Opinion : 業務効率化のインセンティブ (2015/12/28)
 

阿川佐和子氏には「三つの願い」というのがあって、そのひとつが「一度でいいからベストセラーを出してみたい」というものであったらしい。物書きなら誰もが抱く夢であろうと思う。

とはいえ、今の自分がやっているカテゴリーからすると、「ドカンと一発当てて左団扇」なんていう願望を抱くのは無理がありそうに思えるので、単打でもポテンヒットでも何でもいいから、コツコツ当てて積み上げていくのが現実的、というのが目下の状況認識。

なにせ「解釈が変わったのだ」と一言いうだけでインカムを増やせる、どこかの役所とは違うのである。

ただ、コツコツ当てていこうとすると必然的に、大小取り混ぜて複数のタスクが同時並行で走ることになる。すると、以前にも別記事で書いたように、進行管理やタスクの配分という課題ができる。

この辺の事情や仕事の進め方は人それぞれだから、人によっては複数のタスクを直列的に、シーケンシャルに片付けていくということもあるだろうけれど、自分の場合にはパラレル進行が普通。

だから必然的に、ひとつのタスクを複数のスレッドに分割して、細切れに、チョコチョコと進めていくことになる。一気にダーッと完成品を仕上げるのではなくて、ビルディング ブロックを積み重ねながら少しずつ仕上げていくタイプ。


ところで。

日本だけの話ではないかも知れないけれど、とにかくいつも仕事をしているよう求められるというか、暇そうにしていると肩身が狭いというか。そんな風潮があるのではないかと思えることが、ままある。

でも、それこそリゲインみたいに (古) 24 時間戦ってばかりいたら、身体が持たない。もう若い頃のようには行かないのだし、また病気をして何ヶ月も入院させられるのはまっぴら御免。

だから、ただ時間をかけて力任せにやるのは「頭のいいやり方ではない」と思っている。最初に全体の見通しを立てて、必要な作業を見積もってシーケンスを組み立てて、どうすればもっとも効率良く片付けられるかを考える。取りかかるのはその後。

もちろん、予定外のイベントが割り込むこともあるけれど、そのときにはシーケンスを状況に合わせて適宜組み替える。段取りの良さを追求するのは、シーケンスを組み替える場合でも同じ。

具体的な名前を挙げるのは差し控えるけれど、昔、ある会社の仕事をしたときに、とにかく段取りの悪い会社でウンザリしたことがあった。当然というべきか、そのとき限りとして、以後のお付き合いは辞退した。「段取りが悪くてお付き合いいたしかねます」と直言したわけではないけれど。

特にメーカー勤務の人なら、「無駄の撲滅」「効率の追求」は身体に染みついていそうだけれど、それ以外の業界でも似たような話はあるよということで。


そういえば。先日、某所に取材に伺い、メインの取材が終わった後で広報担当の方と雑談していたときに、「どうも最近の日本の社会は世知辛くてゆとりがない」という話になった。そこから上で書いた話に引っ張ると…

いくら仕事を効率的に進めて時間にゆとりを持たせることができても、それで「サボっている」と思われたのでは心外、という話になりそう。それでは、仕事を効率良く進めるインセンティブが減ってしまい、「忙しそうなふりをしている方がいい」なんてことになりかねない。

そういえば、帝国海軍では「用がないのに忙しそうにするな」といっていたらしい。実際、主計長と軍医長と機関長を「(普段は暇な) フネの三長官」と呼んでいた事例もあったと聞く。もちろん、忙しいときは猛烈に忙しいわけだから、要はメリハリの問題。行き着くべきところはそれか。

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