Opinion : いつまで YF-23 に夢を見てるんだろう ? (2019/9/16)
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先日、ちょいと Twitter で話題になって「まーた飽きずにやってるのか」と呆れたのが、「日本の新戦闘機に YF-23」説。
F-4EJ 改の後継機が F-35A に決まる前にも「YF-23 待望論」みたいなのが湧いて出てきたような記憶があるけれど、それ以後も何かきっかけがある度に、YF-23 の亡霊が沸いてくる。
どうせコンペで負けた機体を引っ張り出すなら「X-32 待望論」なんてどう ?
まあ、「マニアのとしての情の部分」ということなら、分からなくもない。YF-22 と比べると未来的な外見を備えていたのは事実だし、「負けた機体には情が移る」ということもあり得る。あと、カタログ値でいえばレーダー反射断面積 (RCS : Radar Cross Section) や速度の面で YF-22 を上回っていたともいわれてるし。
でも、背景事情はどうあれ、プラットフォーム、ドンガラの部分しか見ていないよね、とは突っ込んでみたい。どんなに飛行性能が優れた機体であっても、当節、ミッション システムがちゃんとしていなければ、戦の役には立たない。
まさか、さらに時代を遡って LWF 計画を持ち出して「有視界で近接格闘戦だけ専門に行うステルス戦闘機がいいんだ」と、ファイター マフィアみたいなことをいいだすつもりかしらん。
と、それはいささか嫌味の度が過ぎるけれど。
少なくとも、今は 2019 年も後半である。YF-22 と YF-23 がフライオフをやっていたのは 20 年も前の話。実機ができて飛んでいたのがそのタイミングだから、設計に着手したタイミングはもっと前。
少なくとも、F-22A は YF-22 がフライオフに勝って採用が決まった後で改めて設計し直しているし、ミッション システムの部分は (思惑通りに進んでいるかどうかは別として) 段階的に改良・強化を進めてきている。だから、これを「1980 年代後半の技術と思想で作られた機体」というのは正しくない。
でも、フライオフに負けた YF-23 はぶっちゃけ、「1980 年代後半の技術と思想で作られて」それがフライオフに出た 1990 年の時点で止まっている。しかもその時点で、もしも ATF として採用された場合には大幅な改設計を図る話が明らかになっていた。つまり、その時点ですでに「YF-23 のままでは使えない」と分かっていた。
ましてや、それを 2020 年代に通用する機体に作り直そうとすれば、アンコの部分では大幅な手直しが求められる。1990 年と 2019 年での、情報通信技術やセンサー技術の差を考えれば、たぶん使い回せるものなんて存在しない。
それに、身も蓋もないことを書いてしまえば「ボツになった機体にはボツになったなりの理由がある」はず。それを他国が引き取って手を入れたとしても、それで十分な戦闘力を備えた機体になるのか ? と疑問に思わないのかしらん。
なんていう具合に大真面目に書いていくと、「個人の趣味的見地に基づいて、好きな機体をフィーチャーしてるだけなんだから、いいじゃないの !」という反論が来そうではある。純然たる趣味的見地で、日本の安全保障のためにどうとか、国防のためにどうとかいう話をくっつけず、夢を語るだけなら、それはアリ。
ただ、それならそれで。「ボツになった機体を復活させる夢を見たい !」ということであれば、もっと夢は大きく持ちたい。すでに何度も蒸し返されている YF-23 ではなくてですな…
A-12 を 復 活 さ せ よ う ぜ
もちろん、これがジョーク的な与太話以上になり得ないのは百も承知。だいたい、YF-23 は少なくとも完成して空を飛んでいるけれど、A-12 は飛ぶどころか完成してもいない。重量増の問題も抱えていたし、ミッション システムをごっそり作り直さないといけないのは同じこと。
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