Opinion : ケチるばかりが能じゃないでしょ ? (2019/9/30)
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明日から消費税が 10% に上がる。そのせいもあってか、「増税前の駆け込み需要」だの「増税から家計を守る節約術」だのといった話が賑々しい。
でもねえ、2% だよ 2%。今回に限ったことではないけれど、最初は「うわあ、こんなに支出が増える」と思っていても、半年か一年もすれば常態化して「こういうものだ」と思うようになるんじゃないだろうか。
むしろ警戒すべきは便乗値上げの方だけれど、これまでギリギリまで我慢してきたものを増税ついでに改定する、という場面もあり得るので、それと便乗値上げの区別は難しい。
それに、駆け込み需要だといってあれこれ買い溜めしたものの、結局、きちんと活用できなくてムダにする人は、きっと出てくる。2% ぐらいの差分は、その程度のムダで簡単に吹っ飛んでしまう。
ついでに余計なことを書けば、「節約節約」と血道を上げている人ほど往々にして、「節約のためのムダ」に気付いてないんじゃないだろうか。例の「安いガソリンのために遠出する」のデンで。
歴史の授業なんかだと、徳川吉宗は正義の味方扱いである (たぶん、時代劇の影響というわけではない)。そこで必ずついて回るのが、「支出を引き締めて云々」の話じゃなかろうか。
そりゃもちろん、放漫支出で財政が傾いてしまったのではよくない。それは政府機関でも企業でも個人でも同じ。放漫支出に大借金を重ねたせいで、つぶれかけた会社だってある。
ただ、だからといって支出の引き締めに *ばかり* 血道を上げるのも、どうなのかと思う次第。要は程度問題で、単純に「支出引き締めは正義」というだけの話じゃない。第一、皆が支出を引き締めてばかりいたら経済が回らなくなる。
「財政支出の引き締めに力を入れた徳川吉宗がえらい」と教育するのは、ひょっとして財務相の陰謀なんじゃねぇかと思いそうになったけれど… おっとっと、陰謀論の深淵に墜ちそうだから、今のナシ。
ただし、財務省はともかく国税庁のことは、1 ビットたりとも、信用も信頼もしちゃいませんがね。あと、増税云々に便乗して騒いでいる民商の関連団体も。
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(ただ、軽減税率をめぐるスットコぶりだけは、まったくもって度しがたいものがある。しかも、そのゴタゴタによって発生する手間をひっかぶるのは納税者で、財務省でも国税庁でもないのだ)
もっとも、「預金を貯め込んでおかないと将来が不安」と思ってしまう心理にも、一理はある。ことに自分みたいなフリーランス稼業だと、その年のインカムはその年の大晦日まで確定しないわけで、「来年はどうなるのか」という不安はついて回る。
でも、心配ばかりしてどうにかなるわけではない。そんなヒマがあったら (身体を壊さない程度に) 仕事をして、結果を出していくことの方が大事。そのためにも、日々の生活を充実させて、ちゃんと充電することも大事。
それがちゃんとできていないと、ロクなアウトプットは出てこなくなる。そうなれば結果として、自分で自分の首を絞めることになってしまう。
あと、物書き稼業だと「現時点では支出になるだけ。しかし、これは将来につながる材料になるからおカネをかけないと」という話は必ず出てくる。そういうときは、自腹でも何でも資金を投下しておかないと取り返しがつかない。
何でも両極端に走りすぎれば、ロクなことにならない。安心しすぎて放漫になるのは問題だけど、かといって心配しすぎるのも駄目。たとえばの話、食費を節約しすぎて身体を壊したら、そっちの方がよほど高くつく。
つまりは、月並みだけど「ちゃんとおカネをかけるべきところ」と「締めても差し支えないところ」のバランスをとって、トータルで赤にならないように、というところに落ち着く。もちろん、対象分野や閾値は人によって違うけれど。
自分の場合、現場や現物を自分の眼で見ることが大事だと思っているし、実際、それが評価されている部分もあるみたい。そのせいもあって、旅費交通費がやたらとかさんでいる。これはもちろん、あくまで一例ということで。
一方で、少食だからエンゲル係数は低い。笑い話だけど、「ネリスに行ったときにこれだけかかりました」といったら「なんでこんなに食費が少ないの」と驚かれたことがある (実話)。ケチってるわけじゃないんだけどなー。
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