Opinion : リブランディング考 (2016/6/6)
 

さて皆さん出題です。Airbus Group がドイツに置いている防衛部門の社名の履歴を書いてください。

少なくとも最近の分だけでも、Airbus Defence and Security → Cassidian → Airbus Defence and Space と二度も変えている。

Airbus Group の場合、最初のリブランディングでは「社名は統一感がないけどロゴのテイストは統一」だった (Finmeccanica も同じことをやっている)。次のリブランディングで「社名を Airbus ほげほげに統一」となった (Safran Group も同じことをやっている)。

どうせやるなら、なぜ最初から社名統一にしなかったのか。と書くのが後知恵なのは百も承知だけれど、それでも書きたい。二度も変えられると覚えるのが大変だ。

さらにややこしいのが Finmeccanica。Leonard にリブランディング、と思ったら、とりあえず移行措置として「Leonard-Finmeccanica」と名乗っている。分かりやすいような、分かりにくいような。

「Finmeccanica から Leonard に変わりますヨー」というアピールのつもりなのかも知れないけれど、時期によって表記を変えなければならないのはあまりにも面倒。仕事で会社名を書くときに、いちいち「○○ (旧△△)」とか「△△ (現○○)」と書かなければならない身にもなってもらいたい。しかも 2016 年の 4-12 月にあたる分だけ旧称を変えなければならないのか ?


業界再編が相次いでいる防衛産業界では、社名変更やリブランディングもやたらと多い。もちろん、イメージ チェンジを図りたいとか、グループ全体での統一感を出したいとかいう思惑があるのは分かる。分かるけれども、変えた結果として失うものもあるような気がする。

たとえば、馴染んだ社名や製品名を全部捨ててしまうと、いちいち覚え直してもらう手間がかかる。それは単に、自分が物覚えが悪いせいかも知れないけれど。

でも、Eurocopter が Airbus Helicopters になって、ついでに製品名までゴッソリ変えてしまったときには、さすがにゲンナリした。特にこの場合、Eurocopter 時代だけで話が終わらず、その前もある関係で「AS ほげほげ」と「EC ほげほげ」が入り乱れている。それを整理したくなるのは分かるけれども、なんか釈然としない。

なにしろ、同系列の機体でも数字が変わったり、新型になったら数字が小さくなったり、軍用型と民間型で数字が違ったりすると、もうカオスである。「H ほげほげ」に改めても、その辺のカオスはそのまま。

もう、全部「新旧対照表」を作らないとやっていられない。と某誌編集部でボヤいたら同意してもらえた。そのうち、本当に「西欧二強のヘリの機種名新旧対照表」をやることになるかも ?

「いちいち覚え直す手間」といえば、今度は Safran Group である。これからは「SNECMA (現 サフラン エアクラフト エンジンズ) のアター 09」とか「CFMインターナショナル(SNECMA、現 サフラン エアクラフト エンジンズ)とゼネラル エレクトリックの合弁企業」って書かにゃならんのだろうか。

ただでさえ、いつも文字数超過で苦労しているのに、こんな長ったらしいのは勘弁してもらいたい。なんていう方向に話を持って行くのは、物書き業ぐらいかも知れないけれど。


もちろん、ノリや勢いで決めているわけではなくて、熟慮・検討の上でリブランディングを決めているのだろうとは思う。ただ、それが結果としてプラスに働いたのかマイナスに働いたのかは、後になってみないと分からないのが難しいところ。

「やっと新しい名前が定着した」という頃になって「また変えます」とやられたら、もう効果があるのかないのか分からなくなってくる。そのうち「原点に戻るために昔の名前を引っ張り出します」となったら… (そういえば、クルマの名前だと、昔の名前を引っ張り出すケースはままある)

社名でも商品名でも「覚えてもらってナンボ」。それを変えようというのは大変な決断なわけで、「そのリブランディング、本当に必要 ?」と考えてみることも必要なのかも知れない。特に、今の名前とは何の関連性もない、まるっきり別物の名前にしようとする場合には。

すでに定着している会社・製品・サービスなどの名前は、それはそれでひとつの財産なのだから。それを捨て去ることの重みは考えて欲しい。

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