Opinion : 溺れる者は詐欺をも掴む ? (2012/2/6)
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以前から、「○○に△△が効く」とテレビ番組で紹介すると、翌日から該当商品がスーパーの店頭から消え失せて、メーカーは追加生産に大童、という現象が起きる事例がいくつもあった。最近だと「インフルエンザ予防に効果があるらしい」というヨーグルトが店頭から消滅しているとのこと。
ヨーグルトといえば、以前に某スーパーで「花粉症に効果あり」という POP を付けて売っていたことがあったと記憶しているけれど、個人的にはまるで実感できない。というかそもそも、薬事法との絡みで、どうなんだろう。
何か病気を抱えている、あるいは病気などの不安を抱えているときには、それこそ「溺れる者はなんとやら」で、効果がありそうだと聞けば何でも試したくなるもの。そういう心理を完全に否定することはできないし、「何もしないより、多少なりとも効果があればマシ」ではあるけれども。ただし、そこで過剰な期待感ばかりがパンパンになって先行すると、落とし穴にはまるのでは ?
そもそも、「効果がある」といっても、100% 確実に効くというものから、「統計をとってみると効果があるように見受けられる」というレベルのものまで、千差万別。ことに健康が関わるものになると、前者のようなモノは滅多に存在しないから、たいていの場合には「効果があると信じて試す」ことになる。
しばらく試してみて効果が現れなくても「いつかきっと効果が出る」と信じて継続することになりがち、かもしれない。それで本当にうまく行けばいいけれども、空振りに終わったら時間とお金の無駄遣いになってしまう。結果論だけれども。
問題は、そういう状況、そして縋りたくなる心理につけ込もうとする悪い奴もいるんじゃないの、というところ。それを頭に入れておかないと、実は効果がないものに対して高い代償を払ってしまった、なんて事態になりかねない。
多分、現時点でもっともトレンディ (こら) なのは「放射能」がらみだと思うけれども、ガイガーカウンターの類にしても「放射能に効く○○」の類にしても、本当のところはどうなのよと。ボチボチ、きちっと数字をまとめて検証すべき時期に来ていると思う。それは、放射能に対する恐がり方・向き合い方の問題でもあるわけだけど。
そのうち「放射能便乗詐欺」とでも呼ぶべき事例が続発して大騒ぎになるんじゃないかと懸念するし、実はすでに問題になっている事例があるかも知れない。たとえば、「放射能に効く」といって吹き込まれたモノや手法を試したら、却って健康を害したとかなんとか。
「自然エネルギー詐欺」とか「再生可能エネルギー詐欺」なんていうのも、そのうちワラワラと出てくるんじゃないだろうか。すでに、その兆候はあるようだし。
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個人の健康願望でもそういう実害があり得るのだから、ましてや「企業の経営」とか「組織の運営」とか「国政」とか「国防」とかいった領域で、効果の程が定かでないのに「○○には△△が効く」という話に飛びついて手当たり次第に試すようなことになれば、最悪の場合には組織や国家の滅亡につながりはしないかと。そんなことまで考えてしまった。
何も食い物の話に限ったことではなくて、戦略でも戦術でも教育制度でも、適用できそうな分野はいろいろあると思うから。ありがちなのは、外国で行っている制度をそのまま持ってきて失敗したり、あるいは中途半端につまみ食い解釈をした上で持ってきて失敗したり、というもの。
もちろん、「何でもかんでも外国のモノや制度を持ってくるのは怪しからん、断固粉砕 !」と攘夷の志士みたいになられても、それはそれで弊害があるわけだけれど。
とはいえ、どのジャンルであれ、「効果がない」と一律に切って捨てられるかというと、それもまた難しいところ。結局のところ、どういうバックグラウンドや前提条件の下で効果があるのか、効果が見込めるとしたらどの程度か、それに対してどの程度まで期待するのか、を個別に、かつ冷静に考えないといけないのだろうなあと。
それをサボって、「効果がありそうだと聞くと、手当たり次第に何でも縋ってしまう」というのが問題なんじゃないかと。
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