Opinion : 見てくれだけマネしてみてもダメよね (2019/8/19)
 

自分が本館で書いているものを御覧いただいていた方が、後で生で実物に直面したときに、あまりのギャップにひっくりかえる (?) という場面が、過去に何回かあった。ときには「あの、本当に井上さんですか ?」と真顔で訊かれたことすらあった。

どうも、平素に書いているものだけ見ると「とっつきにくい人」に見えたらしいのだけど、現物は (以下略)。

それもなあ、ということで Twitter では意図的に、おちゃらけ成分を増しているところがある。駄洒落砲をぶっ放しているのもその一環だけど、そのせいなのか、以前ほどには「ギャップを感じさせる」ことはないみたい。

なんにしても、「自分を格好良く見せよう」とか「大物に見せよう」とかいう欲求がないので、こんな調子でやっていられる。


しかし世の中、そういう人ばかりではないわけで。反対に、「自分を格好良く見せよう」とか「大物に見せよう」とかいう欲求が、むやみに強い人もいるであろうことは、容易に想像できる。

それが自然に決まればまだしも、「本人は格好いいつもり」「本人は大物のつもり」でいるのに、傍から見ると滑っちゃってる、なんてこともありそう。そこで思ったのは、なんでそんなことになっちゃうんだろうか、ということ。

ところが、答えを出そうとして引っかかった。

自分自身が「自分を格好良く見せよう」とか「大物に見せよう」とかいう欲求を持っていないと、どうすれば格好良く見えるのか、どうすれば大物に見えるのかが分からない。分からないものはやりようがないし、書きようがない。

笑いをとりに行く方なら、まだしもスッと実現できるのだけど… おっと、「笑いをとりに行ったのに滑ることがあるじゃないか」という突っ込みはなしで。

ところが不思議なことに、「これは滑ってるなあ」というのは、なんとなく分かる。そこで、それをヒントにしてちょいと考えてみた結果。

「こうすれば格好良く見えるはず」「こうすれば大物に見えるはず」というカタチから入っちゃって、かつ、表層的なカタチだけ真似すると滑るんじゃないかなあ。なんてことを思った次第。

つまり、「格好良さのアイコン」「大物のアイコン」にばかりこだわるというか。

他の分野にもいえることだろうけれど、カタチだけ真似すると滑るというのは、なんとなく分かる。「とりあえず威信材を手に入れて、見せびらかしてみる」と言い換えてもいいかも。

要するにアレだ。空母を持ってるけど可動率が低い海軍、空母を持ってるけど戦闘能力に疑問符がつけられている海軍、空母を持ってるけど運用構想が怪しげな海軍、みたいなものか。


ここで「カタチだけで魂が入っていない」とかいって逃げてしまえば簡単だけど、それもどうかと思うので、もうちょっと書いてみると。

たとえば、高級外車に乗るだけではダメで、それに見合った所作というか挙措というか、そういうものも必要なんだろうなあと。

実際のところ、高速道路を走っていると、高級外車 (特にメルセデスと BMW) に乗っている人が往々にして「どけどけどけ〜」という運転をしているのを見かけるけど、そういうのは「高級外車にふさわしい所作」じゃあない。「高いクルマに乗ってる俺様えらい」と思ってるだけである。

とどのつまり、人格とか識見まで問われるってことなのか。それは人生の過程で時間をかけて、じわじわと涵養していくしかないもの、なのかも知れないなぁ。

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