Opinion : 自分の尺度・自分の価値観 (2015/2/9)
 

すでに 2 回続けて書いているのに、さらに ISIL (Islamic State of Iraq and the Levant) ネタで引っ張ろうかとも思ったけれど、さすがに食傷気味かも。ということで、今週は時事とは関係ない話題で。

今の自分の生活が幸せか、平和か、と問われたときの答えは人それぞれだろうけれど、ときにはわざわざ波風を立てていたり、不幸になる方向に突っ込んでしまっていたり、ということもありそう。

それを避けるのに、たとえば特定のキーワードを避けて通る or 無視するのはひとつの手。

以前から何度も書いている話では、「誰か嫌いな人、嫌な人がいるのは仕方ない。でも、その人のことばかり朝から晩まで意識しまくって粗探しばかりしていて、何か突っ込めそうなネタがあると鬼の首を獲ったみたいに大騒ぎ… なんてことをしていてもねぇ」というのがある。人だけでなく、組織でも国でも同じね。

たまに突っ込みを入れたり叩きに行ったりするぐらいならともかく、それを朝から晩まで毎日のように展開しているとなると、自分の方が精神的に参ってしまう。第一、そんなに相手のことが気になって気になって仕方ないのって「嫌い嫌いはなんとやら」じゃないの ? とも思う。


このほか、「これを避けて通る方がネットライフを平和にできそうなキーワード」というのがいくつかある。「○○の陰謀」とか「世界を影で支配する○○組織」なんていうのが典型例だけれども、それ以外でもたとえば「隠されていた真実」「報道されない真実」という枕詞がつく諸々も同様。

あと、「○○するだけで問題解決」的な、特定の何かに問題の責任をすべて押しつけた上でインスタントな解決が可能、と主張する向きも、スルーする方が平和になれる。そんな簡単に解決できる問題ばかりなら世話はない。

だいぶ違うカテゴリーの話ではあるけれど、他人の幸せと自分の幸せを比較しないことも心の安寧につながる。いいかえれば、いつも不満感や不幸感に囚われ続けている人って、ついつい他人と自分を比較してしまって「自分は満たされていない・幸せではない」と考えてしまいがちなのではないかと。

たとえばの話、会社勤めなら同僚や同期入社、フリーランスなら同業者が活躍しているのを見て「奴はあんなにいい思いをしているのに、自分ときたら…」なんて考えてしまうのは、ありがちな話。ネット上、とりわけ SNS が絡むと、さらに広い範囲で他人の幸せに関する話が流れ込んできて、ますます比較対象が増えるのが厄介。

そこでさらに、「俺が不遇な原因」を外部に求めてしまうことも起こり得る。いわく「アベノミクスが悪い」「小泉改革が悪い」etc, etc。

でも、他人と自分を比較してグチグチいっているヒマがあったら、自分のレベルを上げるために手持ちの時間とリソースとエナジーを使うべき。それが結果に結びつくかどうかは分からないし、保証もできないけれど、その方が精神は病まない。

もちろん、すべてがそうだと断言するつもりはないけれども、少なくとも、他人と自分を比較してばかりいると不満感や不幸感が増す傾向はあると思う。ついでに書くと、いわゆる毒吐きは往々にして、吐いた毒が自分のところに逆流して、もっと自分の精神を病んでしまうように思えてならない。

逆に、「奴は自分より不幸だから…」といって相対的に幸福感を得ようとするバリエーションもある。向きは反対だけれど、相対比較というところは同じ。


と、ここまで書いたところで思ったけれど、他者との相対比較によらないと幸福感・満足感を得られないとか、気に入らないこと・思い通りに行かないことを片っ端から陰謀のせい・他人のせいにするとかいうのは、ある意味、他人に責任をぶん投げてるってことなんじゃないかと。

つまり、相対比較するということは基準を他に求めているということ。陰謀論に縋るのは、自分の生活や世の中の流れが気に入らない方向に向かっていることの責任を「陰謀の主」に押しつけること。

そういえば、ネット上のお約束コンテンツのひとつに「叩き」「罵倒」があるけれども、これも他人をこき下ろすことで相対的な優越感を得ようとする心理によるのかも知れない。

でも、その際に自分の考え・自分の言葉で語れなくて、他人の発言を引っ張ってきて「誰某がこういっているから○○は間違い」的な話にとどまってしまうあたり、これまた他人に責任をぶん投げて依存している。

一朝一夕には実現できないし、時代が変われば変化していくものではあるけれど、自分の尺度、自分の価値観を持つことって大事じゃないかなあ。なんてことを改めて考えてしまった次第。

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