Opinion : 三十六分の一 (2017/10/30)
 

昨日の挙行を予定していた航空観閲式が、台風の来襲で中止になった。なんでも、航空観閲式の本番が中止になったのは、十何年ぶりのことであるらしい。おかげで、噂されていた B-2A の飛来がホンモノだったのかどうかも、藪の中。

B-2A 云々は措いておくとして。目下のところ、空の航空観閲式、陸の観閲式、海の観艦式が、それぞれ 3 年ごとに行われている。毎年、持ち回りでどれかひとつはやっていることになる。

いきなり集まってワッとやって終わり、なんてことはないわけで、どのイベントでも多分、1 ヶ月ぐらい前から参加する部隊・人員・装備が集結して、せっせと事前訓練をやっていると思われる。そこで、ちょっと詭弁混じりの数字を出してみることにする。


3 年に一度のイベントのために、1 ヶ月前から事前訓練と予行をやる。ということは、36 ヶ月のうち 1 ヶ月を、空は航空観閲式、陸は観閲式、海は観艦式のために使っていることになる。

三十六分の一、と書くと、大した数字には思えないかも知れない。でも、36 ヶ月のうちの 1 ヶ月、1 年のうちの 10 日、1 日のうちの 40 分という割合である。そう書くと、なんだか馬鹿にできない比率のように見えてくる。

もちろん、先にも書いたように、これには詭弁が混じっている。陸海空の全員・全部隊・全装備が参加するわけではないし、「1 ヶ月の事前訓練と予行」の中には、メシを食う時間も寝る時間も含んでいる。

とはいえ、式典に関わることになれば、「三十六分の一の時間は式典のためにとられる」といっても過言ではない。それに、観閲式が陸だけ、航空観閲式が空だけ、観艦式が海だけ、というわけではない。観艦式のときに戦闘機が飛んでいるように、「相互乗り入れ」している部分はあるから。

それに、この三つのイベントだけですべてではない。陸なら総火演があるし、陸海空のいずれをとっても一般公開イベントはたくさんある。そこまで含めると、人手・時間・経費のいずれをとっても、結構な負担になっているはず。

果たして、それを黙認できるほど余裕があるんですか、それをやらないと国民にソッポを向かれる状況なんですか。と、改めて問題提起をしてみたい。現実問題として、三年ごとに観艦式をやってるネイビーが、世界のどこにあるんですか、という話。


もちろん、この手のイベントに「偉容を示す」「術力を示す」という意味合いもあるのは承知している。

航空観閲式はこれまでのところ無縁だけれども、観閲式は一度、観艦式は三度、観ている。ことに観艦式で、サイズも速度性能も操艦特性も違うフネがピシリと隊列を組んで動き回るのは、凄いとしかいいようがない。

だから、シップ ハンドリングの巧さを見せつけるという意味では、(それが分かっている人でなければ分からないとはいえ) 意味はある。飛行機の編隊飛行や機動飛行でも、事情は同じ。

だから、二度とやらんでよろしい、全面廃止 ! なんていうつもりは毛頭ない。ただ、以前に書いたことの繰り返しになるけど、頻度は見直してみてもいいんじゃないの、とはいいたい。

昨年、シンガポール海軍が「創設 50 周年記念観艦式」をやったけれども、そういう、何かの節目、アニバーサリーでイベントをやるのはいいと思う。でも、「目下の状況は、持ち回りで三年に一度の式典をやって、あまつさえそのために月単位の事前訓練をするほどの余裕がある状況なんでしょうか」との疑問はある。

話は違うけど、式典や演習のために多数の人や装備が集結したときの受け入れインフラって、どうなってるんだろう。艦艇はフネの中で寝泊まりできるから別として、陸の上の話。米軍基地だと、外来者向けの宿舎までしっかり用意してあったりするけど。

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