Opinion : イラッとくる宣伝・逆効果っぽい宣伝 (2014/9/15)
 

これから書くことは基本的に「注 : 個人の感想です」という但し書きがつく類の話なので、「いや、俺の受け止め方は違う」といわれても困ってしまう。そういうことになったら「人は人、自分は自分」ということで受け流していただきたく。

と言い訳をしたところで、つかみの話題は「電車の車内液晶 TV でしばしば見かける、IBM の CM」の話。

どういうわけか、あの CM を見ていると、微妙に「イラッとくる」のである。ただ、どうして「イラッとくる」のか、なかなか分からないというか、人に訊かれても説明できなかった。

最近になって思ったのは、あの CM が「IBM のサービスやソリューションがあれば、あなたが抱えている問題は雲散霧消」という、ある種の能天気さというか、押しつけがましさのようなものを感じるせいだろうか、ということ。製作した当事者に、そういう意識があるのかどうかは知らないけれど。

IBM だけでなく、Cisco や Microsoft や NTT も似たようなノリの CM を流したことがあることからすると、この手のノリが IT 業界のスタンダードなのかも知れない。実のところ、この「能天気さ」とか「押しつけがましさ」というのは、いかにもアメリカンを感じさせられる部分で、「ああ、アメリカの会社だなあ」と実感できる。あれ、NTT は ?


ただ、CM というのはそもそも、自社製品の優位性を売り込むために流すものだから、自社の製品・サービス・ソリューションがいかに優れているかをアピールするのは当たり前。ただ、そこの微妙な匙加減の違いによって、「押しつけがましさ」や「能天気」を感じさせるかどうかが、受け手である自分をもって「イラッとさせる」かどうかの境界線なのかも知れない。

しつこいけれど、「イラッとくる」のはあくまで「個人の感想です」。

一方で、「個人の感想です」を越えたレベルでイラッとさせてくれてるんじゃないか、と思わされるのが、日本のロシア大使館やウクライナ大使館のツイート。

もちろん、彼ら (彼女ら、かもしれない) は日本における自国の出先機関として、自国の正当性・優位性をアピールするのもミッションのひとつ。だから、インターネットという情報戦の戦場、そこにおける Twitter という武器を駆使して、自国が行っていることの正当性、あるいは相手国の不当性をアピールするのは、当たり前といえば当たり前。

ただ、そのアピールの過程において、プロパガンダ臭が猛烈に濃厚だったり、あまりにもまなじりを決して眼を血走らせて必死になっているという雰囲気が露骨だったりすると、却って受け手が「引いて」しまうのではないかと思われる。

まるで違う分野の話ではあるけれど、日本人でも同じような罠にはまってしまっている人を、しばしば見かける。そして案の定、そういうノリで展開する主張は一般人からスルーされてしまうのである。

あと、「受け手がこれを見たらどう感じるか」ということが頭からすっぽり抜け落ちてしまい、受け手 (この場合には日本の一般市民) が見たら却って不快に感じそうな話を書いてしまうのも、また同様に「余裕のなさ」を感じさせる事態につながる。こうなるともう、「(個人の感想として) 微妙にイラッとくる」なんてレベルの話ではなくて、「不快なレベルに達して逆効果」になりかねない。

むしろ、ロシア大使館にしろウクライナ大使館にしろ、まず日本でなすべきことは「自国の正当性のアピール」よりも先に「ロシアのファン」「ウクライナのファン」を増やすことではないだろうか。

ファンが増えて、そこからさらに「信者」のレベルにまで達してくれれば、大使館の公式アカウントがまなじりを決してツイートしまくらずとも、「伝声管」と化して宣伝に励んでくれるかも知れない。ちょうど、Apple が新製品を出す度に随所で展開される光景と同じように。

ひょっとすると、ロシア大使館の熱狂的信者が育てば、この記事を引き合いに出して「ロシアのことを何も分かっていない情弱の馬鹿がいる」とかいってぶっ叩くようなことが起きるかも知れない。あるいは、ライバル国の Twitter アカウントにカチコミかけてくれるかも知れない (えっ)


残念ながら、その「宣伝のうまさ」「心の琴線を揺さぶることのうまさ」という点では、実際に中東に出奔してしまう困ったちゃんを多発させていると報じられた、IS (Islamic State) の宣伝戦の方が上手ではないか、と感じる。

単に「IS が掲げる大義」を吹聴するだけで、あっさり乗せられて中東に出奔する人がゾロゾロ現れるのかというと、そんなことはないと思う。もっと何か、「揺さぶられるもの」を感じるからこそ、乗せられてしまうのではないか。だとすれば、そこに何か、巧妙な宣伝戦を展開する上でのヒントが隠されているように思える。

もちろん、そんな IS の宣伝巧者ぶり自体は「まことに困ったこと」だし、宣伝に乗せられて現地に行ってみたら「こんなハズじゃなかった」となる可能性だってあるわけだけれど。

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