Opinion : ヒステリー的物言いの害毒 (2017/2/6)
 

なんでも、「オスプレイのフライト マニュアルに緊急時の項目がある。事故を想定しているなんて怪しからん」といっている報道機関があるそうだ。

いや、どんな飛行機のフライト マニュアルにも「EMERGENCY PROCEDURES」の項目はあるんだけどなあ… 第一、緊急事態に対する備えがない飛行機なんて、それこそ怖ろしくて乗れたものではない。

それに、旅客機の各座席には非常時に備えた「安全のしおり」が備え付けてあるわけだけれど。あれも「事故を想定しているなんて怪しからん」ということになるんだろうか。

なにも飛行機に限ったことではない。自治体であれば「大地震が発生して多数の死者が生じた場合に備えた緊急埋葬場所」の計画、運輸業であれば死傷事故が生じたときの対処、といった具合に、非常時に備えた計画やマニュアルがあるのは、不思議でもなんでもない。

とはいうものの、「戦争なんて起きて欲しくない」(それはわかる) という考えが「有事に備えた法整備・体制整備は怪しからん」に変質するところと、軌を一にしてはいる。そういう意味では筋は通っているが、それはあくまで「内輪でだけ通用する筋」に過ぎない。


そういえば先日。拙宅には作り付けの本棚があるのだが、設置を依頼したときに強硬に言い張って、扉と耐震ラッチをつけてもらった。だから東北地方太平洋地震に際して震度 5 の揺れを食らったときにも、件の本棚は書籍流を起こさずに済んだ。

と思ったら、実はその耐震ラッチの一部が施工不良で、ラッチを止める金具の位置がずれていて、ちゃんと扉を固定できていないことが (16 年目にして) 判明した。そこで錐とねじ回しを持ち出して、金具を外して位置を直して再取付。これでちゃんと固定できることを確認した。

なんとも間の抜けた話ではあるけれど、問題が見つかって解決できたのはよい。地震が起きて欲しいとは思わないけれども、備えは怠らない。だから「うちは震度 3 や 4 では何も被害は出ない」と豪語しているし、実際、家具の転倒もモノの流出も起きていない。

震度 5 ないしはそれ以上になると、東北地方太平洋地震から後には一度も遭遇していないので検証のしようはないけれど、前回よりも対策は強化している。こういうのが「起きて欲しくない事態」に対する正しい向き合い方なんじゃないのかと。

地震とは関係ないところだと、偏執狂的というレベルすら通り越していると思われる、データ多重化体制も同じ。過去の仕事のデータや撮り集めた写真を、九重化〜十重化している物好きはそうそういない (RAW データは量が多すぎるので五重化どまり)。

HDD のクラッシュでデータを喪失したことはないけれど、S.M.A.R.T. がエラー報告を出しまくって換装に踏み切ったことは実際にあるし、最小のダウンタイムで切り抜けられた。やはり非常時の備えがあると強い。


冒頭の話に戻ると。

V-22 はいまや「反米運動・反基地運動の偶像」に祭り上げられてしまった機体だから、V-22 を叩くためならなんでもあり、というヒステリー状態になってしまっている。だから、冒頭で書いたような「筋の悪い」物言いをつける人も出てくる。

もっとも、物言いをつけるような人、あるいはそれに賛同する人は「筋が悪い」とは思っていないと思われる。この分野に限らず、「自分が嫌いな○○を叩くためなら何でもあり、手段は選ばず」という話は、よくある。

最近、その手の話が目についてないか… と思ったら、あれだ。アメリカの新大統領である。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのデンで、国防長官の綽名までネタに使ってネガキャンが張られている。

確かに好き嫌いが激しく分かれそうなキャラクターではあるし、実際、そうなっている。嫌うのは個人の自由だけれども、そこで「筋の悪い」物言いのつけ方をすると、後でどんなブーメランになって返ってくるか、分かったもんじゃない。

入国制限の話にしても、実は以前から、特定の国に渡航歴があると制限がかかっていたのは同じこと。ESTA の申請をしたことがある人、実際に渡米したことがある人なら知っているはず。

もっとも、大統領にしても、ワシントン州の連邦地裁が入国禁止の差し止めを命じたのに対して「一人の判事が我が国をこのような危機に追いやるとは、信じられない。何か起きたら、彼と裁判制度のせいだ」はないだろうに。

その立場では「思っていても、口にしては駄目」の典型例。第一、何か批判される度にいちいち突っかかっていたら、ますますイジられるだけである。そういうところ、状況が見えてないというか、なんというか。

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