Opinion : レッテル貼りに走ったら負け (2019/4/22)
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もう、ずいぶん前の話になるけれど、「ネトウヨという言葉は、世間一般に評判がよろしくない『右翼』という言葉を用いてレッテルを貼ることで、相対的に優位に立とうとするツール」みたいな趣旨のことを書いた記憶がある。
つまり、本当に思想的に右かどうかというのは二の次で、相手を「悪役」と位置付けるためのツールとでもいえばいいのかしらん。
もちろん、「右翼」という言葉の評判がよろしくない主な原因は、黒いクルマの街宣右翼にあるわけだけれど。
もっとも、反対側を見てみても事情はあまり違わないようで、「パヨク」というレッテル貼り用語があるのだから、どっちにしても似たようなものだった。
なんていっていたら、さらにこの分野に新手が登場した。
「私設大本営」である。
なんじゃそりゃ、と思って少し嗅ぎ回ってみたら、これは要するに「自分らが批判したり叩いたりしている対象の組織と、同じようなことをいう連中に貼るレッテル」なのだった。
分かりやすい例だと。「日本の鉄道にも食堂車を」という論に対して「なぜ食堂車が衰退したのか」という反論が来る。そんなときに、「食堂車を付けない理由を縷々並べ立てるのは、鉄道事業者側の主張を代弁する私設大本営である」といった具合であるようだった。
バリエーションとして、「政府・与党の言い分に味方したり擁護したりすることで、自分らが強者の側に居たいのだ」とかなんとかいう類の主張がある。この手の話なら、本人に見えないところで、自分もいわれてるかも知れないね。
そんな人間が、国を相手取って行政訴訟をぶちかますかいな ? という当然の疑問は生じるのだけど、これはもう、知らない人も多かろうしなぁ。
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もともと日本国内では「大本営」といえば「大本営発表」という言葉のせいでイメージがよろしくない。それはまあ、実際にデタラメな発表ばかりしていたのだから、仕方ない。当事者の自業自得である。日本以外の国の大本営にとっては、とんだ風評被害かも知れないけれど。
その「大本営」という単語を混ぜて「私設大本営」という呼び方をすることで、レッテル貼りの対象を貶めようという意図があったんじゃないの、と勘繰ってしまった次第。真偽のほどは分からないけれども。
「右翼」という単語を使うか、「大本営」という単語を使うかという違いはあるにせよ、根っこにあるメンタリティとしては、冒頭で書いた話に通じるものがありそうだなぁと。
対象がなんであれ、思想的に上下左右どの辺にいるのであれ、相手に (評判の悪そうな単語を織り込んだ) レッテルを貼って罵倒するようになったら、その時点で負けだと思うんだけど。
自分は物書き業だから、たとえば「F-35 欠陥機論」に対しては、最終的には自分が書くものを通じて「問題点の内容とはこういうもので、現状はこうで、対策はこうだ」と書く形で反論するのが本筋だろうと思っている。自分が商売にしているフィールドの問題だし。
そこで「パヨクの戯れ言」みたいなことをいったら、相手と同じ次元に墜ちてしまう。巷で喧伝されている、F-35 が抱えている欠陥の数にしても、こっちはちゃんと元ネタをあたった上で記事を書いているという自負があるから、煽りや感情論に走らない、筋道立った記事を書くことができる。
だいたい、過去の記事を見ていただければお分かりの通り、自分は F-35 に不具合がないなんて書いてない。不具合の存在を認めた上で、それがどういうもので、どういう見通しなのか、どうしなければいけないのか、という方向で書いている。
事故が起きたからといって、急にダボハゼのように食いついてきて騒ぎ立てるような人には、どだい冷静な書き方なんてできないのだろうけれど。
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