Opinion : 即時反撃は間違いの元 (かも) (2019/9/9)
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個人的な口癖で「対象に対する過剰な思い入れは仕事の邪魔」というのがあるけれど、改めてそれを再認識させられるような事案がいくつも発生したなあ、と思わされた今日この頃。
感情の部分としては、わかりますよ。「自分が気に入っているもの、自分が (かつて関わっていた | 現在進行形で関わっている) 何か、そういったものが叩かれたときに弁護したい」と思ってしまうのは。
ただ、それがヤバいのは、往々にして「無理筋の弁護」になったり、「贔屓の引き倒し」になったりすること。
AX-5 の事故があった後で、突発的に「F-35 欠陥説」が湧いて出たことがあった。
それらをよくよく見て見れば、情報が古かったり、表層的かつキャッチーな話だけつまみ食いしていたり、算数ができていなかったり、日本語が読めていなかったりと、まあいい加減な手合が多かったわけだけれど。(←すでに過去のもの扱いしている)
ただ、反射的に個別に Twitter なんかでやり返しに行ってたら、時間と手間がどんだけあっても足りない。たまたま自分は媒体持ってる立場だったから、じっくり材料を揃えて反論記事を二度書いた。
ただ、そこでも「何の不具合もない」なんてことは書かなかった。それは事実に反する。「欠陥論者が言い立てている、これこれの話は間違い」と書く一方で、「不具合はあるが、現在の状況や今後の見通しはこうだ」ということも書いた。
不具合の指摘があるという事実とは向き合わないといけない。もちろん、現時点での見通しが外れる可能性だってあるけれども、それはそれ。
ただまあ、設計・製造上の問題と、サプライチェーンがらみの問題をゴッチャにするのはどうかと思うけれども。
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ところが現実問題としては、何かいわれるとムキになっちゃって、「何も問題なんかない、瑕疵なんかない」と極端な方向に走る人が出てくる。それって、対象に対する思い入れのなせる技なのだろうけれど、度が過ぎていやしませんか、とも思う。
ことに事故に関わる話だと、発生直後の第一報だけでは分からなかった話が、後になっていろいろ出てくるのが、お約束みたいなもの。そうなってから足下をすくわれるような事態になっても知らんで。
そりゃまあ、「間違った情報が広まる前に叩き潰さないと」という論にも一理はある。でも、「間違った情報が広まる前に、あやふやな情報に立脚して叩き潰しに行く」のでは、同じ轍を踏みに行くことになりはしないか。
とどのつまり、すでに状況が明確、かつ確立されたエビデンスがある状況下で「間違った情報が広まる前に叩き潰さないと」というのならいい。殴るための棍棒がちゃんとあるわけだから。
でも、まだ状況が不明確だったり、エビデンスが確立されていなかったりという状況下で、反射的に殴り返しに行くのは、むしろ逆効果。そんなときは、まずはグッと堪えて静観した方がいいんじゃないかと。
それに、ある程度の材料が出揃ってから、相手の矛盾点や弱点を見つけ出して叩き潰しに行く方が効果的でしょ。その場その場で反射的に殴り返しに行っていると、後から全体を通して見たときに一貫性を欠くことになりやすいし。
そういえば。これを書いていたら、「電車の計画運休や運行再開に関する情報がなくて困っている人がいる」というニュース記事がいくつか出ていた。それを見て「これでは事業者サイドが無為無策で何もしてないみたいじゃないか」とむかっ腹が立ったのだけど。
でも、「こういうとき、困っている人を見つけ出して記事にするのがニュース屋さんのテンプレで、困ってない人、解決できた人は相手にされないことが多いもんな」と思い直して、スルーを決め込むことにした。
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