Opinion : 自分のお仕事をめぐる徒然 (2016/10/10)
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「残業代」とか「残業」という概念と縁がない生活になって、四半世紀ぐらい経つ。基本的には「アウトプットに対してギャラをいただく」生活だけど、すべてがそういうわけでもなくて「他人任せ」の部分もある (← MSKK 時代のストックオプションのこと)。
今の自分が恵まれていると思うのは、やりたいことをやって、それでギャラをいただけること。もちろん「商品」を作っているわけだから、好き勝手に横車を押しているわけではなく、あくまで「編集サイドが求めるものを」という枠の中ではあるけれど。
実のところ、プロとアマチュアの最大の違いは、この「商品を作っているという意識」の度合かも知れない。
ただ、「やりたいことをやって、それでギャラをいただける」が裏目に出ることもある。2 年前に 3 ヶ月の入院を余儀なくされたとき、見舞いに来てくれた叔父に「好きなことを仕事にしているから、却ってブレーキが効かなくなっちゃったんじゃないの」といわれた。
弁解の余地なし。
あと、好きなことを仕事にしていると、逃げ道がなくなる。これは物書き稼業に限らず他の分野でも、似たような境遇にある人の多くが感じていることじゃないかと思う。
その、逃げ道がないところは確かにしんどいけれど、一方で、モチベーションを維持する原動力にもなっている。この仕事をしていたからこそできた、貴重な経験というやつは数知れずあるし。
だから、「仕事が辛い上にハードワークで…」というよりは、はるかに恵まれていると思ってる。それに、これは故・鷺沢萠氏が書いていたことだけど、インカムを犠牲にして仕事をお断りする自由はあるわけで、それだけでもずいぶんと気が楽になる。
ただしもちろん、その自由を実際に行使するかどうかは別問題。といいつつも、2 年前の入院騒ぎからこちら、意図的に仕事の量を少し抑えているのは事実。
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よくよく考えてみたら、会社勤めしていれば定期的に健康診断を受けさせられるから、何かまずいことがあっても早期発見の可能性はある。フリーの身だと往々にしてそれをサボって、致命的な事態になってから慌てる。
「お仕事をお断りする自由」があるから… と開き直れるので、過重負担による過労死はしないと思う。でも、健康管理不行き届きで突然死するとか野垂れ死にするとかいう危険性は、むしろ大きいかも知れない (← 他人事みたいに書くな)。
まあ、日本人の平均寿命が七十何歳とかいっても、それはあくまで平均値。自分に残された時間がどれだけあるか分からない。だったら、どれだけあるか分からない未来のために今を犠牲にするよりも、まずは今を一生懸命であること。
それで、やるべきことをきちんとやっていれば、結果は自ずからついてくる… ぐらいに思ってないと、不安に押しつぶされて精神的にもたないってば。
実はフリーランスの場合、勤め人みたいな形での過労死を回避できたとしても、メンタルな部分でつぶれるリスクは少なからずありそう。それは不安感であったり、燃え尽きであったりするのだろうけれど。気をつけなければ〜
幸いなことに、うちには「行ってし魔王」という怖ろしい魔王様が住んでいる。それに、鉄道でも飛行機でもミリタリーでも、現場や現物を見て初めて分かることはいろいろある。だから、それにかこつけてお出かけすることが、燃え尽き回避に効くのかも知れない。
だから、得意の台詞は「行かせてもらえるのなら自費でも行きます」だったりする。実際、どれがそうとはいわないけれど、自費で遠出をする取材はときどき発生する。でも、後につながるものがあれば回収できると思っている。
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