まあまあ (苦笑)

今年の 4 月からだったか、飛行機の機内における電子機器の取り扱いについての規定が変わり、電源をオンにしても良いタイミングが少し増えた。といっても、搭乗/降機のためにドアが開いている間は電源を入れていられるようになっただけなので、全体でいうと「微増」というのが実情かも。

あと、離着陸時は相変わらずダメだが、巡航中は電子機器を使っても良いことになっている。といっても、その場合でも「電波を発する電子機器の利用は禁止」だから、電波を発しない機器に限られる。となると、特に最近は IEEE802.11 無線 LAN を内蔵するデバイスが増えているので、それが問題になりはしないかと。


手元のノート PC×2 台はいずれも、無線 LAN アダプタを止めて電波を出さないようにできる。さらに無線 LAN のオン/オフを表示するインジケータも付いているから、それで確認すれば間違いは起きない。平素から無線 LAN を使用することは少ないのでオフが既定値なのだが、空港ラウンジなどで無線 LAN を使用することがあるので、そのときには搭乗前にチェックしている。

ともあれ、明示的に無線 LAN のオン/オフを指定できる機器はそれでよい。問題は、無線 LAN のオン/オフを指定できない機器。自分が使っていないので分からないけれども、3G 携帯電話と無線 LAN の両方を内蔵するスマートフォンの場合、電源を入れると両方とも動作したままになるんだろうか。とすると、巡航中の機内でも使えないことになってしまう。

と書いたら、blog のコメント欄で教えていただいた。iPhone でも Android でも「機内モード」というのがあって (まんまなネーミングだな)、3G/WiFi/Bluetooth をまとめて停止させられる由。そうでなくては困ってしまう。ともあれ、コメントしてくださった皆様に感謝。

もうひとつ、気になったのが Eye-Fi。無線 LAN を使ってカメラから写真を転送できるのは便利だけれども、無線 LAN だけ止めることができないと、カメラに電源を入れたら電波が出る、ということにならないだろうか。となると、巡航中の機内で何か撮影しようとしてカメラの電源を入れた途端に、意図的ではないにしても、法律違反の状態になってしまう。

このほか、ゲーム機で IEEE802.11 のインターフェイスを内蔵するものがあるし、携帯電話や音楽プレーヤーなんかで Bluetooth ヘッドフォンを使うこともあるだろうし。もっとも、Bluetooth の周波数帯は IEEE802.11 無線 LAN と同じ ISM バンドの 2.4GHz 帯だけれど。

もっとも、飛行機の機内で電波を出す機器が使えないことをメーカーが承知していないとは考えにくい。だから、巡航中の機内で使いたいというニーズを考慮して、電波の発信だけ止められるように設計してくれていれば、それで問題はないだろうけれど。

とはいうものの、電波の発信を止められる機器であっても、ユーザーが状況に応じてきちんとオン/オフするかどうかは、また別の話。実際、隣の席にいた乗客が、電源を入れっぱなしの iPhone を見とがめられたときに、電源を切らずに荷物の中にしまい込んだだけだった、なんて事例もある。


なんていう調子で思いつくままに例を挙げてみたものの、現実問題として、2.4GHz 帯の無線 LAN が飛行機の電子機器に悪影響を及ぼすのかどうか、という話もある。というのも、かつて Connexion by Boeing という衛星インターネット接続サービスがあって、これは確か機内でのインターフェイスに IEEE802.11 無線 LAN を使用していたから。

Connexion by Boeing を使っても問題ないのなら、他の IEEE802.11 デバイスだって同じじゃないの ? と思ったのだけれど、どうなんだろう。もっとも、この手の話になると「屁理屈」の領域に入ってくるかも。

それに、たまたま IEEE802.11 で問題がなかったとしても、他のデバイスで問題が出ないとはいいきれない。ノート PC の場合、内蔵している無線デバイスは IEEE802.11 の 2.4GHz 帯だけでなく、5.2GHz 帯の場合もあるし、さらに WiMAX や PHS のインターフェイスを内蔵するものもある。PHS は 1.9GHz 帯、WiMAX は 2.5GHz 帯だ。

かといって、いちいち無線インターフェイスの種類を意識して電源のオン/オフを判断しろというのは、ユーザー本人にとっても、そのユーザーに御注進する立場にある客室乗務員にとっても、話がややこしすぎる。それであれば包括的に網を被せて「電波を出すものは全部駄目」とする方が話がスッキリするし、説明する方もされる方も理解しやすい。

ただし一方では、電波を発する電子機器がどんどん増えて、数だけでなく種類も多様化している実情がある。その中には、電波の発信だけを止められるものもあれば、止められないもの (つまり本体の電源を切るしかないもの) もあるだろうから、ついうっかりして電源を入れてしまい、意図せざる法律違反につながる事例が増えそう。

便利な時代になったなぁ、と思うことが多い反面、ややこしい時代になったものだなぁ、とも思う。いちばん大変なのは、乗客と直接接する立場にある客室乗務員の皆さんだろうけれど。

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