Opinion : 自分の頭で考える (2014/4/21)
 

こういう仕事をしていると、自分でカメラを担いで取材に出ることがよくある。すると、同業者同士、あるいは編集者との間で「カメラ談義」になることがよくある。そして、メーカー、あるいは機種によっては「あれは (取材には) 使えねぇ」とボコボコにいわれる機種も出てくる。

そういうのってたいてい、オート機能がやたらと充実していて、「カメラ任せにする分には楽ちん」という機種。もちろん、敷居を下げて間口を広げるためには、そういう機種も必要。

ただ、とっかかりはそれでいいとしても、「自分もこういう写真を撮りたい」となったときに、カメラ任せにするだけじゃなくて、そこでちょいと自分の頭を使って、いろいろ勉強してみると、グッと世界が広がるんだけどなあ。と歯痒く思うことがある。


よくよく考えると、何もカメラの話に限らない。たとえば、最近はガソリンの値段が上がってきているから、クルマを運転していると「低燃費」を意識する人は多そう。

もちろん、もともとのクルマがガス食いではどうしようもないから、メーカーの人もいろいろ工夫している。ハイブリッド車しかり、軽自動車で展開されているコンマ 1km 単位の燃費競争しかり。ただ、「低燃費車に乗れば自動的にガス代が減る」というほど単純な世界か ?

高速を走っているとしばしば、追越車線を猛スピードですっ飛んでいくプリウスを見かける。というか、プリウスのオーナーには意外と、運転が荒い人が多いような印象がある。それでは何のためのエコカーかと思う。

ただプリウスに乗っていればガス代が減るといって満足するのか、プリウスの仕組みや特質を頭に入れて運転に気を使うのかで、ガス代の減り方ってずいぶんと違ってくるんじゃなかろうか。逆に、特段エコカーだと謳っていないうちの BP5E レガシィでも、頭を使って運転すれば高速でリッター 13km ぐらいは軽く出せる。

たまたまプリウスを引き合いに出したけれど、他意はない。ハイブリッドだろうが何だろうが、他のエコカーでも同じことである。

電車の運転にも似たところがあるらしい。蒸気機関車や昔の電気車と比べると、今の車両はムラがないし、誰でも同じように運転するのは楽になった。そこで「何ノッチまで入れて発車、何 km/h まで行ったらノッチオフして惰行、何 km 地点で制動 3 ノッチ」とかいう具合に機械的に運転するのでも、必要最低限の水準は満たせる。

でも、実際には天候・線路状況・勾配・乗車率などのファクターを頭に入れて細かく加減する方が、よりスムーズな運転ができるだろうし、回復運転が必要になるようなイレギュラーな場面への対応力が強まりそう。

やったことないから推測になるけれど、民航機の操縦にも似たところがあるかも。いや、あらゆるヴィークルの操縦や運転は同じようなところがあるのかも ?

どんな分野であれ、「機械任せ・マニュアル任せ」は、ある一定の水準を達成するには重宝な手段。ただ、それだけで満足してしまっていいのだろうかと。その「一定の水準」に達したところで、さらに自分の頭を使い、経験に基づいてリファインしていって、上を目指すような努力をしてくれる方が嬉しいと思う。

そもそも、やってる本人も、その方が充実感や手応えを感じられるんじゃないかと思うのだけれど、どうだろう。ただ、それを実現するには、ことに職業としてやっている場合、組織的に「自分の頭で考えながら上を目指す」ことを支援できるような仕組み・制度・空気が必要なのだろうけれど。


「自分の頭を使っていろいろ考えたり、工夫したりしない奴はクズだ」なんていうつもりはないけれども、そうする方が面白いし、世界が広がるし、結果としてメリットが増える、とはいえるはず。

そういえば、何かの報道公開に行って取材するのでも、そこでもらってくるプレスリリースや公開データだけに基づいて記事を書くのと、そこで自分なりにあれこれ考えて疑問を持って、そして関係者に話を聞いて記事を書くのとでは、深みや重みがまるで違ってくる。

自分の仕事でも、そうやって頭を使い、経験を蓄積して、工夫を重ねていくことが必要なのだろうな、と自省。書き手が「これでもか、これでもか」と突き詰めないと、読者が納得・満足するアウトプットはできないし。

なんていう話を寝不足の頭で書いたところで、今週はこの辺で。

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