Opinion : 笹子トンネル事故についての雑感 (2012/12/10)
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笹子トンネルで発生した天井板崩落事故にはビックリした。個人的には、もともと冬の中央道を走るのは好きだし (ただし晴天時に限る)、この方面にはお気に入りのスキー場がいくつもあるので、中央道方面に行きにくくなったのは個人的に困る。
もちろん、R20 を筆頭として代替ルートがないわけではないにしても、混雑しやすいのが分かっているところにわざわざ突っ込むのは気がひける。だから、しばらくはこの方面には行き辛いなと思っている昨今。地元に落とすおカネが減ってしまうマイナスはあるのだけれど。
それはともかく。
もちろん、高速道路でも鉄道でも何でも、インフラの「お守り」はちゃんとやる必要がある。なんだか、この事故にかこつけて民主党の事業仕分けなどを叩く向きが見受けられるし、叩かれても仕方ない部分はあるかもしれない。ただ、「だから第二中央道が必要」とかいう話に飛躍すると、「ちょっと待って」というのが正直なところ。
中央道の笹子トンネルが開通したのは 1970 年代の話だけれども、高速道路でも鉄道でも、もっと古い構造物はなんぼでもある。ちょいと探せば、明治時代に作られた鉄橋が今でも現役、なんて事例だって出てくる。ダムなんかでも、笹子トンネルより古い物件はいくつもある。
そういえば十数年前に、山陽新幹線でトンネルの内壁が崩落する事故が発生した。それと関連して、コンクリートに使用している砂の質が問題になったことがあったような記憶がある。でも、だからといって「第二山陽新幹線を作るべきだ」とか「トンネルを隣に堀り直すべきだ」なんて話にはならなかった。
交通量が多くてパンク状態、それがさらに既存線の構造物を痛めつけているというならまだしも、古くなったから、傷んだからといってホイホイと並行別線を作っていたら、そのうち「新々東名」とか「新々々名神」とかいうのができてしまい、日本中が高速道路だらけになりそうだ。
というのは冗談としても、この手の事故が起きたときには、まず「設備の点検・保守の体制、それを担当する人材、予算などに問題はなかったのか」から始まり、「既存の施設をこのまま使い続けることができるのか」「既存の施設だけでは支えられないほどの需要があるのか、あるいは見込まれるのか」という順番で話を進めていくのが筋なのでは。
それで、既存の構造物ではヤバイとか、既存のインフラだけでは需要に応えられないというのであれば、そこで初めて「増設」あるいは「代替」という話になるんじゃないかと。なにも高速道路に限らず、家庭や会社でインフラや備品がいかれたときだって、似たようなものだと思うけれど。
といったところで思い出すのが、東海道新幹線の構造物に対してこまめに手を入れている JR 東海。もちろん、東海地震対策という一面もあるし、なんといっても経営を支える屋台骨だからというのもあるにしても、よくやっているものだと思う。
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そうはいっても、ちゃんと点検・保守を行っていても、それで「絶対壊れない」とはいい切れない。それに、地震やその他の天災で被害を受ける可能性もある。それで橋やトンネルが壊れて、しかも近所に代替となり得る平行ルートがないと、それは困ったことになる。
それなら、近隣に平行ルートがない長大トンネルや長大橋梁では、前後でレベルを揃えて上下線の往来をできる構造にしておいて、もしも片方が不通になったとしても他方を対面通行にすることで乗り切れるようにする、なんて工夫が要るかもしれないと考えてしまった。
笹子トンネルでは、無事だった下り線をとりあえず使えるようにして対面通行にするとのこと。ところが、上下線間の往来ができないと対面通行にできない。笹子の場合、対面通行区間がトンネルの前後だけで済まなくて、かなり長くなるらしい。そういえば確かに、笹子トンネルの前後は上下線間に段差があったはずで、これではつなぎようがない。
そもそも、4,000m 超の長大トンネルを対面通行というだけでもドライバーとしては怖いのに、それがさらに長区間に渡ると、ますます大変そう。それでも、下道をウロウロするよりマシではあるけれど。
P.S.
そういえば中央道は、日本では珍しい「高速道路の廃道」がある。ごく限られた区間ではあるし、現在線からは見えにくいけれど、上り線を走っているとチラッと見える。あれ、何か使い道はないもんだろうか。
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