Opinion : 学校で習う物事の意味 (2016/9/12)
 

教科書で習ったけど今後一生使わないと思う知識 5 選! 大学生に聞いた | 生活 | 大学生活 | マイナビ 学生の窓口

ああ、また始まった。昔から、この手のアンケートは何回も繰り返されていたような気がする。ある種の定番である。

学校で習うこと (特に小学校から高校まで) は、その先で応用的・専門的な話に進むための基礎作りというところがある。それに、将来的にどういう分野に進むか分からないのだから、ある程度は広範に、汎用性のある内容にしておかないと具合が良くない。

とかいう建前論的な話はともかく、この手の話を大真面目に主張してしまうのは「分かってないなあ」といわざるを得ない。世の中、どこでどんな学問が関わってきているか分からないのだ。それでも「こんなの、使わない知識だ」と口に出せてしまうのは、ある意味「若さの特権」ではあるけれど。


たとえば、「カメラ女子」を目指しているそこの君 ! (って誰)
実はカメラを扱っていると三角関数が関わってくるのである。ウソだと思ったら「コサイン誤差」で検索してみればいい。

あと、「因数分解なんて用がない」と思っているかも知れないけれど、コンピュータ通信に不可欠の暗号化技術。たとえば RSA 暗号には素因数分解が関わっている (自分が直接的に計算させられるわけではないにしても)。実のところ、暗号と数学の関連性は極めて密接。

歴史や地理に関する知識が何の役に立つのかと思うかも知れないけれど、それは考えが甘い。

地理は意外と日常生活との関わりがある。たとえば、今日の晩飯のおかずになる魚が世界のどこで獲れて、どうやって運ばれてきたか、なんていう話になると、地理も運輸がらみの話も経済学の話も関わってくる。魚の値段がどう決まって、どうして変動するのか、という話には、これらの要因が影響する。

あと、「領土」「領海」「排他的経済水域 (EEZ : Economical Exclusive Zone) 」「接続水域」に関する正しい理解がないと、接続水域への侵入を領海侵犯だと勘違いしていきり立つ、なんていうこっ恥ずかしいことが起きる。この辺も地理マターか。

歴史はどうか ? 歴史を知るのと知らないのとでは、たとえば選挙の投票行動に影響が出るかも知れない。選挙といえば、対立候補を批判するのにいい加減なことをいう候補者がいるけれど、そこでも往々にして歴史がらみの話が出てくる。正しい知識がないとインチキ候補者に騙される。

インチキといえば、物理や化学に関する正しい知識がないと、簡単にニセ科学やインチキ商品に騙される。具体例を挙げようかと思ったけれど、多すぎるからやめた。

そういえば。「電力回生ブレーキで発生させた電力を蓄電池に溜めておけば、次はそれを使って加速することで無限に走り続けることができるのではないか」なんてスットコドッコイな発言をした人がいた。エンジニアリングの基本が頭に入っていないから、こうなる。

語学はどうか。語学は異なる国や異なる文化について知るための重要なツールであり、入口でもある。そういえばだいぶ前に、「英語で書いてあるということは秘密裏にやっているということだ」というお笑い発言があったっけ。

歴史の話に戻すと。歴史でも文学でもそうだけれど、「無用の用」というものでもある。一見したところでは即物的に役立つことはないかも知れないけれど、長い時間をかけてじわじわと自分の生き方やモノの考え方に影響してくることがある。って、以前にもどこかで書いたかな。

だいたい、自分が住んでいる国の歴史を何も知りませんというのでは、それは役に立つとか立たないとかいう以前に、恥ずかしいと思わないのかと。

軍事趣味をやっていると軍艦や軍用機のネーミングが気になりそうなものだけれど、そこでは往々にして、歴史や宗教や神話の話が関わってくる。そこでベースになる教養があるのとないのとでは、理解の度合が違ってくる。(神話がらみの艦名が並ぶ英海軍のリアンダー級フリゲートとか、アメリカ史上の著名人が並んだかつての米海軍 SSBN とか)


身も蓋もないことを書いてしまうと、「こんなの勉強して何の役に立つんだ」の裏には「勉強をサボることの正当化」という感情があるのかも知れない。でも、若い頃にそうやって手抜きをすると、20 年・30 年経ったときにボディブローのように効いてくることもあるのだ。

なんて書き方をしてしまうあたり、自分も歳を食ったもんだなあと思った。いや、実際、歳を食ってるわけだけれど。

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