Opinion : 来年の抱負 : ドンガラ < アンコ (2011/12/19)
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予定通り行けば、これをライブする週の半ば、12/20 に F-X の機種が正式決定しているはず。これで来年は、F-X 関連以外の分野でいろいろ原稿を書く機会が増えるだろうか、と期待している。
戦闘機といえば花形、注目の話題だから取り上げる機会が増えるのは当然。四半世紀に一度あるかないかという場面で、しかも今回は取材する側に立場を変えていろいろ見聞きすることができたので、F-X に関わるのはエキサイティングだった。(←すでに過去形で書くか ?)
ただ、F-X の話題ばかりが脚光を浴びて、その陰で押し出されてしまったであろう話題がいろいろあるのは間違いなく、そういうのを掬い上げていくのも面白い。これ、来年以降の抱負。
自称「ドンガラよりアンコ教の教祖」としては、航空機、艦艇、あるいは車両といったプラットフォームそのものが仕事をする種類の装備よりも、そのプラットフォームに積み込んだミッション システムが仕事をする種類の装備が面白い。
飛行機でいうと、早期警戒機、空中警戒管制機、あるいは対潜哨戒機といったところ。いってみれば、「アンテナの数 > 兵装の搭載数」。そういう意味では電子情報収集機なんか最高レベルの面白さだろうけれど、あれは機密度が高すぎて「書く」以前の段階で話が止まってしまうので、残念ながらパス。
実のところ、プラットフォームの能力にばかりフォーカスしないでミッション システムに光を当てることが、たとえば F-35 という機体の真価を知ることにつながるのではないかと思う。単に「ステルス」とか「最新鋭」とかいう文脈であの機体を眺めると、すごい勘違いをするに違いないと思っているから。
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実は、何も軍用機に、いや艦艇や AFV やその他の諸々をひっくるめた、いわゆる武器以外の分野でも、「ドンガラよりアンコ」の傾向が強まっている。ハイブリッド方式の自動車なんか典型例だし、ITS が広く使われるようなことになれば、ますますそうなる。鉄道車両や旅客機はいわずもがな、商船だって目に見えないところでいろいろやっている。
だから、「専門家と普通の人の間に立つ通訳」を標榜する身としては、そういうところにも可能な限り、着目していきたいなと思うところ。そうすることで、「なんだかよく分からない魔法みたいなテクノロジー」が少しでも減れば嬉しい。
それに、「なんだかよく分からない魔法みたいなテクノロジー」という見方をされると、えてして過剰な期待、あるいは過剰な恐怖感につきまとわれてしまう。ボルトやナットの部分まで把握するには至らなくても、基本的な原理や考え方だけでも分かっていれば、そういうことは減らせるんじゃなかろうか。
あと、技術的なところ以外の話では、「○○を動かしている仕組み」「○○を支える仕組み」なんていうのも面白い。強引に広義の解釈をするならば、これもドンガラというよりアンコに属しそうな話。
軍事がらみだと、典型例が兵站業務ということになるけれども、「兵站 = 物資補給」というのは、ちょっと視野が狭い見方だと思う。物資を供給するのは大事だけれど、それだけでは戦争に勝てない。他にも関わってくる要素はいろいろあるし、さらに話を広げるならば調達とか契約とかいう話にもつながってくる。また、物資そのものにだって着目したい。なにも戦闘糧食だけが兵站関連物資というわけではないし。
先日に blog のコメント欄でも言及した話で、FMS (Foreign Military Sales) という制度。あれにケチをつける人はたくさんいるけれども、FMS がどういう制度で、どういう流れで動いているのか、端から端まで承知した上でケチをつけている人、どれぐらいいるだろう。これなんか、「調達」にまつわる典型的なネタである。
F-X に絡めるならば、どちらかというと「国産化、せめてライセンス生産じゃないとヤダ」と思っている人が FMS 経由の輸入を否定する名目として、都合のいい事例を引っ張り出してイチャモンつけてるだけじゃないかと思うことがある。だからいつも、出てくるのは E-2C と MH-53E の話ばかり。V.S.O.P.。
でも、そういう割には FMS が具体的にどういう制度なのか分かっている人って多くないんじゃないか、という印象がある。それならそれで、書き手としての出番がひとつ増えることになる。問題は、こういうネタを取り上げてくれる媒体があるかどうか、だけれど…
ともあれ、個人的な興味としても、あるいは仕事の方向性としても、「ドンガラよりアンコ」を基軸に据えるということで、ひとつ。
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