Opinion : 安直に流行り言葉を使うでない (2017/9/4)
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このあいだ、AFP 見てたんですよ、AFP。そしたら、USS John S. McCain (DDG-56) が商船と衝突した事故の記事が載ってたんです。
それを見てたら、「サイバー攻撃で GPS (Global Positioning System) が狂わされたせいではないか」ってコメントしてる人がいるっていうんですよ。サイバー攻撃ですってよ、サイバー攻撃。
もう、アホかと、馬○かと。あなた、サイバー攻撃いいたいだけちゃうんかと。
相対的な問題と絶対的な問題の区別がつかない人は、とりあえず相対性理論の本でも読んでなさいってこった。
真面目なモードに戻る。
確かに GPS ジャマーというものは実在するし、だからこそ GPS の耐妨害性を高めるとか、GPS が使えなくなった場面に備えた代替 PNT (Positioning, Navigation and Timing)手段を研究・開発するとかいう話も出ている。でも。
艦位を出し間違えて座標したというなら、それは確かに航法関連の不具合、妨害、あるいは欺騙を疑う必要がある。実際、電子海図の間違いが原因で艦が一隻、座礁してオシャカになった前例もある。
でも、衝突はそういう絶対的な問題というよりも、フネ同士の相対的な位置関係の問題である。それぞれの針路が交錯する方向にあり、相対的な位置が近接すれば衝突につながるし、離れれば逆になる。
フネでもクルマでも飛行機でも歩行者でも、衝突を躱そうとするときに、いちいち「どこの座標に移動すればいいか ?」と考えるだろうか ? そうではなくて「どちらの向きに躱せばいいか ?」と考えるのではないか。
そこで「サイバー攻撃で GPS が狂わされて云々」なんてことをいうのは、トンチンカンもいいところではないか、と思った次第。そりゃまあ、「サイバー攻撃」は目下のトレンド ワードのひとつだから、持ち出せばトレンディかも知れないけれど。
「サイバー攻撃いいたいだけちゃうんかと」って書いたのは、そういう意味。
もっとも、見ているのは報道機関が引用した発言だけだから、元発言の内容や趣旨が実はかなり違っている、という可能性はあるかも知れない。
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そういえば何年か前、「サイバー攻撃で UAV を乗っ取った」と麗々しく発表した国があった。それに関連して、GPS を狂わせたのではないかとの話も取り沙汰された。
その国は後になって、「乗っ取って捕獲した UAV の中身を調べた」ともいっていたし、機体の前に技術者 (のように見える人) が立っている映像も流した。もっとも、その機体の下半分が幕で覆われていて見えなかったのは謎だけど。
何も差し支えがなければ、見せてしかるべきもの。わざわざ幕で覆い隠していたのは、そこに「見られては困る何か」があったとみるべきであろう。
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その後に、"乗っ取ったオリジナルよりも優秀なコピー機" を作って飛ばしてみせるのかと思ったら、まるで音沙汰がない。自国内でオモチャを作って売っていたけれど、それだけ。もう、件の UAV のことは忘れてしまったようである。
彼の国は、そのとき、そのときでトレンディなワードを持ち出してくることにかけては定評と実績がある。だから、すかさず「サイバー攻撃」というワードを持ち出してきたセンスは悪くないけれど、言葉の大安売りという感もある。
それで何をいいたいのかというと、サイバー攻撃に限らず、何かあるとすぐに流行り言葉に結びつけたがる人には気をつけましょうね、ってことで。
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