Opinion : 小さく始める (2019/4/29)
 

世の中のあれこれに怒ってばかりいても精神衛生上よろしくないし、今週はヒマネタで。

以前に「万が一の可能性の過大評価」なんてことを書いた。そのときの想定状況は「モノを処分するかどうか」だった。「これ、捨てちゃおうかな」「いやいや、出番があるかも知れないし」といって踏みとどまってしまうと、モノが減らない。

ところが、「万が一の可能性の過大評価」って、もうひとつ存在する。それが「モノを買うとき」。典型例として、親元を離れて一人暮らしを始めるような場面が挙げられそう。


「親元を離れて一人暮らしを始める」は、自分も 30 年以上前に通った道。もちろん、いろいろ想定して、いろいろな買物をしたけれど、親元からかっぱらってきて持ち込んだ品物が結構多かったように記憶している。

そうすれば経費節減になるし、両親にしてみれば、家に溜まったあれこれのモノを減らせる効果があったかもしれない。着るものなんかは、そのまま横滑りさせればいいわけだし。

だから、家具調度の類はほとんど調達した記憶がないのだけど、家電製品になると話は別。テレビやアイロンは余剰品を貰い受けたけど、冷蔵庫や掃除機は新規案件。

よく考えたら、そのアイロンが今でも現役だわ。

ことに家電製品って新規調達せざるを得ない場面が多いし、家電量販店もそれを想定して「新生活向けのワンセット」みたいな売り方をしている。でも、それって賢い買物なのかなあ、と少し疑問。

特に洗濯機と冷蔵庫ね。一人なら洗濯物の分量はこれぐらい、と公式化できるわけではなくて、生活内容次第でけっこうな変動がある。

うちなんか、単身なのに 7kg の洗濯機が鎮座している。これは、旅行から戻った後やカーテンの洗濯では分量が増えるから。ことにカーテンの洗濯になると、普通の「単身者向けサイズ」では一度に洗える枚数が限られて効率が悪い。で、7kg。

たぶん、運動を頻繁にする人は洗濯物が増える。大食らいの人は冷蔵庫の所要が増える (家で料理するかどうかだって影響する)。自衛隊ならアイロンは必須物件だろうし (←ニッチ分野の話はやめろ)

なんてことを考えていくと、いきなり全部をワッと買い揃えるのは正しいのかなあ、という疑問に行き着く。どうしてもないと困るモノは仕方ないけれど、そうでなければ、生活の様態が固まってきてから、ボチボチと揃えていく方が、無駄が少ないのかも知れない。

それが「小さく始める」ということの意味。


よくよく考えたら、趣味の世界にも似たような話はありそう。パーソナルコンピュータを買うというと、本体や周辺機器だけじゃなくて、それら一式を載せるラックまで一緒にお買い上げというのは、かつては多かったパターン。今はラップトップが主流だから、そうでもないと思われるけれど。

カメラにしても、レンズ交換式のを初めて買う場合、ありがちなパターンは「エントリー機とダブルズームキットと、それらが入るバッグ」あたりだろうか。でも、沼にはまるとだいたい足りなくなるのである。バッグのキャパシティが。(←経験者談)

すると今度は、カメラバッグ沼という新たな底なし沼が待っていて、えらいことになる。だいたい、機材を買い換えたり買い足したりすると、手持ちのバッグで対処できない場面が出てくる。(←経験者談)

「ギリギリのキャパにするからいけないので、将来余裕を持たせておけ」と、スプルーアンス級駆逐艦みたいな話になるのだけど、どこまで余裕を持たせればいいのか、なんて見当はつけづらいし。

せめて、初っぱなの手戻りぐらいは回避して、「バッグを買うのはちょっと待て」とするのは、ひとつの見識かも。エントリー機とダブルズームぐらいなら、インナーケースで済ませることも可能だし。

何でも「最初に一揃い」という声に乗せられないで、状況を見ながら最適な買物を少しずつやっていければ、その方が幸せになれるんじゃないかしらん。といったところで、今回はこの辺で。

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