Opinion : 読書感想文のテンプレがあるそうで (2015/8/17)
 

そろそろ夏休みも半ばを過ぎて、山積した宿題に頭を抱えている子が少なくなさそうな時期ではないかと。(自分の幼少期にはそんなだったけど、たぶん現代も大して変わっちゃいない)

その夏休みの宿題のお約束というと、読書感想文がある。あらすじをそのまま書くと「感想文」ではなくて「紹介文」になってしまうので、なにかしら「感想」っぽいことを書かないといけないわけだけど。


誰が最初に思いついたのかは知らないけれど、今もあるんだろうか、「読書感想文コンクール」なるイベント。学校というのは前動続行の典型みたいなところだから、きっと今もやってるんじゃないかと思われる。

コンクールということは、書いた感想文に対して審査員が良し悪しをつけるということ。じゃあ、どんな風に書けば評価されるのか。簡単である。

まず、「いかにも学校の先生や審査員が好きそうな分野の本」を選ぶ (そのために「課題図書」とか「推薦図書」とかいう便利なものがある)。次に、「その本を読んだことで自分がいかに感化されて、素晴らしい人間を目指そうと思ったか」って書いておけばよろしい。

それでコンクールの入選を勝ち取れるかどうかはともかく、とりあえず無難に乗り切ることはできる。

いくら感想文だからといっても、ミッドウェイ海戦について書かれた本を読んで、「日本海軍の直接的な敗因は、レーダーと無線機が充実していなかったことです」なんて書いてはいけない。どう見ても評価はされないだろうし、読み手の虫の居所が悪ければ、職員室に呼び出されそうである (えっ)

しかし、サンケイの赤本「空母」に出てきたミッドウェイ海戦のくだりを読んで、当時小学生の自分がそれに近いことを思ったのは事実。どうもその頃から C4ISR ヲタクの気があったらしい。

なんていう戯言はともかくとして。「上に政策あれば下に対策あり」もとい「上に課題あれば下に対策あり」となるのは無理からぬところ。こんな話が Twitter で出回っていた。

小学生向けの教材に読書感想文のテンプレが存在する…賛否分かれる TL

さすがに、自分が子供の頃にこういうものはなかった (正確には、自分は目にしていない)。でも、先に書いたように、「先生やコンクールの審査員にウケる、読書感想文の暗黙のテンプレ」というものがあるだろう、という意識は子供ながらにあった。

つまりは、誰か知恵の回る (?) 人がいて、その暗黙のテンプレを具現化してしまったというだけである。だから個人的には驚きはなかった。

誰だって、課題はできるだけ効率的に片付けたいし、ましてや「評価されるテンプレ」があるなら、それに乗っかってしまうのが最善の策。自分がやっていたみたいに、感想文のネタや内容を意図的にテンプレから「外す」理由は、普通はない。


こうなると、「そもそも何のために読書感想文という宿題が出るんだよ」という話になるのだけど、あれを通じて本気で「文章力の涵養につながる」と思っているのだとすれば、そりゃ思い違いもいいところ。何をどう書けば評価されるかという暗黙のテンプレがあるのなら、なおさら。

とどのつまり、典型的な前動続行で、特に理由や外的圧力がなければ「去年やってたことは今年もやる」というだけのことなんじゃないかと。それなら、テンプレ通りの文章を書いて出しておけばいい。わざわざテンプレから外れたことを書いて目をつけられても面白くない。

本気で文章力を高めようと思ったら、そんな夏休みの宿題で読書感想文をひとつ書く程度ではぜんぜん足りない。とにかくいろいろな文章を読んで、それを自分なりに消化しないと、読みやすい・分かりやすい文章とそうでない文章の「目利き」はできない。

その上で、自分でいろいろと文章を書き連ねては推敲して、それを他の人にも読んでもらう。そういうプロセスを繰り返す必要がある。どこのレベルまで突き詰めるかは人それぞれだろうけれど、分かりやすい、きれいな文章を書けるのであれば、それに越したことはない。ひとつのコミュニケーション スキルである。

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