Opinion : 煽られやすい社会 (2019/10/14)
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先日の台風 15 号では、風が強くてガタガタいう音のせいで熟睡できなかった。その次の台風 19 号では、確かに風は強かったものの、15 号よりは静かだったような気がする (個人の感想です)。
むしろ台風 19 号でやかましかったのは、ネット上での (毎度恒例の) 場外乱闘。やれ人工台風だの、民主党が悪いだの、ネトウヨが間違ってるだの、八ッ場ダムがすごいだのすごくないだの、もう知らん。
結局のところ、台風来襲に便乗して自分が叩きたい何かを叩くのに燃えているだけで、自然災害そのものには大して関心ないだろおまえら。という印象しかなかった。
それはそれとして。
その台風来襲の前に、非常食になりそうなものがいきなりバーッと売れ始めて、スーパーやコンビニの棚が空になってしまった模様。確かに、台風が去った後で近所のコンビニに行ってみたら、カップ麺とパックメシの棚だけすっからかんだった。
ただ、「これが本当に非常のときに使えるのか」と、ちゃんと考えてるのかなあ… という疑問は残る。たとえばカップ麺。普通に食べようと思ったら、きれいな水と、それを沸かしてお湯にするための熱源が要る。そちらの確保は大丈夫なの ? と。
熱源が要るのはパックメシや缶メシも同じだけれど、こちらは必ずしも、きれいな水でなくてもなんとかなる。その水を直接口に入れるわけではないから。まあ、泥水に放り込んで暖めたパックメシや缶メシは食えないだろうけど… (開けるときに困っちゃうから)
昔から「非常食といえば乾パン」だけど、確かに開けたらその場で食えるから間違いはない。ただ、これを常食・連食するのは、ちと辛い。だから他の選択肢を考えることは間違っていないけれど、実際にそれが必要になる "非常時" に対するシミュレーションが、どこまで行き届いているのかと。
シミュレーションができていないと、まわりの流れやムードや空気に煽られて、まわりで買い漁っているのと同じものを自分も買い漁ってしまい、それでとりあえず根拠のよく分からない安心感に浸ってしまう。なんてことになるのかなと。
消費税アップの前にスーパーの店頭からトイレットペーパーが消えちゃった、なんて話があったらしいけれど、それも同様。
特に、第一次石油ショックを経験した世代だと「買い溜めするならトイレットペーパー」という刷り込みはありそうだけれど、それより下の世代ではどうだったんだろう。そちらでも同じだったとすれば、これは社会動向を扱う学問として、研究テーマになり得るかも知れない。
「いま何が必要か」「それが必要になったときに役立つのか」「いま、それをする方が賢明なのか」といったことをちゃんと考えないで、まわりのムードや煽りに乗せられて同じ方向に突っ走ってしまう人が多数。となった場合、意外な危険につながるかも知れないと思う。
それは社会に対する心理戦/宣伝戦を仕掛けられた場合。「こういう状況下で、こういう風に仕掛けをすれば、きっと煽られてこういう動きをする」というパターンが見えてしまっていると、それを悪用して世論操作やパニックを引き起こす可能性につながりはしないかと。
ただ、こういう作戦が効果のほどを読みにくいのは確かなので、"武器" としては使いづらい一面はあるかもしれない。でも無力じゃない。
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スーパーの店頭で特定の品物が消えるとか、増税前だからといって意味の (ない | 薄い) 買い溜めをするとかいうぐらいなら、まだしも悪影響は少ないけれど、皆無じゃない。これが、もっと悪質な、パニックや社会不安を煽る方向になったらどうするの、と。
先日に某所で登壇したときに、「ネット上では情報の拡散が早い」「拡散した偽情報を後から訂正するのは困難」「だからネット上での心理戦について、真剣に対処を考えるべき」なんてことを喋った。
ただ、最後は一人一人の意識の持ち方に依存してしまうんである。まわりが何か特定の方向にワーッと走り始めたときに、ちょっと立ち止まって「これでいいの ?」と考える習慣を、誰もが身につけないとヤバいのと違うか。
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