Opinion : おカネを出してもらう側の意識 (2017/6/5)
 

先日、JR 北海道の路線維持に関連する話で、どこかの自治体の関係者が「クラウド ファンディングで資金集め」と言っているのを聞いて、目が点になった。「観光列車を走らせて」も大概だと思ったけれど、これも相当なもの。

なんで目が点になったかといえば、「クラウド ファンディングを、自己負担なしで資金が湧いて出てくる打ち出の小槌ぐらいに考えてないか ?」と思ってしまったから。

「JR の経営努力が足りない」もそうだけど、要するに「負担はを他人に押しつける」姿勢が見え見えだから、もにょる。


以前から、尖閣がらみの話なんかで「まず、日本の朝野が『自ら防衛するという姿勢を見せる』のが先決」ということを何回も書いている。当事者がそういう姿勢を明確に示さないで、他国に救援に来てもらうことばかり考えるのってどうなのよ、と。そういう話。

なにも安全保障問題に限った話ではない。まず当事者が「自力で可能な限りのことはする」という姿勢を見せてこそ、周囲も「それなら支援しよう、助けよう」という気になる。そういうものなのではないか ?

もっとも、大規模自然災害が起きる度に「がんばろう○○」と書かれたステッカーなどが氾濫するのも、ちょびっと違和感があるのは否めない。それは先の話とは逆に、努力を当事者に投げてしまっているように思えるからだろうか。

で、ローカル線維持の話。鉄道に限らず、バスでも同じだろうけれど、まずは「日常的に乗る人がいないと始まらない」んである。

観光列車云々というけれど、観光列車 1 編成が 1 日に 1-2 往復して乗せられる人の数と、普通列車用の気動車、たとえばキハ 40 やキハ 54 の座席定員がいっぱいになるぐらいの状態で乗せられる人の数。どっちが多いか、よーく考えてみよう。

もちろん、いわゆる観光列車の方が、なにかと付加価値が付く分だけ客単価は高いだろうけれど。ただ、そこに乗る人は基本的に「一回限り」だと考えないといけない。各地にさまざまな観光列車が出現して、いまや観光列車同士だけでも、けっこうな競争になっている。そんな中でリピーターを確保・維持するのは簡単じゃない。

まず地元の日常的な利用をベースとして確保すること。上で書いた「自力で可能な限りのことはする」とは、そういうこと。他のアイテムは、それに対する上積み分。

と書いてはみたものの、北海道のローカル線になると、まず運行本数が少なすぎて、地元の日常利用を確保するのが難しいのは分かる。先日、「どこかにマイル」で帯広に飛んだときに根室本線の普通列車に乗ってみたけれど、ガラガラであった。

そうはいっても、まずそこから始めないと話は先に進まないし、いきなり「クラウド (ry」とか「観光列車」に話が飛ぶのは、いささか当事者意識を欠き過ぎているといっても過言ではないのでは。


もちろん、当事者が努力している姿勢・姿を見せた上で、さらに「支援をお願いします」はあり。とはいえ、支援していただこうというのであれば、支援した人がなにがしかの充足感を感じられるような形にできれば、なおいいかなあ。

そういうところは、アメリカやイギリスのチャリティ イベントが参考になるかも知れない。同じチャリティなら楽しく、面白くやる方がいい」というところが。

たとえば、BAE Systems が HMS Queen Elizabeth の船殼ブロックを Govan の造船所から Rosyth の造船所まで艀に載せて運んだとき、自転車で同じ区間の陸上を走るチームと競走した (そして自転車チームが勝った)。実はあれ、チャリティ イベントだったのだ。

毎度のように同じ手が通じるかどうかはともかく、「同じチャリティやるなら面白いイベントにしよう」という姿勢はいいなあと思った。その方が、おカネを出す人も楽しいしハッピーになれる。

ローカル線がらみだと、枕木や吊革のオーナー制度みたいな事例があったと記憶している。おカネを出すと名前が掲示されたり、現物に名前が載ったりする。これをさらに深度化して、なんか楽しい形でできないかなあ、なんてことを考えつつ、まだアイデアが出ない。

ともあれ、「自分で努力する姿勢」だけでなく、「おカネを出してもらおうというのであれば、おカネを出した人に満足してもらおう、楽しい思いをしてもらう」という姿勢が欠けているように思えたのも、冒頭の道内自治体の話でモヤモヤが消えない理由だったりする。

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