Opinion : 節約こそ正義、はおかしい (2018/10/15)
 

13 日から 15 日まで北海道に行っていた。そこで愕然としたのは、JR 北海道のローカル輸送用車輌の、車体の傷みが酷くなってきているように感じられたこと。ベコベコだったり塗装が剥げてたり。

運用環境が過酷な上に車輌の経年が進んでいるから、無理もない部分もある。国鉄時代に製造したキハ 40 はいうにおよばず、キハ 150 も、塗装が剥げたり,車体表面のベコベコが目立ってきたりしている車輌を見かけた。

とっとと代替してあげたいところだけど、予算上の問題から後継 (になるはずの) H100 の発注は先送りだと報じられている。そのうち、使える車輌が減ってダイヤを維持できない、なんてことになりはしないかと心配になった。

一方で、札幌周辺では以前と比べるとロングシート車 (731 系・733 系・735 系) が増えてきていると感じた。混雑時間帯の状況を見ていれば、3 扉クロスシートのデッキ付きでは対応しづらくなってきているのも実感しているし、これは当然の帰結。

第一、屋台骨の都市圏輸送・都市間輸送がちゃんと成り立たないと、全体が崩壊してしまう。そうはいっても使える資金には限りがあるから、ローカル輸送に使用する車輌にしわ寄せが行っているということだろうか。

ただ、「自力では持続不可能な路線」の今後がはっきりしないと、車輌代替の計画を立てづらいという一面もありそう。造ったのはいいけど廃線で所要が減って余剰が出ました、というわけにもいかない。


根本的には、以前にも書いたような気がするけど、利用が増えないことには始まらない。運輸業というのは乗る人がいてナンボなのだから、沿線に人が住んでいて、経済活動が盛んになって、人やモノの往来が増えないと詰む。

鉄道に限らずバスでも同じことで、実はバスの方がさらに深刻なのかも知れない。

だから鉄道・バス事業者単体で頑張れることには限りがあって、周辺も一緒になって盛り立てないと始まらない。JR 北海道とエアラインが組んで、「飛行機で飛んできた人のためにお得な切符を出します」という取り組みがあるのは、その一例。(実は自分もそれを利用する作戦計画を立てていたりする)

無論、自治体によるバックアップだって必要だし、そもそも自治体が自分とこの定住人口を増やしたり、経済活動を盛んにしたりする施策を打たないと話にならない。それは、それぞれの地域を持続させる上でも必要な話。

なんだけれども、どうも北海道や各地の自治体の動きを見ていると、「鉄路維持のために国がなんとかしろ」という意識ばかりが透けて見えていて、当事者意識が欠けているように思える。

そんな状況下で「企業努力」を求められても、JR としてはインカムが増えなければ支出を減らすしかないわけで、そこで積み重なった無理が、ここ数年の間に一挙に噴出しているということじゃないかと。当事者だって、好き好んで傷んだ車両を放置しているわけじゃない。


この「企業努力」に限らないけれども、「支出の節減」「節約」にばかり熱心だったり、そればかり声高に主張したりする場面は他の分野でも散見される。ありがちなのは「公務員や議員の報酬を減らせ」というやつ。

口でいうほど簡単ではないけれど、支出を減らすだけでは限りがあるわけで、インカムを増やす工夫もしないといけない。なのにインカムの話はそっちのけで「節約こそ正義」となる発想が、いろいろな意味で日本の社会をおかしくしてないかと。

「儲けばかり重視して安全がおろそかになっている」というのは某方面の定型句だけど、そうじゃない。利益が出なきゃ安全対策のための元手はできない。「莫大な利益が出ているのに安全がおろそかになっている」と非難するなら分かるけど。

「金儲けは悪」「節約は正義」という発想は止めようよ、あまりにもビンボくさいじゃないの。話の前後関係がおかしいよ。なんとなく、そんなことを考えてしまった。

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