Opinion : 足をケチることのリスク (2018/9/3)
 

昨日、法事があったので行ってきた。その後の会食の席でいろいろ駄弁っていたら、従姉妹が「新幹線って乗る機会がない」という趣旨のことをいう。

仕事柄というのもあるけれど、こちらは新幹線も飛行機ももはや「日常」で、ことに東海道新幹線になると「ちょっと速くて遠くまで行けて、車内で仕事もできちゃう通勤電車」ぐらいの感覚になっている。

でも、「新幹線も飛行機も、たまに乗る特別な乗り物」という感覚の方がフツーで、マジョリティなのかも知れないなあと思った。


で。先日の「黒磯騒動」である。もともと、18 きっぷのシーズンには乗り換え椅子取りゲームが勃発する駅だけど、そこに仙台で行われるアイドル グループのイベントに行く人が加わって大混雑。とうとう遅延と積み残しのコンボが発生したという。

御存じの通り、今は日中だと仙台-新白河間がキハ 110 系列の 2 連だから、そりゃ積み残しも生じようというもの。その手前の宇都宮-黒磯間だって 205 系の 4 連が普通だから、それだって大した輸送力にはならない。

「その昔、小田急の急行は相模大野-片瀬江ノ島間が 4 連だったじゃないか」という突っ込みはなしで。(さらに遡ると、箱根湯本行きの急行は中型車 4 連限定という時代もあったか)

当然ながら「なぜ新幹線にしない」「ケチるところが違う」という突っ込みが続発したし、それはそうだと思う。上野から仙台まで普通列車で行けば 7 時間かそこらかかるけれど、新幹線で行けば 2 時間足らず。浮いた 5 時間はプライスレスである。

もっとも、それを書いている自分自身が先日、弘前から 18 きっぷを使ってちんたら帰ってきたけれども、さすがに「白河の関」は新幹線ですっ飛ばした。正確にいうと福島から宇都宮まで。

素直に全区間を普通列車にすると帰宅が 23 時台にずれ込んでしまうので、どこかは新幹線ですっ飛ばす。ではどこでやるか、と考えたときに、「幸いにも接続が悪くないので、板谷峠は普通列車で」「本数が少なくて接続がしんどい白河の関はすっ飛ばす」という考え。

これで結果として 2 時間ばかり稼ぎ出した次第。板谷峠の設備や遺構を見るにも、普通列車の方が具合が良いし。

これは「後は帰って寝るだけ」だからやれたことだけれど、仕事とかイベントとか、何か大事な目的がその先に控えているのであれば、話は違ってくる。

つまり「時間と引き換えに費用をケチることの正当性」という話もさることながら、リスク管理という点で問題あるんじゃないの、と思った次第。

上野から仙台まで普通列車を乗り継ぐと、途中、宇都宮・黒磯・新白河・郡山・福島で乗り換えが発生、場合によってはさらに白石が加わる。しかも本数は毎時 1 本程度という区間が少なくない。

すると、ギリギリの日程を組んでいた場合、どこか 1 ヶ所で乗り継ぎが破綻すれば全行程が崩壊する。しかも片道 7 時間ともなれば、そう簡単に余裕のある行程は組めない。イベントが夜で、出発が初電というならともかく。

つまり「経費節減は、それと引き換えのリスクを冒すだけの価値があるんですか ? 旅程崩壊で大事なイベントを逃がすリスクの方が、もっとヤバいんじゃないですか ?」という話。

「上野→青森」の場合、新潟まわりでも、ほぼ同じ所要時間で行ける。ただし、東北本線ルートだと「いざとなったら新幹線」ができるけど、新潟まわりだとそれができない。だから、こちらの方が旅程崩壊の危機に直面したときのリスクは高そう。


それは無論、安さと引き換えのリスクなわけだけれど。「イベントがあるんだから増結/増発しろ」といっている人を見ると、何か違うんじゃないかと思わざるを得ない。

そもそも、仙台で行われるイベントの影響が黒磯まで波及するなんていうのは想定の範囲外だけれども、それだけじゃない。LCC に FSC 並みの対応を要求したり、格安 MVNO にメガキャリア並みの品質・対応を要求したりするのと同じメンタリティを感じる。

移動そのものがネタあるいは目的というなら、話は別だけど。何か別の目的があって交通機関を純然たる移動手段にするなら、もちっとリスク管理ということも考えた方が… というところで、今回はこの辺で。

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