Opinion : いつまでも、あると思うなオンライン (2015/7/27)
 

昨日、タブレット PC で使っている Twitter クライアントを変えた。機能的には何も不満はなかったのだけれど、「回線が切れているわけでもないのに "接続できない" エラーを頻発させるという謎挙動」と、それに付随する別の問題が理由。

別の問題とは何かというと。接続が切れたと判断したときに、画面にその旨のメッセージを出す。そこで [閉じる] をタップすると、接続を回復しようとリトライする。そこで回復できないと、また同じメッセージが出る。以後は無限ループである。

すると何が問題なのかといえば、圏外のとき、あるいは意図的に回線を切っているときに、画面のド真ん中にデンと「接続不能」のエラーメッセージが陣取っていて、取得済みのツイートをオフラインで読むことができない。

要するに、常に回線が生きていることが前提という設計になっているわけで、それでは移動体通信環境では使えんわ、と判断せざるを得なかった。「移動体通信は使えなくなることもある」という前提が、自分の中にデンと腰を据えているから。


たとえば飛行機に乗っているとき。最近では機内 WiFi のサービスが増えているけれど、値が張る上に、帯域にそれほど余裕があるわけではない衛星回線を使っているわけだから、利用する人が増えればスループットは落ちる。

新幹線に乗っているときはというと、(以前に比べると減ってきたとはいえ) トンネル内で圏外になる区間はまだ少なくない。たとえば、北陸新幹線がそれである。トンネル内でなくても、断続的に通信状態が悪くなることもある。これは街中でも同じか。

そういうこともあるので、移動しながら使うデバイスについて「常に回線が生きていることが前提」の設計をするのは、ちと問題があるんじゃないか ? というのが個人的な見解。以前と比べればはるかに改善されてきていることは認めるけれど、自宅やオフィスの有線固定回線と同列にはみられない。

実際、先日に取材した某案件でも、常時オンライン前提とはいかず、頻繁に更新する必要があるデータについては回線が生きているときに取得しておいて、それをオフライン状態でも見られるようにする設計だった。

リアルタイムではなくてニア リアルタイムになるけれど、オフラインになった途端に何も見られないのでは困る。それによくよく考えれば、実用上はニア リアルタイムでも困らない用途である。という方向で記事をまとめるつもり。

たとえば軍用のデータリンクみたいに、本当にリアルタイム更新できないと困る用途もあるけれど、それはリソースをつぎ込んで回線途絶を防ぐ努力をするしかない。要は、必要性と、そこにつぎ込めるリソースのバランスの問題。


昔は通信できる場所よりできない場所の方が多かったし、通信にかかるコストが高かった。だから、オンラインにしてパーッとデータを取得して、後でオフライン状態にしてじっくり読む、というスタイルが普通だった。

それを「年寄りの昔話」と笑い飛ばすのは簡単である。確かに、昔に比べれば、移動体通信が普及して、かつコストが下がったことで、回線途絶に見舞われる場面は劇的に減っている。でも、それを当たり前のもの、なくなるはずがないもの、と考えるのもどうかと思う。

なにも「災害で通信インフラが破壊されたら」なんて話を持ち出さずとも、電波を用いて通信する限り、なにがしかの制約や不安定さは残る。そのことを忘れて、「常に回線が生きているのが当たり前」と思ってしまうことには、なんとなく危うさを感じる。

ここで新聞記者だったら「常に回線がつながっているという前提があるから、"圏外孤独" なんて話になるのだ」とか「オンラインでパッと読んでパッと反論するようになり、じっくり考えて筋道を立てた反論をする能力が失われて云々」とかいう方向に話を展開しそう。

でも、それは個人の識見や様式に依存するところの多い「人それぞれ」の話だから、一般化して叩くのはどうかと思う。よって、ここではそこまで話は拡散させない。「常に回線が生きている前提、オンライン前提で、物事を考えたりシステムやソフトウェアを設計したりして大丈夫なの ?」という話だけにとどめておく。

といったところで唐突に、愛知県内の新幹線線路脇にある、某社工場の広告看板の話を思い出した :-)

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