Opinion : いわゆる射撃管制レーダー照射事件に関する徒然 (2013/2/11)
 

最近、この手のタイトルが多くなってきたような。
それはともかく、体調不良の四割頭で書いているので、以下でおかしなことを書いていなければいいのだけれど… と少しばかり心配しつつ。

で、お題はタイトルの通り。騒ぎが持ち上がった後の一連の動向を見ていると、先に blog で書いたことも (これこれ) 、あながちハズレではなかったかなと思い、嬉しいというよりもホッとしている。技術的な話はまた何かで書く機会もあるだろうから措いておくとして、ここではそれとは別の視点から。


今回の件で「射撃管制レーダーで捜索するのは普通」なんて言い訳が飛び出したのには、さすがに吹いた。そして、日本側が国連憲章を持ち出した途端に (?)、その話が引っ込んで別の言い訳に切り替わったので、また吹いた。

その辺の動向に限らず、以前から感じていたことではあるけれども、中国は基本的に「プロトコルが分かってない」国だと思う。正確にいえば、「既存のプロトコルを無視して、俺様ルールで押し切ろうとする国」か。

米ソ対立を中核とする冷戦の時代にも、軍艦同士がぶつけあったり、挑発まがいの行為を仕掛けあったり、情報機関同士が熾烈な諜報戦を展開したりということはあったけれども、そこにはまだ、一種の秩序というか、プロトコルというか、暗黙の約束事みたいなものがあった。

冷戦時代に多くの人が核戦争の危機を感じつつも、なんとか回避できた背景には、その「極端なエスカレートを防ごうとするプロトコルの存在」があったのではないかと思う。それと比べると、どうも中国のやり方は「話が分かってない」のではないかと。

多分、中国の視点からすれば「過去にさんざん侵略・収奪してきた欧米先進諸国で勝手に決めた、ルールだのプロトコルだのというものは知ったことか。うちの方が歴史も文化もある。うちの流儀でやらせてもらう」なんてことになりそうである。とまで書くと、ちと意地悪が過ぎるかな ?

歴史・文化云々という話になると、水掛け論になってケリがつかないから措いておくとして。事情がどうあれ、「既存の秩序が気に入らないから、俺は俺のルールでプレーする」なんてことをいい出したら、本来なら喧嘩にならずに済むはずのものまで喧嘩になってしまう。

しかも中国という国、その場の都合に合わせて「先進国/超大国」と「発展途上国」を使い分けてみたり、国連に代表されるような既存の秩序に乗っかってみたり、俺様ルールを振り回してみたり、というダブルスタンダードが目立っていないだろうか。他の国にも程度の差はあれ、ダブルスタンダードの気がないわけではないにしても、ことに中国においてはそれが目立つような。

よくよく考えると、なにも外交や安全保障の話に限らず、似たような話はありそう。

たとえば、ビジネスの世界で「既存の○○業界のビジネス環境は排他的で良くない」とかなんとか物言いをつけて、自社に都合のいいルールでプレーしようとする新規参入者が現れることは、ままある。もうちょっと狡猾な相手になると、そこで政治家を抱き込んで、自社に都合のいい政策やルールを作ってしまおうとすることもある。

ただ、「既存の環境に問題がある」ということと「だから、それをぶち壊して、俺様ルールでプレーしても許される」ということは、別の問題なんじゃないかと。

それに、その「俺様ルール」は「俺様」にとって都合が良いものであって、視点が異なれば見方が変わる。別の誰かが、異なる内容の「俺様ルール Mk.II」を持ち込もうとしたら、どうなるだろう。多分、先に「俺様ルール」を持ち込んだ側は、その「俺様ルール」を固守して、新規に持ち込まれようとしている「俺様ルール Mk.II」を排除しようとするだろう。そうしないと、自社に有利なルールがなくなりかねないわけだから。

…えっと、それって単に、立場が逆になっただけっていいません ?
自分が新規参入するときは「既存のルールは問題がある」といっておいて、後から新規参入を阻止する際には「既存のルールで OK」といい出したら、それはダブルスタンダードの典型例。


というわけで。

必ずしも、既存のルールや秩序が唯一の正解であり、それ以外のルールや秩序を持ち込もうとするのは常に間違い」なんてことはいわない。

ただ、既存のルールや秩序が出来上がるまでには、それ相応の事情や過程というものがあるわけで。それを、意図的にしろ、あるいは無意識にしろ無視して「既存の秩序やルールは良くないからぶち壊していい」「俺様ルールでプレーしてもかまわない」なんていい出したら、それこそもう、秩序とかルールとかいうものがなくなってしまう。果たしてそれでいいのかという話。

そういう観点から、今の中国のやり方、ことに東シナ海や南シナ海の領有権問題におけるやり方を見ていると、強い危惧を覚える。外交が「しかるべきルールにのっとった喧嘩」かつ「妥協の産物である」ということを (理解していない | 理解したがらない)、そして「いざとなれば経済力と市場規模をちらつかせれば好き放題に押し切れる」と考えているように見えてならないから。

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