Opinion : 「北斗星」廃止の報を聞いて (2014/12/8)
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「いずれ廃止だろう」と思っていた矢先、たまたま B 寝台券を確保できたので「北斗星」に乗ってきたのは 10 月末のこと。その時点でも週末は切符をとりにくかったから、同じようなことを考えていた人は少なくなかったのかも。
といっていたら「2015 年 3 月改正で廃止」というニュースが飛び込んできた。北海道新幹線の開業に合わせて廃止だろうと踏んでいたけれど、件のニュースが事実なら、その予想より 1 年早い。そして「車両が老朽化したため廃止」というお約束の説明に対して、「まだ老朽化なんかしていない」と反論する人が出ているらしいのもお約束。
情の部分として「老朽化による廃止」を受け入れたくないという気持ちは分からないでもない。でも、もともとの車齢だけでなく運用環境を考えれば、額面の数字以上に傷んでいると考えるのが常識的判断だと思うけれど。
ただ、老朽化というと真っ先に思い浮かべる構体以上に (確かに構体はボコボコだ)、接客設備の陳腐化が問題だと思う。A 個室はまだしも、B 個室や B 開放になると、果たして料金に見合った内容だといえるのかどうか。そして、以前に書いた「水まわり」の問題もしかり。
正直な話、1980 年代ならまだ通用したかも知れないレベルのアコモデーションではあっても、今は 2010 年代、それも半ばである。
もちろん「寝ている間に移動できる」という利点があるから、寝ている間は移動できないビジネスホテルの料金と単純比較するのはフェアではないかも知れない。でも、その利点を織り込んだ上で、なおかつリーズナブルといえるのか。寝台料金だけではなくて、飛行機や新幹線とビジネスホテルを組み合わせたパック商品とトータル比較してどうか、という観点で見ないといけないと思う。
となると、よほど「遅出早着」が可能な時間帯に移動できるのでなければ、もはや夜行列車の強みはないと思う。ビジネス利用だけでなく観光利用でも同じこと。しつこく書くけれども、朝一番の新幹線や飛行機より早く着けるのでなければ、夜行のメリットを実感しづらい。
そういう状況の中で、老朽化した車両を代替新造して、特に青函トンネルの場合には機関車まで新造して、それだけの投資に見合ったメリットが得られるのかどうか。という話でしょ ? (忘れられてるかも知れないけど、道内で使っている DD51 だって、もう相当に古い)
というと引き合いに出されるのはクルーズトレインの一群かも知れないけれど、あれは移動の手段としての「夜行列車」と同じカテゴリーじゃない。そして、都市間需要の多寡よりも、沿線の観光資源の有無の方が問題になるのだから、そもそも基準が違う。それを自社線内で完結して走らせる分には、「トワイライト」と違って、外的な阻害要因は少ない。
もちろん、いち趣味人として個人的な夢を語りたい部分もある。当節、B 寝台といえども「サンライズ」の「シングル」ぐらいが設備水準の最低ラインだろうから、「E26 の構体とシステムを使って、一部を残して A ツインを B 個室に変更できれば…」なんてことを妄想するのは楽しい。
ただ、それを具現化しようとすれば、さまざまな問題に直面する。それは、すでに述べてきた通りで、企業が商売としてやっている以上、最後は「投じるおカネと、それによって得られるおカネ」の問題に収斂する。
概算すると、現状の「北斗星」並みのものを用意すれば「客車×12 両 + 青函用 EL + 道内用 DL×2」×3 組は必要だから、内容次第では 100 億円に迫る投資になりそう。新造すればおカネがかかるからこそ、運転開始当初は手持ちの客車と機関車で済ませたのだろうし、それが今になって寿命を迎えてしまったのだという話になる。
なんてことを書くと「損得抜きで、イメージリーダーは必要」と主張する人が出そうだけれど、それが「普段使いの夜行特急」から「クルーズトレイン」に移り変わってきたということなのでは。
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