Opinion : 見た目の主力事業と実態の乖離 (2018/11/26)
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先日、「アメリカが同盟国に対して、華為 (Huawei) の製品を使わないでもらいたい、と要請してきた」とのニュースが流れた。個人的には、華為製品が以前から米豪の政府調達から閉め出されているのを知っていたので、特段の驚きはなかった。
ただ、周囲の反応を見ていると、そういうわけでもなかった様子。この件について、ある方と話をしていた中で感じたのは、華為という会社に対する認識の違いだった。
以前、au の定額データ通信サービスが高速化したのに合わせて端末を変えたときに、華為製品以外の選択肢がなくて、不承不承、使っていたことがあった。この定額データ通信サービスのおかげで入院生活を乗り切れたようなところがあるのだけど、その話は措いておくとして。
確か 3 年ちょっと前だったか、その華為の端末を放逐した。途中契約解除のペナルティを支払ってまでシャープの SHF31 に機種変更して、Twitter でも書いたように「せいせいした」。その頃から、華為という会社に疑念の目を向けていたせい。
華為だけでなく、中国系の情報通信関連企業については、疑わしい話がいろいろ取り沙汰されたことがある。PC に怪しいアドウェアがインストールされているとか、外部に勝手に情報送信してるんじゃないかとか、その他いろいろ。
そんなこんなの事情もあって、うちでは「中国系メーカーの PC やスマホは買わん」ということにしている。ただし、他の人が買うのは止めない。あくまで個人的な信条の問題だから。
そのデータ通信端末に限らず、日本で目立つ華為製品というと、いわゆる「個人で使う端末系」というイメージがありそう。量販店の店頭で大きなスペースをとって売っているのは、ラップトップやスマートフォンだから、日本では一般的に「華為といえば PC とスマホの会社」と思われていそう。それが冒頭で書いた話。
それでも怪しいソフトウェアを忍び込まされれば放ってはおけないのだけど、この手の中国系企業が政府調達から閉め出されるのは別の理由がある。もっと通信サービスの基幹的な部分で使われる機材、たとえば移動体通信のネットワーク構築に関わる機材を手掛けているから問題なんである。
自分が攻撃者の立場に立って考えてみればいい。個々の端末機器に怪しいソフトウェアを忍び込ませて、個別にデータを送信させるよりも、ネットワークの基幹部分でごっそりデータをすくい取る方が効率的ではあるまいか。
念のために書いておくけれど、これはあくまで「可能性」の話であって、実際にそうやっていると指弾するものではない。ただ、国民も組織もみんな国家安全部に協力するよう定められている国だ、という点は念頭に置いておくべきであろう。
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「to B」の製品やサービスというのは、なかなか一般消費者の目には入ってこない。でも、そういう製品やサービスが売り上げの大きな比率を占めている、というのは意外とありがちな話である。
その昔、PC 用パッケージソフトの店頭売り上げランキングが定期的にリリースされていた。でも、それとは別のルート、たとえばユーザー企業向けに直接、ボリュームライセンスで販売するルートもあり、それは店頭売り上げランキングには出てこない。
すると「店頭売り上げランキングに基づく印象」と「ソフトウェア メーカーの売り上げ実態」の間に乖離が生じる。表から見えないところで売上が発生しているから、そうなる。
見えにくいところに重要な事業の柱がある、という点では、欧米の Tier 1 クラスの防衛産業各社もそう。
目に付きやすいのは、航空機とか車両とか艦艇とかいったプラットフォームのドンガラ。だけど実際には、そこに搭載するセンサーや電子機器、そしてシステム構築、アフターサービスの事業が結構な比率を占めている。
そういうのは目に付きにくいから、意識の外に行きがち。各社が毎年リリースしている annual report を見れば分かるし、その話はだいぶ昔に別件で書いたことがあったと記憶しているけれど。
「annual report は英語で書かれているから、これは秘密裏にやっているということだ」というツッコミはなしで。
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とどのつまり、個人の生活範囲レベルで見たイメージで「○○社は△△が主力分野」と思っていると、実は大違いということもあるという話。「生活者の視点」で見えるものがすべてじゃないよ、といいかえることもできる。
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