Opinion : 平凡な日常 > 一過性の刺激 (2014/3/24)
 

昔から「ナントカは 3 日で飽きるけれど、カントカは 3 日で慣れる」なんてことをいう。本当に 3 日かどうかはともかく、「刺激は一時的、日常になってしまえばなんとも思わない」と読み替えると、「なるほど」と思う。

なんてことを思ったのは、スーパーや家電量販店に買物に行く度に見かける「増税前のまとめ買い !」という類の POP を見る度に感じる「なんだかなあ」感のせい。

そりゃまあ、増税前より増税後の方が支出が増えるのは事実であるにしても、まとめ買いするということは、売る側から見れば将来需要の先食い。「他所でやっているから、うちでもやらないわけにはいかない」という側面もあるのかもしれないけれど、トータルで見て得になっているのかどうかは、よく分からない。

買う側から見ても、「3% の上昇」が具体的にどの程度のインパクトになるのか、ちゃんと考えているのかしらん ?、と疑問に思う部分はある。

もちろん、不動産とかクルマとかいう高額商品なら、それはインパクトがでかい。うちの EOS 5D Mark III だって、3% のアップは万単位のインパクトになる。5D シリーズは基本的に高値安定だから、それなら今のうちに手を出した方が、とは思った。個人的には、これが唯一の「増税前の駆け込み」かも。


でも、身も蓋もないことを書いてしまえば、「今は 3% のアップで大騒ぎしているけれど、そのうち当たり前のことになる」。

多分、4/1 には「モノの値段が上がって大変ですー」という街頭インタビューが新聞やテレビでゾロゾロ出てくるのだろうと推測してみる。でも、それをやっている新聞やテレビだって、自分が請求書を出すときには「消費税率の引き上げに伴い」といって、ちゃんと 8% 分を請求するのだろうし、購読料だって上げそうなもの。

それに、街頭インタビューで「値段が上がって大変」といっている人だって、半年・一年・二年と経過するうちに、上がった後の値段が日常になり、消費税率 5% 時代の数字が忘却の彼方に去ってしまえば、「これが普通」だと思うようになるんじゃないか。と思った次第。

正直な話、消費税率の引き上げよりもむしろ、それに便乗した値上げの方が警戒すべきなんじゃないの、と。

「変化が生じた当初はインパクトを感じるけれど、そのうち普通のことになる」のは、値下げも同じこと。値下げの場合、基本的には原価・経費・利益のいずれかを削らないといけないのだから、そちらの方が実は厄介。

そういう意味で、長期的に見て下手を打ったなあと思ったのがマクドナルド (こんなことを書くのは後知恵もいいところなんだけど)。確かに、安値攻勢をかけることで当座のインパクトと集客にはつながるけれども、しばらくすれば「安値」は「安値」ではなくなり「フツーの価格」になる。

そこでさらなるインパクトを追求して再度の値下げに踏み切れば、ますます身を削ることになりかねない。しかも、値下げに頼ることでブランド価値を毀損してしまい、「安さだけで人を集める」というイメージが定着してしまわないのだろうかと。

あと、これは推測だけれども、「安上がりにいっぱい食える」ということで中・高生あたりの集客は増えそうだけれど、一方で客単価の高そうな客層が逸走する結果にならなかったのかな ? というのも気になるところ。

それを防ぐために、高価格の限定商品を投入したのかもしれないけれど、限定ということは一時的な効果にしかならないのだし、それで恒常的にブランド価値を上げられるのかというと… (個人的には、マクドナルドって「他に選択肢がないときに仕方なく行く場所」だったりする。ベッカーズやモスの方が優先度は上)


で、結局何をいいたいのかというと、「一時的な刺激の効果は一過性なんだから、それに頼っちゃ駄目よね」「平凡な日常の積み重ねは一過性の刺激に勝る」という話。

物書き業の場合、それは値段というよりもテーマの問題だろうと思う。時事ネタに乗っかって煽り調のものを出せば、とりあえず売れるかもしれないけれど、それは長期的に見ると、書き手としての価値を自ら毀損するんじゃないかと。そんなことを思う今日この頃。

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