Opinion : 省力化や自動化と手抜きは違う (2016/2/29)
 

以前にどこかで書いたかも知れないけれど、うちでは「同じことを三回繰り返したら自動化を考えろ」というモットーがある。道具立ての有無や開発の手間という問題もあるから、実際に必ず自動化するとは限らないものの、大事なのはこれ。

アウトプットが同じなら、かける手間は少ない方がよい

もちろん、何でもかんでも自動化するのが正しいといっているわけではなくて、大事なのは「アウトプットが同じなら」というところ。同水準に安住しないで、手間を抑える一方でアウトプットの質が向上するなら、なおよい。

逆に、自動化や合理化によってアウトプットの質を下げてしまうのは手抜きという。それが本当の意味での手抜きであって、「手間をかけないことがすなわち手抜き」というのは違う。


どうも世間では、手間をかける方が正しいというか美談というか、そんな風潮があるように思える。たとえば「母親が子供に食べさせるものを用意するときには、できるだけ手間をかけた方が正しい」みたいなやつ。

確か、東北地方太平洋地震からしばらく後ぐらいに、「工業化された大量生産品よりも手作り品の方が偉いという信仰」という趣旨の話を書いた記憶がある。根っこにある考え方の部分では、それに通じるものがあるのかも知れない。

でも、かけた手間と愛情が比例するのか、かけた手間とアウトプットが比例するのか。そういう相関関係が必ず存在する、と言い切れるものでもあるまいに。

だから、何か仕事をする場面でも、「まず手を動かす」という発想でいきなり突撃していいのかどうか。先日にも書いたように、最初に全体の見通しを立てて、作戦計画や段取りを立ててみてから動き始める方が、却って迅速に良い結果が得られる可能性が高いのでは。

ちょうどこれをライブするのは、確定申告受付の中間に当たるタイミング。うちでは Excel で専用のテンプレートを用意してあり、日々の収入と支出をインプットしていくことで、確定申告書や決算書で使う数字をリアルタイムで出している。直近の支出見込に関する数字も入れてあるから、キャッシュフローの短期見通しも分かる。

日々のデータ入力をサボらない・間違えないということが前提だけど、これがあれば確定申告の作業はグッと楽になる。最初から申告書の項目に合わせた書式を用意しておいて、項目ごとの数字を出すようにしてあるから。

「所得の内訳書」なんてものも出さないといけないのだけど、これもデータは常に揃えてある。だから、いちいち手書きしないで (手書きするには項目が多すぎる)、データを印刷して「詳細別紙」といって添付して済ませている。

手間は激減するけれど、アウトプットは同じ。否、汚い手書きの字を読まされるよりいいはず。ただし、A4 用紙 1 枚に押し込めて印刷するので、虫眼鏡が要りそうな小さな字で出てしまうことがあるのは御愛敬。まあ、この内訳書をちゃんと見ているのかどうかは知らないけどね !


そういえば軍事の世界では、「SIGINT (Signal Intelligence) あるいは UAV (Unmanned Aerial Vehicle) などによる ISR (Information, Surveillance, and Reconnaissance) がどんなに進歩しても、HUMINT (Human Intelligance) や偵察要員の必要性はなくならない」といわれる。

ただ、この話をもって SIGINT や ISR プラットフォームを否定するのはお門違い。それらで得られるアウトプットと、生身の人間を送り込むことで得られるアウトプットが違うから上記のような話になるので、同じ土俵の上で比較するべきものじゃない。どちらにも得手・不得手や長所・短所があるのだから、適切に使い分けろという話。

結局のところ、何でも「手段の目的化」はまずいんじゃないの、というところに行き着くのかも知れない。最終的に欲しいのは結果であって手段じゃないんだから。

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