Opinion : 選択と集中、できてる ? (2017/9/11)
 

こういう仕事をしていると、オプテンポが上がったり下がったりするだけでなく、先が読めない。「今日は暇だなー」と余裕かましていると、突如として嵐がやってくることもある。

これが本物のハリケーン (not 戦闘機) であれば、WC-130J でも飛ばして事前に観測できるけれど、仕事の嵐はそれができない。だから、休めるときは休め、が鉄則。自分にとって自分の代わりはいないわけだから。

これが組織の話であれば、多少は事情が違う。もちろん、常に大量のバッファを抱えている組織はないにしても。


それで何をいいたいのかというと、オプテンポが上がりっぱなしだと疲弊する、という当たり前の話。当たり前の話なんだけれども、つい忘れてしまう話でもある。

第二次世界大戦中のどこかの国では、最前線に出したパイロットは戦死するか大怪我するかしないと帰国できない、といわれてたなんていうし。(国によっては、ローテーション制度を取り入れて疲弊を防ぐようにしていたけど)

ここのところ事故が続発している米海軍の第 7 艦隊にしても、オプテンポの高さに加えて、それに起因する整備・錬成のための時間の不足、といった問題点が指摘されているという。

なにしろ、ソ聯より怖い GAO (Government Accountability Office) が指摘しているというのだから、本物である。

疲弊の背景について、「前政権時代に O&M (Operation and Maintenance) の予算が削られた」という声が出ているらしい。カネの問題だけではないにしても、充分なりソースを回さないとダメ、というところは正しい。

ローテーション制度を取り入れて、疲弊する前に交代させましょう、というと「でも、それを実現するための代わりがいない」といって反対する人が出てくるのはお約束。

そりゃまあ、予算を増やせといっても原資は限られているし、人やモノについても限りがあるのは同じ。そうした中でどうにかしようとすれば、何かを削る必要がある。しかし、不可欠なものや将来につながるものは削れない。

となれば、どうしても削れないところにリソースを集中するために、優先度が低そうなところを削るしかない。普通、自分の家の家計であれば、たいていの人がやっていること (ときどき、それをしないで破産 or 破滅する例外的な人もいるけど…)。

ガダルカナル戦のときの米軍を見れば分かる。とにかく島と飛行場を護りきるために、二次的な作戦は中止、使える兵員と飛行機と艦艇は片っ端から投入。戦力の出し惜しみなんてしない。それどころか、勝ち目がなさそうな相手に手持ちの艦を叩き付けるようなことまでやった。

これはいささか極端な例かも知れない。でも、リソースがきつい、あるいは負担がきついときに、それまでやっていたことをそのまま維持したままでリソース不足をなんとかしようとしても、そりゃ無理な相談。

まずは、リバランスの努力、リソース配分見直しの努力をトコトンやらないと。それをやらないうちに、人が足りないとかカネがないとかモノが足りないとかいわれても、それはちょっとねえ。となってしまう。


何でもそうだけれども、いったん誰かが手に入れた何かを、後になって奪ったり召し上げたりするのは、簡単な話ではない。たいてい、抵抗や反対に直面する。でも、ときには優先順位付けや従来の慣習などを見直して、その過程で何かを奪ったり召し上げたりしないといけないこともある。

それができずにズルズルと前動続行してばかりいると、手持ちの有限なりソースがあちこちに分散してしまい、必要なところにリソースを回すことができなくなって、総崩れになるんじゃないか。そんな危惧を持つことがある。

「選択と集中」って、口で言うのは簡単だし、実際、これをぶち上げる場面はよく見かける。でも、実際のところ、どこまで選択と集中ができてるんだろう、口先だけじゃないんだろうか、と疑問に思える場面もある。

もっとも、モノでもイベントでも組織でも、承認を取り付けやすくしようとしていろいろな名目をくっつけた結果として、いざ見直しをかけようとしたときに「利害関係者が多くなりすぎて身動きがとれなくなっている」というのは、ありそうな話ではある。

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