Opinion : 会見などでの受け答え (2018/12/17)
 

先日、河野外相が記者会見の席で「次の質問どうぞ」を四連発でやって、問題視されていた。個人的にも、これはあかんなあと思った。

閣僚に限らず、大企業のトップでも、どこかの国の大使でも、軍の制服組のうち将官クラスでも。とにかく人前に出て何かを説明しなければならない場面に立たされるポジションにいたら、ああいう回答はやっちゃいけない。余計な燃料を投下するだけ。


商売柄、外国の航空宇宙・防衛関連企業のトップ、ないしはそれに近いポジションにいる方の記者会見に行ったり、インタビューをしたりする機会がある。

先方がしゃべりたいことと、こちらが訊きたいことがうまいこと噛み合えば何も起こらないけれど、そんなことばかりとは限らない。ときには「訊かれたくないこと」をこちらが訊くような場面も起きる。

そんなときの法則で、相手がまず「Good question」と口にしたら、「ああ、訊かれたくないことを訊かれたな」と思うことにしているし、実際、そういう場面は多い。ただ、問題はそこから先。

そこで、木で鼻をくくったような対応をすれば、却って燃料を投下することになってしまう。かといって、馬鹿正直にしゃべるわけにもいかない。

となると、「いろいろ話をしているのだけど、終わってみたら何も実のある話は引き出せなかった」というのが、先方にとっては最善のシナリオということになる。逆に、質問を投げる側からすれば、「質問はしてみたものの、空振り」ということになる。

しばらく前、某社の記者会見で「ちょっと嫌な質問」をしてみたら、案の定、そうやってはぐらかされた。といって、それを根に持っているわけでもないのだけれど。先方には先方の立場があるし。

そういう「受け流し方」という点では、外国の軍やメーカーの関係者の方がうまいんじゃないかなあ、という印象を持っている。たぶん、かなり鍛えられているのである。特に米軍の将官クラスなんていったら、議会に呼びつけられていろいろ問い詰められる経験をしているだろうし。

もっとも、そんな話ばかりではなくて、ときには先方が (たぶん) 想定していないレベルで突っ込んだ結果として、良い話を引き出せることもある。昨年、Lockheed Martin Missiles and Fire Control の方にインタビューしたときが、その一例。(その話は軍研に書いた)


そういえば。先週は「華為特需」でテレビ出演・二連発という出来事があったのだけど。そのうち、2 日目の BS-TBS の方で、Twitter アカウントに「何をアメリカの手先みたいなことをやってるんだ」といった趣旨の mention が飛んできた。

後出しでいっているように見えるかもしれないけれど、これぐらいの反応が出ることは織り込み済み。もともと「マスコミ批判」とか「メディア批判」とかいうものの多くは、「自分が望むような方向で記事や番組を作っていないのが気に食わん」というものであるわけだし。

ただ、そこでこちらが真に受けて反論しても、燃料を投下するだけ。そして、それをやって先方が納得するかといえば、多分それはない。時間と労力の無駄遣いである。だからといって、何かネタにするのもまた、燃料を投下するだけ。

だから、サクッとスルーして済ませた。ただし、「ああ、自分のところにもこういう mention が飛んでくるんだ」という新鮮な発見があったとはいえる (爆)

あれ、待てよ。ここでこんなことを書いたら、それこそ燃料を投下することになりはしまいか。

ともあれ、「肯定的な反応」「答えやすい質問」「こちらが答えたいこと」ばかりではないのだから、そうじゃない反応やツッコミがあったときの上手な対応というものを、もっと身につけた方がいいのではないかなあと思った次第。

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