Opinion : 顔写真の選び方 (2017/2/13)
 

いつも書いているように、新聞社にしろテレビ局にしろその他のあれこれにしろ、「不偏不党」とか「中立公正」なんてことはあり得ない。当事者がそういっていたとしても建前に過ぎないのはいわずもがな。

そもそも、本当に「不偏不党」とか「中立公正」が実現できたら、そっちの方が気持ち悪い。

という話はともかく。内心の立ち位置が明瞭に分かりそうな指標があるよね、というのが今回のお題。ただし、対象が生身の人間の場合に限られそう。


といっても、そんなに小難しい話ではなくて、「顔写真の選び方」である。つまり、好意を持っている人物が相手の場合と、そうでない相手の場合とでは、顔写真の選び方が違ってくるんじゃないの。という話。

先日、MCAS 岩国で VMFA-121 の歓迎式典を取材したときに、スピーチに立った二人の将官とも、話している間にずいぶんといろいろな表情を見せてくれた。そして、ダメカットしかないと困るから、こちらは手当たり次第に (?) 写真をたくさん撮っておくわけだけれど、実際に誌面で使うのはその中の 1 枚。

では、どんな表情の写真を選ぼうか ? というところで、自分と対象の関係というか、好意の度合というか。そういうファクターが反映されてくると思われる。そこで自分の場合にどうしたかといえば、それは今売りの「軍事研究」を御覧ください、という話になる。

もっとも、これは「対照的な表情の写真ばかり出回りそうだから、いっちょう逆張りしてみよう」という思惑もあってのことだったけれど。

具体的に名前を挙げるまでもないと思うのでやらないが、媒体によっては、自分と対極のような顔写真の選び方をしたところがあっても、不思議はなかったんじゃなかろうか。もちろん、それは当事者の自由だから、いいとか悪いとかいう話ではないけれど。

なにも VMFA-121 歓迎式典に限ったことではない。たとえば分かりやすいところだと、昨年のアメリカ大統領選がらみのニュースなんか、典型例じゃないだろうか。

どの媒体が、どの候補のどんな顔写真を載せていたか。サンプルは掃いて捨てるほどあるはずだから、拾い集めて並べてみたら、何か傾向が見えてくるかも知れないね、という話。


ひょっとすると、これは生身の人間に限ったことではなくて、「モノ」が相手でも同じかも知れない。好意的に報じるか、そうでないかによって、写真の選び方や写し方が違ってくることがあるかも知れないね、と。

してみると、たとえば MV-22B の写真。どんな場面、どんなモードの画が選ばれているか、サンプルを拾い集めてみたらどうなるだろう。格好良さそうに見える画を使っている人がいたり、不気味そうに見える画を使っている人がいたり、と明瞭に傾向が分かれたら面白い。

実際にやった人がいるかどうかは知らないけれど。

地上に駐機している B-52 の写真と飛行中の B-52 の写真を並べて「翼端がメーター単位で上下するなんて、なんて脆弱な機体でしょうか ! 安全を無視して設計された危険な機体です !」とネガキャンを張る人がいたら笑いどころ。あの細長い主翼がまったく撓らなかったら、そっちの方が怖ろしい。

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